■渡米直後に必要なお金
渡米直後には生活のセットアップ、アパートの初期費用、車の購入代金等のまとまったお金が必要です。もっとも大きなものは車の購入代金ですが、これはどのような車を選ぶかでピンキリです。
渡米直後に必要な費用を見積もってみます。あくまで私の経験からの見積もりなので、住む地区や贅沢度によって大きく変わってきます。
生活のセットアップといっても、アメリカのアパートにはたいていの場合冷蔵庫や洗濯機(共同の場合もあり)などはついています。収納が多いのでそれほど家具をたくさん買う必要もありません。絶対に必要なものといえばベッドとダイニングセットくらいです。家具はあわてて買わずに、moving
saleで安くてに入れるのを待ってもいいかもしれません。電化製品で必要なものはテレビ、ビデオ、FAX電話、電子レンジ(これも付いているアパートが多い)くらいでしょうか。日本に比べれば機能は落ちますが、安いです(20インチのテレビは新品でも200ドル程度)。最低限のものであれば2000ドルくらいですべて、揃えられると思います。また、このような買い物は日本のクレジットカードでできますので、アメリカに持ってきたお金からわざわざ払わなくても済みます。また、アパートが決まるまでのホテル代やレンタカー代なども日本のクレジットカードで支払えばよいと思います。
日本と違って、アパートの敷金それほど高くありませんし、通常、礼金はありません。敷金もせいぜい、1ヶ月程度です。仮に、シアトルで2ベッドのアパートを借りると、800ドルから1200ドル程度が相場だと思いますので、初めの月の家賃とあわせて2000ドルほどと見積もれます。
もっとも、お金がかかるのが、車の購入でしょう。車の代金全額をクレジットカードで支払うことを認めてくれないことが多い(私は5000ドル分だけクレジットカードで支払いました)ですし、クレジットヒストリーのない日本人がローンを組もうと思っても、組めない場合があるようです。リースという手もありますが、、、。いずれにしてもローンやリースでなく購入する際には車の代金分が手元もしくはアメリカの銀行の口座にある必要があります。
以上から考えると、渡米直後に必要なお金は、少し余裕を持って、5000ドル+車の代金ということになると思います。
■初期費用をどうやって持ち込むか
さて、次に、この初期費用をどうやってアメリカに持ち込むかです。
(1)シティバンクに電話して海外送金してもらう
シティバンクに口座を作っておいて、アメリカに着くなり現地の銀行に振り込んでもらえばいいと誰しも考えるのですが、残念ながらこの方法は初期費用調達の目的には使えません。実は、シティバンクの口座から電話で指示して海外送金してもらうには、あらかじめ送金先の登録をしなければいけないのです。しかも、この登録は電話やFAXではダメで、申込書を郵送しなければならないのです。また、登録手続きの完了まで1週間ほどかかります。つまり、現地の銀行で口座を作ってから、登録用紙を郵送して日本のシティバンクに届くのに1週間(登録用紙を持っていない場合はそれを送ってもらうのに1週間以上かかります)、登録完了までに1週間かかりますから、最低でも2週間は海外送金の依頼ができないのです。とりあえず、1ヶ月はレンタカーで生活して、ゆっくり車を決めるという場合はこの方法でもいいかもしれません。
(2)日本にいる人に海外送金をお願いする
現地の銀行に口座を作ったら、日本にいる家族などに、銀行名(ABAナンバーという銀行固有のコード番号も忘れずに)、支店名、口座番号などを連絡し、海外送金してもらう方法です。通常、3日ほどで現地の銀行に送金されます。家族に面倒をかけますが、簡単で確実な方法です。送金料として日本の銀行に4000円程度支払います。そして、なぜか、送金先の銀行でも少し手数料が取られます。Bank
of Americaでは8ドル取られます。
(3)トラベラーズチェックまたはバンクチェックで持ち込む
この方法が一番のおすすめです。銀行でトラベラーズチェックまたはバンクチェック(トラベラーズチェックとほぼ同じものですが、額面が自由に決められますので、1枚で済みます)を作ります。現地で銀行の口座を作ったら、そのまま預けます。トラベラーズチェックを作る際は、額面をあまり少額にしないようにします。現地の銀行に預ける際にサインするのが大変ですから。
