bk1、amazon.co.jpのアフィリエイトプログラムに参加しているので、【bk1】【amazon.co.jp】のリンクをたどれば、書誌情報が見られるとともに、オンラインで購入ができます。
著者:白楽ロックビル著、出版:共立出版、ISBN:4-320-05446-6、発行年月:1996.8、本体価格: ¥2,000
【bk1】【amazon.co.jp】
白楽先生がNIHのグラントシステムを調べるためにNIHに滞在したときの記録です。NIHのグラントシステムがよくわかりますので、アメリカに留学する人は絶対に読むことをおすすめします。
<目次>
第1章:やってきましたワシントン -アメリカの生命科学研究とNIH-
第2章:ロビーが強いのだワシントン -科学政策決定の仕組み-
第3章:アメリカ生命科学研究費
第4章:研究グラントの分厚い申請書
第5章:これが例の、あの、うわさのスタディセクションだ -研究グラントの審査-
第6章:科学運営官
第7章:研究の倫理
第8章:パソコン通信で研究費申請
第9章:日本への5つの提言
著者:菅裕明、税込価格:¥ 1,890(本体:¥ 1,800)、出版:共立出版、ISBN:4320056205、発行年月:2004.10【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
はじめに言ってしまおう。研究留学を志す人、研究留学中の方すべてが読むべき本です。地味で目立たない本で、私も見逃していたのですが、すばらしい本です。
この本は簡単に言ってしまえば、「アメリカのサイエンスの仕組み」をその構成成分である大学教育の仕組み、PhDコースの仕組み、アメリカの教員の仕組み、科学研究費の仕組みのすべてにわたり非常に丁寧に解説した本です。どの構成要素が欠けても「アメリカのサイエンスの仕組み」を理解できません。著者は、アメリカで、PhDコース、ポスドク、テニュアトラックの教員を実際に経験し、各種科学研究費を取得し、審査する立場も経験されており、その記述はきわめて詳細です。テニュアトラックで実際にテニュアをとれなかった研究者はどうするか?なぜ、大学は新しいPIを雇い入れるために、スタートアップ費用として一人の若い研究者に50万ドルもの費用を払うのか?こういったことにきちんと言及している本はありませんでした。
NIHの科学研究費審査の仕組みはアメリカのサイエンスを支える仕組みとして非常に重要です。NIHの科学研究費審査の仕組みについては、「アメリカの研究費とNIH 」【bk1】【amazon.co.jp】、「アメリカNIHの生命科学戦略」【bk1】【amazon.co.jp】でも解説されていますが、本書の著者はNIHの研究費を申請取得する立場、審査する立場の両方を経験されており両方の立場から、NIHの科学研究費審査の講評(採用、不採用だけを知らせるのではなく、建設的な批評)こそが、NIHの科学研究費審査の公正性を保証していると同時に、若いnew PIの教育的効果を持っていると指摘しています。また、著者ご本人がNIHから受け取った審査の講評の実物もNIHの許可を得て掲載されています。
アメリカの科学者達が切磋琢磨するドライビングフォースが何なのかを実に明快に解説した本といえます。逆に言えば、このドライビングフォースがない日本にうわべだけアメリカのシステムを取り入れても効果がないということを指摘しているわけです。
値段もリーズナブルですし、是非みなさん読んでみてください。
著者:キャシー・バーカー著、浜口 道成監訳、税込価格: ¥5,040 (本体: ¥4,800)、出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル、ISBN:4-89592-357-6、発行年月:2004.2【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
Kathy Barker, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ISBN: 0879695838, $45.00
【amazon.co.jp】【amazon.com】
アメリカで新しく自分のラボを持つようになった新米PI(Principal Investigator)のための本です。
・ スタッフやポスドクをどのように採用するか(具体的な面接の方法にまで言及)
