2012.05.28

『“教養”としての研究留学』連載始まる

医学のあゆみ誌にて、島岡要先生の『“教養”としての研究留学』の連載が始まりました。昨年の8月に私と廣田先生と島岡先生で鼎談をおこなったときに、島岡先生がおっしゃっていた企画が実現されました。

島岡先生が、この企画の意図を述べられています。

『“教養”としての研究留学』とは、研究留学を終えて帰国後10年程度経過した研究者や医師を島岡が訪ねてインタビューし、研究留学の中・長期的なインパクトを検証するフィールドワークの旅です。

第1回目は、京都大学皮膚科、椛島健治先生との対談です。1回目から、島岡先生相当飛ばしていて、13ページのボリュームですよ。椛島先生のおもしろさもあって、これは、必読ですね。興味のある方は、是非、今週号の『週刊 医学のあゆみ』をご覧下さい。

今後、これからも、年に数回、この企画は行われると聞いていますが、とても楽しみです。

2011.08.15

「研究留学を振り返って」鼎談のテイクホームメッセージ

鼎談という言葉知りませんでしたよ。無知ですね。

3人で話し合うことを鼎談というのだそうです。「ていだん」と読みます。

ということで、先週の土曜日におこなったのは、対談ではなくて、鼎談ですね。でも、自分の中で、元々2人でやるつもりで、対談企画として進んできて、急遽、3人になったものですから、、、、。

その鼎談の内容は、きちんと文章になるはずなのですが、なにぶん、放言に近いような内容も含まれていて、司会進行役の私がまったく、役立たないものですから、編集者の方はきっとこれから、大変な思いをして、テープ起こしされると思います。

ということで、その鼎談の、一番重要な部分だけ、テイクホームメッセージとして、まとめておくと、次のようなことになるかと。しかし、あくまで、これは、私が感じた一番重要と思われた内容なので、他の2名の方は、別の意見かもしれません。

留学するかどうかとか、進路に関しては、先輩や師匠、上司が言うことに従っておけば、そうそう間違いはない。自分で勝手に情報を集めたりして、あれこれ考えようとするから失敗する。

研究留学に、短期的なメリットを求めること自体が間違いであり、研究留学が、意味があるかどうかは、何年も経ってからようやくわかることである。

留学することは、「教養を身につける」ことと似ている。

いずれにしても、研究留学は、是非ともするべきである。

上記の文面だけを読むと、多くの方に誤解を与えるでしょうね。あくまでも、自分用のメモです。詳細は、「医学のあゆみ」に掲載されたものをお読み下さい。掲載は11月くらいのようです。

2011.08.13

「研究留学を振り返って」対談

研究留学術」は、すでに出版から10年近くが経っていますが、今でも、少しずつではありますが、売れ続けています。「ベストセラーより、ロングセラーを」と思って書いた著者としてもうれしい限り。

ただし、書いた人間からすると、読み直すと、あちこちに古い記述があり、なんとか、書き直したいという気持ちもあります。しかし、この本自体、私が1999年にアメリカに留学したときの体験記ですので、体験記を書き直すわけにもいきません。もう一度、留学すれば、書き直せるのでしょうが。

ということで、せっかく、買って下さる方には、いつも申し訳ないと思っていました。

そこで、考えたのが、「研究留学術」にも、留学体験記を寄せて下さった廣田(@bodyhacker)さんとの対談「研究留学を振り返って」を追加するというものです。二人とも、留学から帰国して10年近くが経っていますから、留学の意味みたいなものを、第三者的に話し合えるのではないかと思って提案して、医学のあゆみの編集部からもOKが出ました。

さらに、ふとアイデアが沸き、もう一人くらい、追加しようと考えたのが、「研究者の仕事術」の作者の島岡要さん。島岡さんは、私たちと、だいぶキャリアパスが異なっていて、アメリカでPIとして活躍されていましたので、きっと、議論もふくらむだろうという思惑。最近、日本に戻られていたので、お声がけしたら、よろこんで参加して下さるとのこと。

企画が決まったのが、2ヶ月前。それから、今日を迎えるのを、本当に楽しみにしていました。

対談場所は、京都の老舗割烹旅館、八千代。南禅寺の門前にあります。

対談では、かなり突っ込んだ話し合いになりました。

・後輩には研究留学を勧めるか?