ただし、この方法にも一つだけネックがあります。実は、アメリカ入国時に所持金(現金及び、チェックも含む)が1万ドル以上の場合は税関で申請しなければならないのです。寄せられた情報では、生活費であると言って申請すれば、別に何もいわれないし、関税をかけられるわけでもないとのことですが、責任は持てません。また、申告せず、1万ドル以上のトラベラーズチェックを持ち込んだ人もいますが、あまり勧められたものではありません。
(4)現金で持ち込む
多額の現金を持ち込むことはおすすめしません。現金は最低限の数百ドルあればいいと思います(実際にはタクシー代とチップ代だけで十分)。
私は1万ドル分のトラベラーズチェック(1000ドルを10枚)をシティバンクで作ってもらいました。これだけ高額になると手数料も馬鹿にならないので、手数料なしはありがたかったです。現金は数百ドルだけ持ち込みました。正確にはアメリカ入国時の所持金が1万ドルをわずかにですが超えてしまうので、申告が必要でしたが、しませんでした。
到着翌日にSeafirst Bank (現Bank of America)に口座を作り、トラベラーズチェックをすべてdepositしました。
渡米後1週間ほどで車を買ったのですが、結構奮発してしまったので、一部をクレジットカードで支払っても足りず、結局、親に頼んで送金してもらいました。
jijiさんから体験談をいただきましたので掲載します。(2006年1月)
昨年の話になりますが、渡米直後のお金を、現金数百ドル+トラベラーズチェック9000ドル持ち込みました(1万ドルをこえない程度)。トラベラーズチェックはシティバンクに口座をもっていたので、そこでつくりました。
しばらく生活し、車の購入に少しまとまったお金が必要になりました。私は渡米前にシティバンクに米ドル普通預金口座を作っており、数千ドル預金しておきましたので、それをアメリカのATMで外貨キャッシュカードを使い引き出しました。これは米ドル預金専用のキャッシュカードです。1回あたりにATMから引き出せる額は、他行と同じく、600−800というものでしたが(1日の引き出し限度額は3000となっています)、これで何度か繰り返しおろしました。これだと、誰の手もわずらわせることなく、すぐに引き出しができるので便利です。
仮に米ドルが口座にあまったとしても、今後の学会など渡米時に使えるので、1万ドル以上持ちこみたい方には便利だと思います。注意すべき点は海外でATMからおろす際は20ドル単位になるので、20の倍数いれておくのが良いかと思います。
ボストンに留学されたKAさんから体験談をいただきましたので掲載します。
トラベラーズチェックで27000ドル、他に現金(日本円、ドル、など)持ち込みました。申告したらどうなるのか、を研究留学ネットに知らせるためだけの目的です。
機内で渡される申告書に「1万ドル以上もってます。」というところに印を付けます。すると入国審査後に税関を通るわけですが、そこのカウンターで他の人とは別の部屋に行くように指示されます。シカゴの場合は左側のやけにひろい場所。そこで商品の見本らしきものなどをもった人たちの後ろに並びます。すっごく不安でした。順番が来ると、係官からなにをいくらもっているか訊かれ、実物を見せるように言われます。見せると「これだけか」としつこく訊き、さらになぜか「農作物や植物などは持ち込んでいないか?」という決まり文句を繰り返されます。ずっと「NO」と言ってれば大丈夫でしょう。結局、書類は向こうで作ってくれて、私はサインをしただけです。その間、待ち時間を入れて、20分くらいでしょうか。乗り継ぎもあるし、向こうだってそんなに時間をかけていられませんよね。手続きが済むとなぜか荷物をすべてX線の検査を通されます。ここで不振なものが見つかったらしく、ぜんぶ段ボールやトランクを開けられている人がいました。が、私たちはおやつにもっていたグレープフルーツを没収されただけで済みました。あれほどしつこく「農作物を持っていないのか?」と訊かれても、フロリダ産のグレープフルーツがそれに該当するとは緊張のあまりでしょう、気がつきませんでした。盆栽とお米かな?イメージしていたのは。
結論として、手続きは簡単、すいていれば10分程度。トランクや手荷物や段ボール箱の中に怪しいものを持っていなければ、無愛想ですがすいすい通れる。フルーツも農作物に含まれる。以上を知っていれば、怖くないでしょう。