2006.11.30

StatViewなき後のMacの統計ソフトは何か?(3)〜JMP

私がStatViewなき後のMacの統計ソフトとしておすすめする2つめのソフトがJMPです。

統計ソフトの定番となりうるための条件、

  • インターフェースがわかりやすいこと
  • 十分な解析手法をカバーしていること
  • わかりやすい解説書が出ていること
  • ソフトが日本語化されていること

の内、JMPはすべてを満たしています。特に定評があるのが、その操作性であり、「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」【bk1】【amazon.co.jp】の統計ソフトの紹介で、田久先生が「SASやSPSSからJMPに乗り換える人はいるけれど、一度JMPを使ってほかのソフトに乗り換える人はいない」と言っているほどです。

しかし、2006年の3月からひとつ大きな問題が生じていました。最新版のJMP6がIntel Macでは動作しなくなっていたのです。私も、JMPに移行すると決心してすぐに、このことがわかったため、またしても統計ソフト難民となってしまっていました。

しかし、ようやく、問題が解決したようです。JMPのサイトにアナウンスが出ました。

Mac OS X 10.4.8 Update Corrects Defect in Apple's Rosetta Emulation
October 5, 2006

The Mac OS X 10.4.8 Update addresses the defect in Apple's Rosetta emulation. JMP 6 is now supported for use on Intel-based Macintosh hardware with Mac OS X 10.4.8 and higher.

All JMP users with Intel-based Macintosh hardware should apply the Mac OS X 10.4.8 Update from Apple to ensure correct numeric calculations.

The Mac OS X 10.4.8 Update can be downloaded from the Apple website.

つまり、Mac OSXが10.4.8にアップグレードされることによって、JMPは無事動作するということです。私は今後、統計ソフトとしてJMPを使っていこうと思っています。

JMP関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい

関連情報は「研究に有用なソフトウェア - 統計ソフト」をご覧下さい。

2006.11.29

StatViewなき後のMacの統計ソフトは何か?(2)〜GraphPad Prism

私がStatViewなき後のMacの統計ソフトとしておすすめする1つめのソフトがGraphPad Prismです。

以前、アップルコンピューターの方とStatViewの次にキラーソフトとなりえる統計ソフトを育てるにはどうしたらよいかという話をしたことがあります。統計ソフトの定番となりうるための条件として、

  • インターフェースがわかりやすいこと
  • 十分な解析手法をカバーしていること
  • わかりやすい解説書が出ていること
  • ソフトが日本語化されていること

があげられます。StatViewが定番ソフトとなり得たのは、上記の条件をすべて満たしており、特に、わかりやすいStatView解説書がたくさん出版されたことによるのだろうというのが私たちの結論でした。

Prismアップルの方が、StatViewの次に定番の統計ソフトに育てていきたいと考えていたのがGraphPad Prismです。GraphPad Prismは以前私がレビューをしたように、 インターフェースはMacソフトとして洗練してされておりソフトとしてはとても使いやすいソフトです。Apple Medicalにおいても「アップル - Medical - Prism:医学統計解析をインタラクティブに処理 」でレビューされていますのでご覧ください。しかし、GraphPad Prismには、解説書がなく、また、ソフトが日本語化されていないのが、このソフトを取っつきにくくしていると考えられます。わかりやすい解説書があれば、日本語化されていないというのはそれほど大きな障壁にはならないので、解説書の出版がながらく待たれていました。

そして、その解説書がついに発刊されたのです。「GraphPad Prismによる生物統計学入門」です。 本書では、まず、統計に関する最低限の統計の基礎知識を解説した後、GraphPad PrismPrismの使用方法、主な解析手法の行い方を解説しています。

GraphPad Prism に興味のある方は、 日本の代理店((有)エムデーエフ)から30日間使用できるデモ版を ダウンロードし、この本を片手に使用してみてはいかがでしょうか。

「GraphPad Prismによる生物統計学入門」

著者:平松 正行著、税込価格:¥6,090、出版:カットシステム、ISBN:4877835008、発行年月:2006.11【bk1】【amazon.co.jp】【目次

