■イントロ 研究を進める上で「500本程度のシークエンスの結果をBLASTで解析して、それぞれのクローンがどんな遺伝子であるか同定する」必要が出てきました。 10本くらいであれば、一つずつ、NCBI-BLASTのウェブサービスにコピーペースとして解析することもできますが、さすがに500本となるとちょっと難しくなります。このような、まとまった数のBLAST解析を行うとなると、NCBI-BLASTのプログラムとデータベースを自分のコンピュータにダウンロードして、ローカル環境でBLASTを行えるようにするというのが一般的です。ローカルBLAST環境を作るメリットは、バッチ処理ができる(同時にたくさんのシークエンスをBLASTにかけられる)というのが最大のものですが、それ以外にも、インターネットを介さないのでインターネットの混雑に左右されない(NCBIのサイトは特に日本の大学からはときどき非常にアクセスしにくくなることがあります)、NCBIのサーバーに負担をかけない、インターネットのトラフィックを増やさないという面もあります。ただ、ローカルBLAST環境を作るというのはそれなりに面倒なので、わたくしもなかなか踏ん切りがつきませんでした。 でも、さすがに500回もコピーアンドペーストして、BLASTする気にはなれなかったので、これをいい機会に、ローカルBLAST環境をMacOSX上でセットアップすることにしました。 興味をお持ちの方も結構いらっしゃるでしょうから、私の試行錯誤をそのまま公開することにして、参考にしていただければ幸いです。途中で公開するPerlやシェルスクリプトおよびその他の知識は必ずしも正しくなかったりすると思いますが、その点はお許しいただきますようお願いするとともに、「ここが間違っている」「こういうふうにしたほうがいい」とご指摘いただければ幸いです。
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■Mac OSXのアドバンテージ BLASTを含め、多くのBioinfomaticsのソフトウェアはUnixベースで動きます。したがって、通常、Bioinfomaticsの解析を行うには、Linuxなどを使って、Bioinfomaticsの解析環境を構成することが一般的でした。Mac OSXはMacの毛皮をかぶったUNIXですから、当然UNIXソフトウェアを動かすことができます。普段は、Microsoft Office、Adobe Photoshopなどを使っていたいけれども、同時にUNIXベースのBioinfomaticsソフトウェアも使ってみたいという人には、MacOSXは非常に便利なオペレーティングシステムだといえます。
Mac OSXでUnixのソフトウェアを使うとなれば、やはりUnixの知識は必要です。私自身はLinuxをノートパソコンに入れてはみたものの1週間で削除してしまったような人間ですので、UNIXの知識はほとんどないも同然です。私がUnixの知識をつけるために使ったお役立ちの本を紹介しておきます。
UNIX自体の入門書としては、10年前の本ながら名著といわれるこの本をあげておきます。
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●2004年4月1日:新規掲載