・研究留学はあなたの人生にとって、プラスだったか?

・MDが基礎研究をする意味はあるのか?

などなど、対談は2時間を予定していましたが、大幅に超過して、その後の食事、2次会と延々と番外編が続きました。

対談内容は、医学のあゆみに近々、2回に分けて収載されますので、その時はお知らせします。また、「研究留学術」の増補版に収載されます。

2011.06.16

留学先を探すということ簡単なことではない

日本腎臓学会では「Meet the Professor」という企画があります。これ、とてもよい企画です。若い日本人研究者10人くらい集まり、一人ずつ、海外から招聘したProfessorに自分のデータを英語でプレゼンして、研究に対してProfessorがアドバイスする。私は、横で見ていたのですが、若い人たちが、実にしっかりしていて感心しました。Professor側も、本当に真摯にコメント、アドバイスしていました。こういう中から、ちゃんと自分の留学先を探す人も出てくるでしょう。日本腎臓学会として胸を張れる企画です。是非、今後も、続けて欲しい。

最近、留学先を探したいという人から相談を受けることが多くなりました。アメリカは全般的に研究費が厳しいと言われています。特に、nephrologyのエリアでは、厳しいと聞いています。そういった状況で、留学先を探すことは簡単なことではありません。もちろん、上司が率先して留学先を紹介してくれるような幸せな方もいるでしょう。でも、なかなか、そういうのも難しくなっていると思います。

留学先を探している人へのアドバイスは、ただ一つ。「ひたすら、あらゆる場面を利用して自分をアピールし続けること」。

国際学会は最大のチャンスです。できる限り、参加し、発表し、チャンスがあれば、自分を売り込むこと。でも、日本にいたって、チャンスはたくさんあるのです。海外から招聘演者がいれば、是非、その人の研究をよく調べて下さい。研究に興味があれば、来日以前にCVを送って、話す時間を取ってくれとお願いしましょう。その人が、現在、ポスドクのポジションがないと言っていても、そうやって顔をつないでおけば、いつか、ポジションが空いたときに声をかけてくれるかもしれません。また、自分のラボじゃなくても、知り合いのラボに紹介してくれるかもしれません。海外の研究者とコネクションの強い日本の研究者と知り合いになって、売り込むことも大切です。

今回のMeet the professorなんか絶好の機会です。こういったチャンスを利用しないで、なかなか留学先が見つからないとか言っている人は、努力不足と言われても仕方ないです。

それだけ努力しても、ラボ探しには2年くらいかかるでしょう。

留学先探しってそう言うものだと思います。

2009.05.20

米国赴任直後の携帯電話

たまには、研究留学関連の話題を。

研究留学などで米国赴任直後には、ホテル住まいしながら、住宅探しや生活のセットアップするので、携帯電話はマストアイテムの一つ。米国に着いたら、すぐ、携帯電話を現地で契約すればいいと考える方も多いと思うのですが、ソーシャルセキュリティナンバーを持っていないことを理由に多額の保証金を要求されるケースが多いことが問題です。もちろん、日本の携帯電話を持って行っても、世界対応のものなら、使えますが、ご存じのように通話代が高額です。

そのような問題を解決する一つの方法として、「米国長期滞在者向け携帯電話KDDI mobile」があります。

これは、出国前に申し込んで(円建てのクレジットカードが必要)、出国前に受け取り、米国到着後直ちに使えるというものです。

詳しくは、http://www.global-protection.co.jp/support5/index.phpをご覧下さい。

2007.03.28

EAD(労働許可証)取得の体験談

popoさんから、EAD(J2の労働許可証)を取得したときの体験談をいただきましたので掲載します。

婚姻証明がなくても労働許可証が取得できたので、一応報告します。

現在J-2でメリーランド州に滞在しています。労働許可証を郵送で申請して、約1ヶ月で取得しました。

郵送したものは

  • Form I-765:ダウンロードして、打ち込みました。
  • 手数料$180:Check
  • 背景白の正面を向いた写真2枚:写真屋で撮りましたが、普通の照明で白幕の前でデジカメで撮ってプリントだったので、家で撮影しても変わらないと思いました。
  • DS-2019のコピー(J-1とJ-2両方)
  • I-94のコピー(表裏両面、J-1とJ-2両方)
  • パスポートのビザのページのコピー(J-1とJ-2両方)
  • パスポート顔写真の貼ってあるページのコピー(J-1とJ-2両方)
  • 労働許可の申請が、J-1ビザホルダーの経済サポートのためではないことを示したレター(Fabreさんの投稿記事を参考に作成しました)

