車購入の際には自動車保険に加入する必要があります。しかしながら、
- 車の保険は、専門用語が出てくる上、日本とは保険の仕組みが違う(たとえば、underinsured motorist保険などは日本にはありません)ので、英語にかなりの自信がないと、十分理解しないまま契約することになる。
- 多くのアメリカのエージェントは日本での運転歴を考慮しないので、アメリカ人に比べ保険料が高くなる。
ということがあり、なかなか一筋縄ではいきません。
これらの問題を解決する方法があります。それは、JALカードに付属するJFC海外赴任者総合保障制度に加入することです。この制度に加入していると、AIGインターナショナルサービス(AIGIS)を通じて、「日本語で」「アメリカ人と同等の保険」に加入することができます。実際には、AIGISは保険会社ではなく、現地の保険会社と加入者の間に入って、加入者の保険加入の手助けをしてくれます。購入する車が決まったら、見積書に加入者の情報、車の情報、希望する保険の内容を記入して、AIGISにFAXします。30分ほどで、現地の保険会社から見積もりが返ってきますので、それを見ながら、現地の保険会社と話をします。その際、電話は現地の保険会社、加入者とAIGISのスタッフの3者通話になりますので、こちらの希望や質問を日本語でいえば、AIGISのスタッフが通訳して、現地の保険会社に伝えてくれます。また、保険料に関しても、「JALカードの所持者としての社会的信用」と「日本での運転歴」を考慮した料金になりますので、他の保険会社より格安になります。
JFC海外赴任者総合保障制度は基本プランだけであれば、一世帯年間45000円ですが、この点だけを考えても十分元が取れると思います。実際には、この基本プランにはあとで述べるようなアンブレラ保険まで含まれています。
JFC海外赴任者総合保障制度についてはGlobal Protectionのページ(http://www.global-protection.co.jp/)を参考にしてください。資料請求はhttp://www.global-protection.co.jp/order/index.htmlからどうぞ。
以下、自動車保険について説明しますが、州により自動車保険に関する法律は違いますので、加入する際は、ご自分の責任の元、加入するようお願いいたします。私の説明はあくまでも自動車保険の理解のための参考程度にしていただきたいと存じます。
■保険の種類
自動車保険を構成する各保険は以下のようになっています。
<Liability Coverages(強制保険) >
(1) Bodily Injury Liability (対人損害賠償保険)
自動車事故により他人を死傷させた場合に、医療費及び損失した賃金の補償をするものです。なお、後で述べますが、相手が死亡するような事故ではこの保険だけでは補償しきれないので、アンブレラ保険に加入しておくことが必要です。
(2) Property Damage Liability (対物損害賠償保険)
自動車事故により他人の財産、所有物を壊した場合に、壊したものの修理や交換のための補償をするものです。
(3) Medical Payments (搭乗者傷害保険)
Personal
Injury Protection
No-Fault
Coverage (無過失傷害補償保険)
Medical Paymentsは自動車事故による運転者および同乗者の医療費を保障するものです。これは自分の車を運転していた場合でも、他人の車を運転していた場合でも支払われます。Personal
Injury ProtectionとNo-Fault CoverageはMedical Paymentsを拡張したもので、医療費の他に損失した賃金や子供の養育費なども補償されるものです。なお、これらが強制保険かどうかは州によって変わります。
(4) Uninsured/Underinsured Motorist (無保険/過小保険車傷害保険)
加害者が無保険またはひき逃げされた際(Uninsured)や加害者が十分な額の保険に入っていない場合(Underinsured)に加害者に代わり保険金が支払われるものです。ただし車の損傷も含むかどうかは契約によって異なります。
<Optional Coverages(任意保険) >
(1) Comprehensive (包括車輌保険)
自損事故以外の損害、例えば盗難、火災、落下物による損傷、いたずらなどの損害に対し支払われるものです。
(2) Collision (衝突車輌保険)
自分でおこした自動車事故による自動車の修理にかかる費用に対し支払われます。この保険が自動車保険の中でもっとも高価です。
これらの任意保険には免責額 (Deductible) が設定されいます。保険金が支払われるときには、損害額から免責金額をひいた差額が支払われます。免責額を大きくすれば、保険料は安くなります。
(3) Towing & Labor(牽引サービス補償)
事故の際、動けなくなった車をレッカーするときの費用を負担してくれるものです。
(4) Car Rental Reimbursement(レンタカー費用補償)
自動車の修理中にレンタカーを借りる際に、その費用を負担してくれるものです。
■強制保険の最低補償額
州によって強制保険の最低補償額は異なります。ちなみにワシントン州では対人は、事故1件につき、1人の死傷に対し25,000ドル。2人以上に対して50,000ドル。対物として10,000ドルです。
■保険の掛け金(Premium)
保険料は以下のような要因から計算されます。
- 居住地(州だけではなく、住んでいる町ごとに保険料が変わります)
- 性別
- 年令
- 未婚/既婚
- 家族構成
- 運転歴
- 事故、違反歴
- 使用目的(遊び/買い物、通勤/通学 etc.)