Macで評判の高い統計ソフトGraphPad Prismの初の日本語解説書。 基本的な統計の知識を解説した後、GraphPad Prismの使い方を、よく使う解析方法用いて解説。


なお、以下の書籍はGraphPad Prismの解説書ではありませんが、Prismを開発したMotulsky博士の書で、統計の書籍として人気のある本です。

「数学いらずの医科統計学 ~コンピュータ・エイジのための統計学指南」

著者:Harvey Motulsky、津崎 晃一監訳、税込価格: ¥4,935 (本体: ¥4,700)、出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル、ISBN:4-89592-175-1、発行年月:1997.12 【bk1】 【amazon.co.jp

Prismの解説書ではありませんが、Prismを開発したMotulsky博士の書で、統計の書籍として人気のある本です。


関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい。

関連情報は「研究に有用なソフトウェア - 統計ソフト」をご覧下さい。

2006.11.28

StatViewなき後のMacの統計ソフトは何か?(1)

長年、Macのキラーソフトでもあった統計ソフトStatView。残念ながら、2002年に販売を終了してしまいました。StatViewはMac OS Xでは動かず、Mac OS 9またはMac OS XのClassic環境でしか動かせないのですが、今でも多くの方が使っています。しかし、この1年でMacがIntel Macへの移行を完了し、Intel MacがClassic環境をサポートしないので、いよいよStatviewを使うことができなくなります。

では、StatViewに統計を頼り切っていた人たちはどうすればいいのか?私自身、これだというソフトをおすすめすることができませんでしたが、ここにきて、このソフトがいいのではないかとというソフトが出てきました。というか、すでにソフトは存在していたのですが、いくつかの状況が整わずにおすすめできなかったのですが、ここ数ヶ月でその条件がクリアされました。

さて、私がStatViewなき後のMacの統計ソフトとしておすすめするのは何かというと、Graphpad PrismJMPです。

つづく。

2006.03.23

「入門医療統計学」

「入門医療統計学」

著者:森実 敏夫著、税込価格:¥3,990、出版:東京図書、ISBN:4489006810、発行年月:2004.7【bk1】【amazon.co.jp】【目次

必要な数式は最低限に抑えられつつも、医療統計に必要な手法について基本的なものから、ROC分析、Kaplan-Meier生存分析、多重ロジスティック回帰分析、比例ハザード分析などの分析手法にまで解説しています。また、エクセル、JMP、SPSSといった統計ソフトを用いた計算方法についても紹介しており実用的です。バランスがとれた一冊でおすすめです。

関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい。

2006.03.22

「実感と納得の統計学」

「実感と納得の統計学」

著者:鎌谷 直之著、税込価格:¥4,410、出版:羊土社、ISBN:4897064953、発行年月:2006.4【bk1】【amazon.co.jp】【目次

P値などの計算が容易になるにつれ、統計学の本質はますます理解されにくくなっている現状を考え、統計的解析の本質をよく理解したいという読者の要望に応える目的で書かれた一冊です。統計学の本質的な理解よりも、当面の論文作成のためにとりあえずP値を計算する方法を知りたいだけの研究者向けの本ではないとのことで、かなりしっかりとした統計学の本になっています。

関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい。

2006.03.21

Rの情報源

統計ソフトのレビューの中で、Rについて言及するのを忘れていました。

R

Rは統計解析用のソフトですが、より正確には、統計計算とグラフィックスのための言語・環境です。Rはフリーウェアであり、GNUなソフトです。

メニュー型ではなく、コマンド型のインターフェースで、S言語・環境に似ていて、S用に書かれたコードの多くは変更なしでRでも実行できます。RはUnix、Windows、Mac OS X上で動きます。