以上を2007年1月24日に郵送し、1月31日に受領したとの手紙が届く。
2007年2月26日にUSCISのサイトでカードの作成に入ったと表示。
2007年3月2日にEADカードが到着。

多くの人が書いているような特別な婚姻証明はなくても発行されました(私が見たサイトにはJ-2の該当欄には必要と書かれていなかったし、DS-2019自体が証明も兼ねていると思い送りませんでした)。

郵送は手間も少なく、思ったより早い(時期にもよる?)ので、e-filingより簡単でいいと思いました。

関連の記事は 研究留学ガイド > J-2ビザ所持者の労働 をご覧下さい。

2006.11.26

ポスドク先選びのための10のルール

PLoS Computational Biologyに「Ten Simple Rules for Selecting a Postdoctoral Position 」が出ていました。大学院卒業し、ポスドク先を探している若い研究者へのアドバイスです。もちろん、研究留学でポスドク先を探している人にも参考になるアドバイスです。本文は無料で読めますので、読んでいただくとして、私なりに(かなり意訳した)ものを掲載いたします。

Rule 1: Select a Position that Excites You - エキサイトする職を選ぼう。いい仕事するためのモチベーションになるのはサラリーではなく、サイエンスである。

Rule 2: Select a Laboratory That Suits Your Work and Lifestyle - あなたの仕事のスタイル、ライフスタイルに合った研究室を選ぼう。ポスドク先を決める前に研究室を訪問し、大学院生、ポスドクたちに話を聞こう。仕事以外のプライベートな時間をどのように過ごせるか、研究室のロケーションも大事な要素である。

Rule 3: Select a Laboratory and a Project That Develop New Skills - 新しいスキルを身につけられるような研究室、研究プロジェクトを選ぼう。大学院と同じ研究室でポスドクを行うことには慎重になった方がよい。キャリアとしてはネガティブに評価されることが多い。

Rule 4: Have a Backup Plan - バックアッププランを持とう。チャレンジングなテーマに挑戦すべきであるが、確実にデータの出るプロジェクトも並行して行うべきである。

Rule 5: Choose a Project with Tangible Outcomes That Match Your Career Goals - あなたのキャリアゴールに合うような具体的な成果が得られるプロジェクトを選ぼう。アカデミアに残っていくのであれば、具体的な成果とはPublicationである。少なくとも1年に1報の論文を書くよう努力すべきである。

Rule 6: Negotiate First Authorship before You Start - 研究を始める前にFirst Authorになれるのか交渉しよう。

Rule 7: The Time in a Postdoctoral Fellowship Should Be Finite - ポスドク期間は3年で十分であり、できれば3年の契約を得るのが望ましい。1年の契約しかしてくれないという場合には慎重にならなければいけない。ポスドクの給料の出所となるグラントについても調べておこう。

Rule 8: Evaluate the Growth Path - ポスドク後の研究テーマについても考えよう。ポスドク後にAssisstant Professorとして独立する場合、ポスドクの間にうまくいった研究テーマを継続することが多い。しかし、 テーマを持ち出すにはボスの許可が必要になる。なぜなら、ボスが競争相手になるからである。

Rule 9: Strive to Get Your Own Money - 自分で研究資金を取るように努力しよう。自分で研究資金を得れば、独立性が高くなるし、経歴にもプラスである。

Rule 10: Learn to Recognize Oppotunities - 新しい研究領域を開拓している、または、開拓する可能性のある研究室、ボスを選ぼう。新しい研究領域に参加できれば、非常に有利である。