車輌保険に入る場合は
- 車種、年式
- 装備(エアーバックの有無、ABSの有無、アラームシステムの有無など)
- 駐車場所(路上駐車か、ガレージか)
自動車の色も保険料に関係するという噂(赤は保険料が高い)もありますが、少なくとも私の入った保険では関係ありませんでした。
一般的には、日本の運転歴は考慮してくれないところが多いのですが、中には考慮してくれるところもあります。日本の保険会社が発行する無事故証明書(英文)を持参すると安くなるかもしれません。以下、私が入った自動車保険の内容を書きますので、参考にして下さい。ちなみに掛け金は6ヶ月のものです。
<強制保険> |
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Bodily Injury 対人 |
$100/300,000 per person/accident |
$98
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property damage 対物 |
$25,000 each accident |
$35
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medical payments 搭乗者治療費用 |
$5,000 each person |
$5
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underinsured motorist BI
保険未加入者による事故の際の対人保険
|
$100/300,000 per person/accident |
$64
|
underinsured motorist PD
保険未加入者による事故の際の対物保険 |
$25,000 each accident.
$300 ded. Hit/Run. $100 ded. otherwise |
$7
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<任意保険> |
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collison 衝突時の車両保険 |
Auto #1-$500 ded |
$148
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Other than collision (Comprehensive)
衝突以外の車両保険
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Auto #1-$500 ded |
$38
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Towing & Labor 事故車の移動代 |
Auto #1-$75/disablement |
$4
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Extended transportation 代車費用 |
Auto #1-$30 per day/max $900 |
$5
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Total |
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$404
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■アンブレラ保険
上の補償額を見て、対人が、日本に比べて低いのに気づくかと思いますが、一般的にアメリカの保険が補償する額は日本に比べて低いのです。そこで、その足りない補償額をカバーするのがアンブレラ保険なのです。
AIUのアンブレラは車に関しては、3億円まで保証しますが、免責額があって、対人100,000ドルなどとなっています。つまり、免責額をカバーするだけの保険には現地で加入しなければなりません。免責額以上カバーする保険にはいるのは無駄ですし、免責額に足りない額しか保証されなければ、(アンブレラの免責額)-(現地保険の補償額)を自分で払わなければならなくなります。
AIU以外にもアンブレラ保険はあるようですが、十分な情報を持っていません。
参考
http://www.insure.com
■プレミオカード経由で自動車保険に加入する
プレミオカード(http://www.premio.com/)に加入すると、日本の運転歴を考慮した条件でアメリカの自動車保険に加入することが出来ます。これはプレミオ/クレイグ
M.ファーガソンが米国保険会社と提携して提供されているプランです。アンブレラ保険も用意されています。
ただ、KAIさんからの情報によれば、夫婦2人の日本での運転歴が2年以上ないと入れないそうです。このプランをあてにしていたKAIさんは結局このプランでの自動車保険の加入は出来なかったそうです。このプランを考えている方はあらかじめ日本でプレミオカードに詳しく問い合わせた方がいいでしょう。(KAIさん、情報ありがとうございます)
私は自動車保険はAIGISにお願いすることに決めていたので、到着すると同時にAIGISに連絡を取り、AIGISのナンバーを告げ、登録をしました。AIGISは保険会社ではなく、保険会社との仲介をしてくれる会社なので(この辺のシステムは未だによくわかりません)、保険会社に問い合わせをするときは、まずAIGISに電話をかけて、そこから保険会社につないでもらって、3者間通話をします。
自動車ディーラとの商談が進み、購入することが本決まりになった時点でAIGISに連絡を取り、見積もりをお願いしました。車種や年式や盗難装置の有無や免責金額の設定など必要事項を申込用紙に書いて、FAXでAIGISに送りました。この時点で見積もりの総額が告げられるので、それでOKしました。翌日の朝にFAXで詳細な見積書(Quatation)と保険証券番号(Polycy
No.)が送られてきました。Policy No.があれば、自動車を購入することが出来ます。2週間ほど後に、保険証券(Policy)と請求書などが送られてきて、小切手で支払いました。
半年で約400ドルですから、予想よりだいぶ安くすることが出来ました。 東京海上の保険に加入していた友人は、AIGISに切り替えて、約半額になったと言っていましたから、やはりAIGISは飛び抜けて安いのでしょう。
半年後の更新の際に、アラームシステムを導入したことを説明したら、導入した日にさかのぼってアラームシステム導入に伴う割引を適用してくれました。
1年後の更新の際にCollisionとComprehensiveの免責額を500ドルから250ドルに下げました。それに伴い、保険の掛け金総額が404ドルから433ドルになりました。