本の紹介「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」
科研費の時期がやってきました。羊土社の『科研費獲得の方法とコツ』は、科研費申請書の書き方本の先駆者であり、ベストセラーですが、昨年あたりから、本書を追撃する本が、いくつかの出版社から出版されました。よほど、売れるんでしょうね。
さて、本家の児島将康先生は、どうするのかと思っていたら、まったく違うコンセプトの科研費申請書の書き方本を出してきました。
児島先生いわく、『科研費獲得の方法とコツ』が長編小説だとすると、今回の『科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック』は短編小説集とのことです。『科研費獲得の方法とコツ』がベストセラーになる中、たくさんの大学の科研費申請セミナーに呼ばれ、たくさんの相談を受ける中で、科研費申請書を書く研究者に共通した悩む箇所が理解できたとのことです。
そのような陥りやすい箇所を、78の実例を添削する形でアドバイスしているのが本著です。
さっそく読ませていただきましたが、本書は、 『科研費獲得の方法とコツ』に変わる本ではないと思います。
私なりのお勧めとしては、はじめて科研費申請書を書く人には『科研費獲得の方法とコツ』をお勧めします。何回書いても、なかなか通らないという人は、本書を読むことで、展望が開けるかも知れません。また、若手研究者を指導されている方は、本書を読むと、若手研究者が書いた科研費申請書のチェックリストのような使い方ができるのでおすすめです。
というわけで、『科研費獲得の方法とコツ』と本書を、うまく使い分けるといいと思います。他社からも何冊か、科研費申請書の書き方本が出ていますが、児島先生のレベルにはまったく達していませんので、おすすめしません。