2006.10.24

EAD(労働許可証)取得の体験談

mayaさんから、EAD(J2の労働許可証)を取得したときの体験談をいただきましたので掲載します。

私はJ-2で現在カリフォルニアに滞在中です。労働許可証を郵送にて申請しました。

(用意した書類)

  • Form I-765 for Employment Authorization。→USCISのサイトからダウンロード。
  • 手数料$180。→私名義のCheckにて送付。
  • 正面を向いた写真2枚→ FedEXの店舗にて労働許可証用といって撮ってもらった。確か15ドルくらいでした。
  • I-94のコピー(表裏両方、J-1とJ-2両方)
  • パスポートのビザのページと顔写真の貼ってあるページのコピー →J-1,J-2の両方を用意しました。J-1は要るとは書かれていませんでしたが、念のために用意。
  • J-1とJ-2のDS-2019のコピー
  • 婚姻証明→サンフランシスコの日本総領事館にて申請。(サイトによってはこれが必要とかかれていない場合もある)
  • 労働許可の申請が、J-1ビザホルダーの経済サポートのためではないことを示したレター

これを全て揃え、2006年8月9日付でUSCISのカリフォルニア管轄のオフィスに郵送。

4日後に書類を受け取ったという手紙がUSCISから届く。

そこからは音沙汰なし。USCISのサイトで審査状況をチェックすることができるのでこまめに見ていたが変化なし。

10月12日付けでサイト上に「許可が下りた。カードの作成に入ったのでカードが出来次第郵送する」という表示が出た。

10月20日、普通郵便にてEADが到着。申請から約2ヶ月かかりました。

小さな子供がいるので、オフィスに出向いたりするのは避けたかったので、郵送にしました。書類さえ完璧であれば一回の郵便局訪問で済むので楽でした。オンライン申請のほうが到着までの時間は早いんでしょうね。

関連情報は研究留学ガイドJ-2ビザ所持者の労働をご覧下さい。

2006.09.30

NIH R01グラントの新規採択率が10%を切った

Science誌に最近のNIHのfundingの厳しさを指摘する記事が出ていました(「Declines in Funding of NIH R01 Research Grants」Science 2006 313: 1387-1388)。その記事の中で最近ののNIH R01グラントの採択率の推移が出ていました。周囲の方たちから、ここ数年間NIHの予算はかなり厳しくなっているという噂を聞いていたものの、数字を見ると、相当厳しいということが実感としてわかります。2005年のNIH R01グラントの新規分の採択率はなんと10%を切っています。5年前の半分程度です。R01グラントはアメリカの生命科学系の研究者の生命線ですから、なんとも厳しい状況です。

年度
採択率(新規)
採択率(継続)
1999
19.7
55.1
2000
20.1
52.8
2001
19.2
52.8
2002
18.2
49.3
2003
15.4
45.0
2004
12.1
40.6
2005
9.1
32.4

NIHのfundingが厳しくなれば、当然、研究留学をする人たちにも大きな影響が出るわけで、研究費が取れないので、「やっぱりポスドクとして雇えない」といったケースも増えてくるでしょう。9.11のテロ事件の影響もいまだ残っていて、 アメリカでの研究留学はなかなか厳しい状況にあるといえます。

関連記事:NIHグラントの仕組み

2006.09.27

カリフォルニアバンクアカウント

渡米直後の銀行口座の開設や立ち上げ費用の送金などは面倒なことの一つですが、このサイトをご覧になった三菱東京UFJ銀行の方から「カリフォルニアアカウント」というサービスがあることを教えて頂きましたので、紹介致します。

私ども三菱東京UFJ銀行では、ポストドクの方をはじめ米国駐在員、留学生の方のニーズにお応えした海外口座ご紹介サービス「カリフォルニアアカウント」を取扱しております。駐在される皆様が本邦をご出発前する前に、弊行グループの米国銀行、Union Bank of California(略称UBOC、本店San Francisco、Seattleを含む西海岸3州に321支店あり)のChecking Account開設を、弊行がお取次するサービス。出発の1ヶ月くらい前までにお申し込み頂ければ、出発前に小切手帳、Debitカード機能付きATMカードなどを受け取ることが可能です。この結果、他の方法では難しい以下のようなことが可能となります。