近年Rに関する日本語の書籍が多く出版されており、初心者でも手を出しやすくなっています。

【Rの情報源】

Rの関連書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい

2006.03.20

研究に有用なソフトウェア-統計ソフト

ここ数日のエントリーをまとめて、統計ソフトのレビューをしたいと思います。

医薬研究者のための統計ソフトの選び方 」【bk1】【amazon.co.jp】を参考にして、現在よく使われている統計解析ソフトをまとめてみました。

  販売会社 Platform 値段 日本語化 使用論文数
SAS SAS Win, Mac レンタル制   186
SPSS SPSS Win, Mac(英語版のみ ¥94,500(A) あり 243
Stata インフォーマティック Win, Mac, UNIX ¥126,000(A), $625(A) なし 93
StatView SAS Win, Mac OS9のみ 生産中止 あり 151
STATISTICA スタットソフト Win ¥129,500 あり 62
SigmaStat HULINKS Win ¥87,885(A) なし 103
SYSTAT HULINKS Win ¥191,100(A) あり 33
MINITAB インフォーマティック Win ¥41,790(A) あり 15
Prism エムデーエフ Win, Mac $445.50(A) なし 393
JMP SAS Win, Mac ¥54,000(A) あり 41
Excel Microsoft Win, Mac   あり 187

※使用論文数はBMJ, JCI, JPET, PNAS, JAPに掲載された論文のうち該当ソフトが使われている論文数。。
※(A)はアカデミック価格。

 

StatView ( 英語版日本語版

統計解析の定番ソフトですが、残念ながら、Statview 5を最後に、2002年12月末で生産中止になってしまいました。解説本もいろいろ発売されています。私も愛用していましたが。Mac版はOS9でしか動きませんので、OSXからはClassic環境で動かす必要があります。また、Intel MacではClassic環境がサポートされませんので、StatViewを動かすことはできません。Windows版もあります。

statview関連書籍

 

SPSS ( 英語版日本語版)

Windows版の統計解析ソフトではもっとも使われているソフトです。Mac版もSPSS for Macとして存在しますが、英語版のみで、バージョンがWindows版に比べ遅れています(Macは11、Winは14)。SPSSはSASとほぼ同じ時期に作られた高い信頼性を持つ汎用統計パッケージです。通常はメニューにより操作しますが、コマンド式でも使えます。SPSS Baseを中心にして、必要なオプションを追加することになります(医学用であれば、BASE systemにAdvanced ModelsとRegression Modelsを追加すれば十分)。医学用のパッケージとして、SPSS Health Care PackDr. SPSS IIが存在します。

SPSS関連書籍

 

Prism (Graphpad社(有)エムデーエフ)

PrismGraphpad PrismはUCSDの薬学研究者であったMotulsky博士が作った統計ソフト、医学生物学における統計解析にフォーカスしているため、生存率解析などの統計解析がそろっています。残念ながら日本語化はされていません。Graphpad社、または、日本の代理店((有)エムデーエフ)から購入できます。Prismに関する書籍は現時点では発行されていませんが、日本の代理店を通して購入した場合は日本語のマニュアルが添付されています。Mac版とWindows版があり、どちらも、価格は$495(アカデミックプライスは$445.50)、日本の代理店から直接購入した場合は、¥79,380です。現在、Prism 4が最新版です。

統計ソフトはどれもそうなのですが各ソフトによって手順や操作性が異なります。Statviewに慣れていた私にはPrismの最初のデータテーブルの作り方からして、とまどいました。しかし、Statviewとの手順の違いに慣れてしまえば、インターフェースを含めとても使いやすいソフトだと感じました。統計解析の手法も私が使う範囲ではほぼ十分だと思いました(唯一、ANCOVAがないのが残念でした)。優れていると感じたのは、データセットに対して適切でない統計解析法は選択できないようになっていることです。また、グラフのクオリティは他の統計ソフトに対する大きなアドバンテージだと思います。

一つだけ、とても気になったのは、多重比較をおこなった際にp値が<0.05と表示されるだけで、実際のp値が出力されないという点です。多重比較というのは、非常によく使う解析法なので、この点が改善されないと私自身、乗り換えることができません。もし、実際のp値を出す方法をご存じの方がいらっしゃれば、是非教えて下さい。

