本の紹介「色弱の子どもがわかる本」
僕の大学院時代からの同僚、東京慈恵会医科大学の岡部正隆くんが「色弱の子どもがわかる本」という本を出版しました。
岡部君自身、自分が色弱であるそうで、遺伝子の多様性に対応したやさしい社会の実現を目指した「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の普及啓発活動も行なっています。
以下、彼から、この本がどんな本か解説してもらいました
当事者目線で書いたQ&Aコミックブックです。これまで眼科医の執筆した色弱の解説書はいくつかあります。「こんなことが不得意です」「こんなことができないかもしれません」「こんな職業には向いていないかもしれません」といったことが書かれていながら「日常生活には支障ありません」と締めくくられているのがほとんど。母親や担任の先生など、色弱の子の成長を見守る人たちからすれば、「支障はありません」「時に気にする必要はありません」と言われてもどうしていいのやら… そんな不安を少しでも解消できるようにという想いで出版しました。
この4月から学校の色覚検査が希望者に対して再開されました。文科省の通達では、学校側がアフターケアを十分にすることを条件に検査を勧めていますが、誰がどのようなアフターケアをするのかに関しては十分な方策がなく学校現場は混乱しています。
多様性を認める社会の実現のためには、「検査をしてみて、異常と指摘された人に対し、努力して生きていくことを強いる」のではなく、いくらでも工夫できる社会側が寛容になる必要があります。色弱を指摘された児童・生徒はどうしたらいいのでしょう?周りの人はどうしてあげたらいいのでしょう?まずは彼らの特性、困難を理解することから始めませんか?彼らの困難を知ることから我々が成すべき配慮が見えてきます。