  1. ご出発前にご自分で生活立上げ資金を送金。
  2. 到着後の銀行口座開設手続きが不要。(最近はSocial Security Number取得に数週間を要するようになっており、その間口座開設に応じない銀行が多いことから、日系企業の駐在員でも苦労されている方が少なくない由。)
  3. 到着後直ちに小切手が切れる、ATMで現金がおろせる、スーパーやガソリンスタンドでDebitカードが使える。
  4. 到着後直ちに小切手の入金が出来る。
  5. 日本からも米国からもかけられる日本語フリーダイヤルが使える。(月-土、日米時間とも対応)
  6. 夫人との共同名義の口座開設が可能。
  7. 口座開設と同時に使えるインターネットバンキングのBill Payment機能を使い、各種公共料金、米国内送金などが無料で出来る。
  8. 帰国後も以上機能をそのまま継続可能。未払いの各種料金の支払は請求書さえ送ってもらえば自分で出来るし、帰国翌年初めのTax Returnの時の決済口座として使える。
  9. 日本語コールセンターへのFAXにより、外国送金・口座解約とその代わり金送金が可能。

お申し込み出来るのは、弊行の本邦の本支店に預金口座を保有されるお客さま。本人確認資料として以下のうち2つの提出が必要です。
(1)パスポートのコピー (2)日本の運転免許証のコピー (3)三菱東京UFJ銀行、UFJニコス、DCカード、東京クレジットサービスのいずれかが発行した本人名義クレジットカードの番号

詳しくは、http://www.bk.mufg.jp/tsukau/kaigai/kouza/cali/index.htmlをご覧下さい。

渡米前に口座を作成しておくことができ、あらかじめ送金しておくことで、すぐに小切手が切れるというのがメリットかと思います。特に、支店が赴任地の近くにあるような方は便利かと思います。

2006.05.26

BTJジャーナル「研究者キャリアパス日米比較」

以前、「切磋琢磨するアメリカの研究者たち」を紹介したところ、amazonのランキングで一気に100位近くまで売り上げを伸ばすほどの反響がありました。私は、今でもこの本は、研究する研究者必読の本だと思っています。

このたび、「切磋琢磨する研究者」の著者の菅裕明氏がBTJジャーナルの5月号から「研究者キャリアパス日米比較」という連載を始められました。第1回は「キャリアの根幹「テニュア」とは?」です。PDFファイルが無料で読めますので、是非、お読みください。

2006.05.07

NIH Funding Opportunities, Peer Review and Grant Writing

NIHグラントの仕組みを知ることは研究留学を成功させる上で非常に重要なことだということを何回かお伝えしてきました。以前、「NIHグラントのしくみ」をまとめました。

NIHグラントに関して役立つ情報源として、以前から知っていたものの、URIが変わってご紹介できずにいたサイトを探し当てたので紹介します。

NIH Funding Opportunities, Peer Review and Grant WritingはStanford大学が提供するNIHグラントに関するワークショップの記録です。Module Iでは NIHグラントの仕組みを、Module IIではNIHグラントの書き方を解説しています。どちらも1.5時間、2時間というかなりボリュームのあるビデオです。

アメリカで独立を目指す人は,もちろん、多くの研究留学をしている方必見のビデオといえます。「NIHグラントのしくみ」で基礎知識を確認してから視聴することをおすすめします。

2006.04.07

札幌総領事館でビザ申請受付が始まります

すっかりこのblogは研究留学ネットのWhat's new!ではなくなっているので、たまには、研究留学関係の情報を。

北海道の方に朗報です。2006年4月19日より、札幌総領事館で、非移民ビザ発給の手続きが開始されます(情報源:http://tokyo.usembassy.gov/j/tvisaj-main.html)。これで、北海道の方が、わざわざ東京まで面接を受けに行く必要がなくなります。ただし、面接は毎日おこなわれるのではなく、月2日程度のようです。面接日の指定の仕方も東京、大阪とは異なっています。また、東京、大阪での面接と異なり、あらかじめ、パスポート以外の書類(パスポートのコピー、DS-156、DS-157、DS-158、DS-2019、申請料払い込みの領収書、SEVIS費確認書、など)を面接日の1週間前までに郵送しておく必要があります。詳しい手順については、http://tokyo.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-nivapplysapporo.htmlに説明されています。