昨年、アップル-MedicalでPrismが取り上げられましたので、是非読んでみて下さい。

アップル - Medical - Prism:医学統計解析をインタラクティブに処理

上記のp値の問題があるので、私自身は、完全に乗り換える決断は下せませんが、30日間のDEMO版がダウンロードできますので、気になる方は試してみて下さい。

なお、以下の書籍はPrismの解説書ではありませんが、Prismを開発したMotulsky博士の書で、統計の書籍として人気のある本です。

「数学いらずの医科統計学 〜コンピュータ・エイジのための統計学指南」

著者:Harvey Motulsky、津崎 晃一監訳、税込価格: ¥4,935 (本体: ¥4,700)、出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル、ISBN:4-89592-175-1、発行年月:1997.12 【bk1】 【amazon.co.jp


JMP ( 英語版日本語版)

Prismと並んで、現在のMac OSXで動く統計ソフトとしてあげられるのがJMP。Statviewが開発中止になったときには、後継ソフトとしてJMPが指定されたわけですが、私の周囲を見ても、JMPに移行する人は多くなく、classic環境でStatviewを使い続ける人が大半でした。私自身もそうでした。

JMPはSASInstitute Inc.の創業者の一人であるJohn SallがMac用に開発したメニュー型ソフトで、John's Macintosh Productの頭文字を取ってJMPと名付けられました。JMPは操作性を重視して作られた SASの廉価版と位置づけと考えるとわかりやすいと思います。JMPの操作手順は探索的であり、適応すべき統計手法をソフト側が判断するというのが一番の特徴です。統計手法の選択に熟知していない人にはありがたい反面、統計手法に精通した人にはまどろっこしいという感じがするかもしれません。

私自身、操作手順やJMP独自のデータのヴィジュアル化に慣れていない部分もあり、食わず嫌いでしたが、うちの大学にはサイトライセンスがあるということで、JMP 5.1を使ってみることにしました。 ちなみに、現在は、JMP 6が最新版になっています。

医薬研究者のための統計ソフトの選び方 改訂2版」【bk1】【amazon.co.jp】に沿って、実際にJMPを使ってみると意外と使いやすいソフトであることが気付きました。「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」【bk1】【amazon.co.jp】の統計ソフトの紹介で、田久先生が「SASやSPSSからJMPに乗り換える人はいるけれど、一度JMPを使ってほかのソフトに乗り換える人はいない」と言っているのがわかるような気がしました。

多重比較に関しては、TukeyのHSD検定、HsuのMCB検定、Dunnettの検定をサポートしています。TukeyとDunnettでほとんど対応ができると思いますが、Dunnettでは正確なp値は出るものの、Tukeyでは正確なp値は出ません。先日紹介したPrismはTukey, Newman-Keuls, Dunnett, Bonferroni といった多重比較法をサポートしていますが、いずれも正確なp値は算出しません。ちなみに、StatviewもTukeyとDunnettのP値は算出しません。

あと、一つの問題は、Intel Mac上でのJMP 5.1の動作は保証されていないと言うこと。実際MacBook ProでJMP5.1を動かした場合、一件問題なく動いているのですが、多重比較計算だけはエラーが出てしまって計算できません。来月、JMP 6のサイトライセンスが始まるようなので、それに乗り換えて検討してみたいと思いますが、JMPのUB化を待たないといけないかもしれません。いずれにしても、思っていたよりはるかに使いやすいソフトでした。

JMPの正規価格は153,300円ですが、アカデミック版は63,000円、また、東京大学、慶應義塾大学、関西学院大学はサイトライセンスを導入していますので、無料で使用可能です。

JMP関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい

 

Excelのアドイン統計ソフト

これは単体の統計ソフトではありませんが、Excelのマクロ機能を使って、Excel上で統計解析をおこなうアドインソフトと呼ばれるものを使っている方も多いようです。Excelのアドイン統計ソフトにはフリーウェアをふくめたくさんのものがあります。

2006.03.19

JMP

Prismと並んで、現在のMac OSXで動く統計ソフトとしてあげられるのがJMP。Statviewが開発中止になったときには、後継ソフトとしてJMPが指定されたわけですが、私の周囲を見ても、JMPに移行する人は多くなく、classic環境でStatviewを使い続ける人が大半でした。私自身もそうでした。