・ PIとして論文を書く際の注意点(First authorが書くのか、それとも、PIが書くのか、Authorshipはどうするか、など)
・ ミーティングやセミナーの運営の仕方
・ ラボ内でのトラブルの解決法(セクシャルハラスメントの問題、ラボ内の恋愛の問題、ラボスタッフの解雇の仕方)
など非常に具体的なアドバイスが多くのっています。また、この本はKathy Barkerという女性のPIが書いていますが、実際には、彼女の友人である多くのPIをインタビューして彼ら/彼女らの意見を掲載しています。この本はアメリカで独立し自分の研究室を持とうという人には必携の本といえましょう。また、実は、アメリカに研究留学をしようとする方にも必携の本といえます。アメリカ人がどのような形でポスドクを採用するのか、アメリカの研究室におけるPIとポスドクの関係はどのようになっているのか、アメリカのPIがどのように考えているかを理解することは、自分の行きたいラボに採用され、PIと良好な関係を保って留学生活を送る上できわめて重要なことと思います。
著者:掛札 堅、税込価格: ¥987 (本体: ¥940)、出版:講談社、ISBN:4-06-257441-1、発行年月:2004.4【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
著者の掛札堅氏は1960年にCiity of Hope医学センターに留学し、1967年にNIHの主任研究員となられ、その後、長年にわたってNIH
で研究を続けられています。その間、日米ガン協力プログラムのアメリカ側事務局長も務められています。本書は、NIHから生まれたノーベル賞級の研究と、その舞台裏を紹介するとともに、NIHグラント制度をはじめとしたNIHの成り立ち、構成などにも言及されています。NIHグラントに焦点をおいた名著として、白楽ロックビル先生の「アメリカの研究費とNIH」【bk1】【amazon.co.jp】は何回か、紹介してきていますが、本書は、むしろNIHの歴史的な成り立ちや舞台裏に重点が置かれています。設立当時には思いもしないような方向でNIHが発展し、世界最大の医学生物学研究機関になった経緯がよくわかります。特に、著者はNIHと日本の研究交流に関するNIH側の責任者でもあることから、日本学術振興会の海外学振のNIH専用枠、日米癌化学療法のフェロー制度の設立の経緯が明らかになっていて興味深く読めます。なお、現在NIHに研究留学している研究者は350人とのことです。
著者:Liane Reif-Lehrer、税込価格: ¥5,482 ($51.95)、出版:Jones & Bartlett Pub、ISBN: 0763716421、発行年月:2004.2【amazon.co.jp】【amazon.com】
私は実際に手に取ったわけではないので、推薦者のSEさんのコメントを紹介させて頂きます。
若干情報が古くなっている部分もあるかと思いますが、NIH の Study Section での経験がある著者が申請者、審査員双方からの視点でまとめあげた具体的で情報量豊富なグラント申請指南書です。前半は NIH 及びそのグラントの仕組みについて書かれており、白楽ロックビル氏の「アメリカの研究費とNIH 」と似た内容です。その後には実際グラント申請書を書く際の注意点が申請書類の各項目について事細かくまとめられています。例えば、Abstract については「広く長期的な目標」「具体的な目的」「ヒトの健康との関連」「実験計画と方法論のまとめ」が記述され、一人称や過去の業績が含まれず、規定文字数内で、それ自身が stand-alone であるべきと指摘されています。
後半数百ページが appendix となっており、NIH 及びそのグラントの仕組みについて膨大な情報が詰まっています。特に私が申請書を書く上で有用と思ったのは、申請受理・不受理両方のケースに対する審査員からの評価 (Summary Statement)の具体例が多く列挙されている部分です。特に重要な部分がイタリックになっているあたりは、この本全体に渉る記述の緻密さ几帳面さをよく物語っています。
本の中にも書かれていますが、「NIH グラントを書く上で重要なことは他の全てのグラント申請に通じるものである」と私も思うので多くの研究者の座右の書としてお勧めの一冊です。
随時追加。
Copyright (C) 2004 Kenkyuu-Ryuugaku NET. All rights reserved.