以下、全文を引用します。

札幌総領事館でビザ申請受付を開始します

2006年4月19日より、札幌総領事館で、毎月非移民ビザ発給手続きを開始します。札幌は、東京の大使館や大阪、那覇総領事館と同様に、新たな非移民ビザ申請場所として加わります。これまで、北海道や東北地方に居住している方は、ビザの面接を東京で受けなければなりませんでしたが、今後は、より便利な方法を提供し米国への旅行を推進および促進しています。

短期商用・観光、あるいは留学等、渡米する方で非移民ビザ申請が必要な方は札幌総領事館で面接を受けることができます。

札幌総領事館での面接は、月に2日間です。殆どの場合、ビザは面接後約10日以内に発給されます。札幌での申請を希望する方は、こちらをご覧ください。または、ビザインフォメーションライン (03-5354-4033) におかけになり、予約方法の詳細をお尋ねください。

2006.02.23

学術振興会海外特別研究員の公募が開始

学術振興会海外特別研究員の公募が開始されました。例年に比べて大きな違いはありませんが、今年度から海外特別研究員に採用された方の全員の氏名、審査員の全員の氏名が公開されるようになりました。

特別研究員の公募も始まっています。今年度から、特別研究員-RPDという枠(30名)も設けられました。特別研究員-RPDとは、優れた若手研究者が出産・育児による研究中断後に円滑に研究現場に復帰する環境を整備するため、研究奨励金を一定期間支給し、研究活動再開を支援する事業です。

2006.01.18

ポスドクの給与水準に関するNIH勧告

2006年度のポスドクの給与水準に関するNIH勧告が出ていました。

Career Level 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000
Undergraduates in the MARC and COR programs
 Freshmen /  Sophomores $7,812 $7,812 $7,812 $7,296 $7,269 $6,948 $6,948
 Juniors /  Seniors $10,956 $10,956 $10,956 $10,224 $10,244 $9,732 $9,732
Predoctoral
  $20,772 $20,772 $20,772 $19,968 $18,156 $15,060 $15,060
Postdoctoral
Years of Experience
  0 $35,568 $35,568 $35,568 $34,200 $31,092 $28,260 $26,916
  1 $37,476 $37,476 $37,476 $36,108 $32,820 $29,832 $28,416
  2 $41,796 $41,796 $41,796 $40,920 $38,712 $35,196 $33,516
  3 $43,428 $43,428 $43,428 $42,648 $40,692 $36,996 $35,232
  4 $45,048 $45,048 $45,048 $44,364 $42,648 $38,772 $36,936
  5 $46,992 $46,992 $46,992 $46,404 $44,616 $40,560 $38,628
  6 $48,852 $48,852 $48,852 $48,444 $46,584 $42,348 $40,332
7 or more $51,036 $51,036 $51,036 $50,808 $48,852 $44,412 $42,300

クリントン政権時代にはすごい勢いで給料が増加していましたが、ブッシュ政権となって、ここ3年間は据え置きとなっています。

ちなみに、実際にすべてのポスドクがこの額をもらっているというわけではなく、NIH以外ではあくまでボスの裁量で給料は決められています。この基準とは別に、独自の基準を設けている大学も多いようです。

毎年、こちらのページで情報を更新しています。

2004.06.26

新しい日米租税条約発行に伴う変更

いつも研究者の税金に関する情報を提供してくださっている若菜雅幸さん(米国公認会計士)より、2003年11月に署名された新日米租税条約について情報をいただきましたので紹介します。

新日米租税条約について

2004年3月30日、日米租税条約の批准書が日米間で交換されました。これによって、源泉徴収を伴う租税に関しては、2004年7月1日より、新日米租税条約が適用になることになりました。

研究留学中の皆様が影響を受けると思われるものの中から、以下に重要なものを記載いたします。

・Teacher, Researcherの2年間非課税に関して
条文#がかわります。#19→#20

・Scholarship, Fellowship Grantの5年間非課税に関して
今回の新条約によって適用がなくなります。特にNIHなどに勤務する方で、3月31日以降渡米される方は、ご自身での確認をお勧めいたします。IRS Publication901 によると、2004年3月30日現在で旧条約の#19、#20に該当する場合は、引き続きその恩恵を受けることができると記されています。