JMPはSASInstitute Inc.の創業者の一人であるJohn SallがMac用に開発したメニュー型ソフトで、John's Macintosh Productの頭文字を取ってJMPと名付けられました。JMPは操作性を重視して作られた SASの廉価版と位置づけと考えるとわかりやすいと思います。JMPの操作手順は探索的であり、適応すべき統計手法をソフト側が判断するというのが一番の特徴です。統計手法の選択に熟知していない人にはありがたい反面、統計手法に精通した人にはまどろっこしいという感じがするかもしれません。

私自身、操作手順やJMP独自のデータのヴィジュアル化に慣れていない部分もあり、食わず嫌いでしたが、うちの大学にはサイトライセンスがあるということで、JMP 5.1を使ってみることにしました。

医薬研究者のための統計ソフトの選び方 改訂2版」【bk1】【amazon.co.jp】に沿って、実際にJMPを使ってみると意外と使いやすいソフトであることが気付きました。「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」【bk1】【amazon.co.jp】の統計ソフトの紹介で、田久先生が「SASやSPSSからJMPに乗り換える人はいるけれど、一度JMPを使ってほかのソフトに乗り換える人はいない」と言っているのがわかるような気がしました。

多重比較に関しては、TukeyのHSD検定、HsuのMCB検定、Dunnettの検定をサポートしています。TukeyとDunnettでほとんど対応ができると思いますが、Dunnettでは正確なp値は出るものの、Tukeyでは正確なp値は出ません。先日紹介したPrismはTukey, Newman-Keuls, Dunnett, Bonferroni といった多重比較法をサポートしていますが、いずれも正確なp値は算出しません。ちなみに、StatviewもTukeyとDunnettのP値は算出しません。

あと、一つの問題は、Intel Mac上でのJMP 5.1の動作は保証されていないと言うこと。実際MacBook ProでJMP5.1を動かした場合、一件問題なく動いているのですが、多重比較計算だけはエラーが出てしまって計算できません。来月、JMP 6のサイトライセンスが始まるようなので、それに乗り換えて検討してみたいと思いますが、JMPのUB化を待たないといけないかもしれません。いずれにしても、思っていたよりはるかに使いやすいソフトでした。

JMPの正規価格は153,300円ですが、アカデミック版は63,000円、また、東京大学、慶應義塾大学、関西学院大学はサイトライセンスを導入していますので、無料で使用可能です。

JMP関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい

関連情報は「研究に有用なソフトウェア - 統計ソフト」をご覧下さい。

2006.03.10

GraphPad Prism

Statviewが開発を中止して以来、Mac愛好家は統計ソフト難民となってしまいました。選択肢としては、

  • Classic環境でStatviewを使い続ける。
  • JMPに乗り換える。
  • Prismに乗り換える。
  • Excelのアドインソフトに乗り換える。

これまで、私はClassic環境でStatviewを使い続けていたのですが、いよいよIntel MacではClassic環境が動かなくなるために他の統計ソフトへの乗り換えをを考えなければいけない時期になりました。Statviewを開発していたSAS InstituteはStatviewの後継ソフトとしてJMPを紹介していましたが、JMPは探索型のソフトウェアで、Statviewとはかなり操作性が異なる印象があります。というわけで、もう一つの候補であるPrismのDemo版を手に入れて試してみました。

PrismGraphpad PrismはUCSDの薬学研究者であったMotulsky博士が作った統計ソフト、医学生物学における統計解析にフォーカスしているため、生存率解析などの統計解析がそろっています。残念ながら日本語化はされていません。Graphpad社、または、日本の代理店((有)エムデーエフ)から購入できます。Prismに関する書籍は現時点では発行されていませんが、日本の代理店を通して購入した場合は日本語のマニュアルが添付されています。Mac版とWindows版があり、どちらも、価格は$495(アカデミックプライスは$445.50)、日本の代理店から直接購入した場合は、¥79,380です。

統計ソフトはどれもそうなのですが各ソフトによって手順や操作性が異なります。Statviewに慣れていた私にはPrismの最初のデータテーブルの作り方からして、とまどいました。しかし、Statviewとの手順の違いに慣れてしまえば、インターフェースを含めとても使いやすいソフトだと感じました。統計解析の手法も私が使う範囲ではほぼ十分だと思いました(唯一、ANCOVAがないのが残念でした)。優れていると感じたのは、データセットに対して適切でない統計解析法は選択できないようになっていることです。また、グラフのクオリティは他の統計ソフトに対する大きなアドバンテージだと思います。

