2016.07.31

本の紹介「シンプルでよく効く資料作成の原則」

先月、紹介した「ノンデザイナーズ・デザインブック」の著者がプレゼンテーションのデザインの本を出していることを知りました。さっそく、買ってみました。

「ノンデザイナーズ・デザインブック」と同様極めて明快です。

プレゼンテーションのコンテンツを考えるときの4つの原則は、明快さ、関連性、アニメーション、プロットです。明快さにおいては、何を省くかを徹底的に考えます。その中で、いかに、文章を短くするか(たとえば、受動態は使わず、能動態で書く、ingは使わない、)など)、自分用のメモは見せない。テキストを分散させる(5つの箇条書きを1枚のスライドに書くより、5枚のスライドに分けた方がよいこともある)。関連性においては、よけいなものを載せない(大学のロゴ、意味のない背景、さえないクリップアート)、関連性のあるグラフィックを使う、です。アニメーションに関しては、控えめに、関連性のあるものを使います。プロットについては、導入部、どこに向かっているのか、終わりをきちんと知らせる。

スライドをデザインするときの4つの原則は、「ノンデザイナーズ・デザインブック」でも、登場した、コントラスト、反復、整列、近接です。

最後に「従うべきでないルール」という章があり、なかなか面白いです。

「スライドを読み上げてはいけない」→そもそも読み上げるような内容をスライドに書いてはいけない。
「セリフフォントを使ってはいけない」→十分な大きさがあれば、セリフフォントも魅力的。
「アニメーションは使ってはいけない」→そんなことはない。
「背景は1種類しか使ってはいけない」→そんなことはない。
「グラフィクスのないスライドを作ってはいけない」→そんなことはない。
などなど

「ノンデザイナーズ・デザインブック」を気に入った方には、是非とも、おすすめしたい

ちなみに、この本の原題は「The non-designer's presentation book」なのですが、そのままのタイトルにしたら、もっと売れるのにって、つくづく思いました。

2016.07.22

本の紹介「色弱の子どもがわかる本」

僕の大学院時代からの同僚、東京慈恵会医科大学の岡部正隆くんが「色弱の子どもがわかる本」という本を出版しました。

岡部君自身、自分が色弱であるそうで、遺伝子の多様性に対応したやさしい社会の実現を目指した「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」の普及啓発活動も行なっています。

以下、彼から、この本がどんな本か解説してもらいました

当事者目線で書いたQ&Aコミックブックです。これまで眼科医の執筆した色弱の解説書はいくつかあります。「こんなことが不得意です」「こんなことができないかもしれません」「こんな職業には向いていないかもしれません」といったことが書かれていながら「日常生活には支障ありません」と締めくくられているのがほとんど。母親や担任の先生など、色弱の子の成長を見守る人たちからすれば、「支障はありません」「時に気にする必要はありません」と言われてもどうしていいのやら… そんな不安を少しでも解消できるようにという想いで出版しました。

この4月から学校の色覚検査が希望者に対して再開されました。文科省の通達では、学校側がアフターケアを十分にすることを条件に検査を勧めていますが、誰がどのようなアフターケアをするのかに関しては十分な方策がなく学校現場は混乱しています。

多様性を認める社会の実現のためには、「検査をしてみて、異常と指摘された人に対し、努力して生きていくことを強いる」のではなく、いくらでも工夫できる社会側が寛容になる必要があります。色弱を指摘された児童・生徒はどうしたらいいのでしょう?周りの人はどうしてあげたらいいのでしょう?まずは彼らの特性、困難を理解することから始めませんか?彼らの困難を知ることから我々が成すべき配慮が見えてきます。

2016.07.08

本の紹介「考えながら書く人のためのScrivener入門」

Scrivenerのことは、何回も紹介していますが、僕は、この5年間で、Scrivenerを使って、3冊、単著の本を書き上げました。単著の本を書くというのは、本当にたいへんなことなんですが、Scrivenerのおかげで、ずいぶん、助かりました。やってみたら分かると思いますが、章立てが必要な長い文章をWordなんかでやると、本当につらい作業になります。長い文章を書く人は、是非、Scrivenerを使ってみて下さい。

最近、Scrivenerの使い方をとても分かりやすく書いた、「考えながら書く人のためのScrivener入門」という本が出ました。

確かに、Scrivenerは日本語されていなかったり、Compileという概念がはじめはわかりにくいので、この本読むといいですよ。私もそれなりに使い込んでいるつもりでしたが、いろいろなTIPSを学ぶことができました。

この本を読んで、表示を日本語化するローカライザを作って下さっている人がいることを知りました。Mac版Scrivenerの日本語化(完訳)–あまたの何かしら。これで、とっつきやすくなります。英語版に戻したいときには、ScrivenerのパッケージのContents→ResourcesのJapanese.lprojフォルダを削除するだけ。

あと、とても興味深かったのでは、冒頭にある、小説家・藤井大洋氏のScrivenerの使い方、巻末にある、本書の作者のScrivenerの使い方でした。

2016.07.05

Lotus

府中郷土の森公園修景池

Olympus OM-D E-M1, M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

2016.07.04

ノンデザイナーズ・デザインブック

僕が「ノンデザイナーズ・デザインブック」に出会ったのは、もう15年以上前。

医者とか研究者とかいっても、結構、デザイン力が必要です。プレゼンテーション、学会発表のポスター、研究会のお知らせのポスター、webを作ったり。そんなノンデザイナーな僕の、基礎デザイン力を作ってくれたのが、この本であることは間違いありません。僕が最初に買ったのは、第1版でしたが、第3版ではフルカラーになり、日本語を使ったデザインサンプルが加わった第4版が、最近発売になりました。

この本は、基本的にテキストデザイン、タイポグラフィーの本です。解説されている原則はシンプルですが、非常にパワフルです。

  • 近接の原則
  • 整列の原則
  • 反復の原則
  • コントラストの原則

イントロダクションの「ジョシュアツリーの悟り」にある一節が、この本の重要性を表しています。

Once you can name something, you’re conscious of it. You have power over it. You own it. You’re in control.

デザイン力をあげたい方は、だまって買って下さい。

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