ご参考にしていただければ幸いです。

さらに詳しい情報は若菜さんが作られているウェブサイトhttp://www.wakanacpa.com/を参考にしてください。

2004.04.05

Making the Right Moves

昨日は、「アット・ザ・ヘルム」を紹介させていただきましたが、ハワードヒューズ医学財団が配布している小冊子「Making the Right Moves: A Practical Guide to Scientific Management for Postdocs and New Faculty」を紹介いたします。

この小冊子はハワードヒューズ医学財団が、なりたての若いPIや、独立を考えているポスドク向けに2002年7月におこなったセミナーの内容をまとめたものです。233ページからなる小冊子ですが、PDFファイルがhttp://www.hhmi.org/grants/office/scimgmt.htmlから無料でダウンロードできます。目次内容を日本語で紹介してみます。

第1章:Faculty Positionの探し方
・Applyの仕方(Cover Letter、CV、Research Proposal などの書き方)
・job Interviewの受け方
・Offerを受けた後のNegotiateのやり方
・Facultyになったあとの昇進、テニュアの取得
第2章:大学組織
第3章:ラボの運営の仕方
第4章:ラボスタッフ
・どのようなスタッフを雇うか?
・スタッフの採用の方法(募集の仕方、面接の仕方)
・スタッフの解雇の仕方
第5章:よいボスであるために
第6章:時間管理
第7章:プロジェクトの管理
第8章:データ管理とノートの付け方
第9章:グラントの取得
第10章:論文投稿
第11章:特許出願
第12章:共同研究

これらは本来的には、これから研究室のボスになろうという人向けにかかれたものでありますが、昨日もお話ししたように、アメリカの研究室でポスドクになる人にも必読の内容となっています。

たとえば、ラボのスタッフの採用に際してのインタビューの方法についても詳しく書いてありますが、電話インタビューを行う際の質問票までついています。これは、逆に言えば、これから留学先をさがし、インタビューを受けるという人は、この質問票に沿った準備をしておかなければならないということです。

アット・ザ・ヘルムやこの小冊子を読むと、PI、テニュア、ハードマネーとソフトマネー、R01グラントなど、留学前の方にはよくわからない専門用語が並んでいます。これらの専門用語の解説も含め、アメリカのラボの基礎知識について近々連載ができればと思っています。

2004.03.07

ポスドク給与水準に関するNIH勧告2004年度版

恒例のポスドク給与水準に関するNIH勧告2003年度版がNIHから発表になっていました。NIH以外の研究期間では必ずしもこの通りの給料が払われるわけではありませんが、一つの目安にはなっています。

http://grants.nih.gov/grants/guide/notice−files/NOT-OD-04-023.html

Career Level 2004 2003 2002 2001 2000
Undergraduates in the MARC and COR programs        
  Freshmen/Sophomores $7,812
$7,296
$7,269
$6,948
$6,948
  Juniors/Seniors $10,956
$10,224
$10,244
$9,732
$9,732
Predoctoral $20,772
$19,968
$18,156
$15,060
$15,060
Postdoctoral Years of Experience  
  0 $35,568
$34,200
$31,092
$28,260
$26,916
  1 $37,476
$36,108
$32,820
$29,832
$28,416
  2 $41,796
$40,920
$38,712
$35,196
$33,516
  3 $43,428
$42,648
$40,692
$36,996
$35,232
  4 $45,048
$44,364
$42,648
$38,772
$36,936
  5 $46,992
$46,404
$44,616
$40,560
$38,628
  6 $48,852
$48,444
$46,584
$42,348
$40,332
  7 or more $51,036
$50,808
$48,852
$44,412
$42,300

ちなみに、昨年度から、NATIONAL RESEARCH SERVICE AWARDからRUTH L. KIRSCHSTEIN NATIONAL RESEARCH SERVICE AWARDとなって、NIHのdeputy directorの名前が頭についていますが、この経緯についてご存じの方がいらっしゃれば教えて下さい。

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