一つだけ、とても気になったのは、多重比較をおこなった際にp値が<0.05と表示されるだけで、実際のp値が出力されないという点です。多重比較というのは、非常によく使う解析法なので、この点が改善されないと私自身、乗り換えることができません。もし、実際のp値を出す方法をご存じの方がいらっしゃれば、是非教えて下さい。

昨年、アップル-MedicalでPrismが取り上げられましたので、是非読んでみて下さい。

アップル - Medical - Prism:医学統計解析をインタラクティブに処理

上記のp値の問題があるので、私自身は、完全に乗り換える決断は下せませんが、30日間のDEMO版がダウンロードできますので、気になる方は試してみて下さい。

なお、以下の書籍はPrismの解説書ではありませんが、Prismを開発したMotulsky博士の書で、統計の書籍として人気のある本です。

「数学いらずの医科統計学 〜コンピュータ・エイジのための統計学指南」

著者:Harvey Motulsky、津崎 晃一監訳、税込価格: ¥4,935 (本体: ¥4,700)、出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル、ISBN:4-89592-175-1、発行年月:1997.12 【bk1】 【amazon.co.jp


2005.05.06

「日常診療にすぐに使える臨床統計学」

「日常診療にすぐに使える臨床統計学」

著者:能登 洋著、税込価格:¥3,990、出版:羊土社、ISBN:4897066948、発行年月:2005.5【bk1】【amazon.co.jp】【目次

Evidence-based Medicineを日常診療に役立てるために好適な、臨床統計学の入門書。


統計関連の書籍は「研究者の書棚:統計関連書籍」をご覧下さい。

2004.04.21

Rの情報源

2月頃に燃えさかった統計勉強熱も、いまではすっかり冷めてしまいました。統計ダメ人間にとっては、結局、統計ソフトに頼るしかありません。ただ、問題なのは、Mac OS X nativeの環境で使える統計ソフトがほとんどないという現状。Statviewが開発を終えてしまった現状で困っている方も多いのではないでしょうか。後継ソフトとして案内されているJMPはちょっと毛色の違うソフトのようです。Windows環境だとおそらくSPSSがスタンダードなんでしょうが、SPSSのMac版というのは日本ではかなりバージョンが古いものしか手に入りません。昨年UCSDのBookstoreでSPSS Mac版のOS X native版を見かけましたが、残念ながらStudent版ということで売ってくれませんでした。じゃあ、何がいいの?ということになりますが、最近私の中で、いつか使ってやろうと思っているのが、Rです。Rはコマンドベースで動くので、Statviewなどと比べるとかなり使い勝手が異なりますが、無料でオープンソフトウェアとして開発されています。最近では、Rで統計計算をしている方も多くなり、だいぶ関連情報も増えてきています。

自分のメモ書きもかねて、Rの情報源をまとめておきます。

■Rの情報源
■書籍
「Rによる統計解析の基礎」

著者: 中沢 港、本体価格: ¥1,800、出版:ピアソン・エデュケーション、ISBN:4-89471-757-3、発行年月:2003.10【bk1】【amazon.co.jp

Rについて書かれた唯一の日本語の本。Rの使い方の説明書というより、Rを用いながら統計解析の基礎について説明するという本です。なかなかわかりやすくてよいです。http://phi.ypu.jp/stat.htmlで草稿がPDFで公開されています。

「R-tips〜統計解析ソフトRの備忘録」

http://cse.naro.affrc.go.jp/takezawa/r-tips.pdf

これは正式に本として出版されているものではないのですが、無料で公開されているPDFで、なんと282ページにわたるRの日本語によるマニュアルです。

といいつつ、StatviewをClassic環境で立ち上げる日々。いつになったらR使いになれるのだろうか。

最近のR関連の書籍は研究者の書棚:統計関連書籍をご覧下さい。

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