『めくらやなぎと眠る女』と『めくらやなぎと、眠る女』
MONKEY No.7に掲載されている村上春樹インタビュー(聞き手、川上未映子さん)の中に、川上さんが神戸で開かれた震災後の村上春樹朗読会に参加したくだりが書いてあります。
川上さんは、2回行われた朗読会の2回ともに参加しました。朗読したのは「めくらやなぎと眠る女」だったのですが、朗読するには長い短編のため、1回目の会では、みんなが疲れて、脱落してしまったそうです。そこで、村上さんは、一晩で、3/4くらいにブラッシュアップをした「めくらやなぎと、眠る女」を書いて、次の日には朗読したそうです。
あの時、あの場所で、『めくらやなぎと眠る女』は、もう、これ以上ないテキストなわけですよ、あの土地の読者にとって。
と村上春樹さんが言っているわけですが、僕にとっては、『めくらやなぎと眠る女』は、結構難解なテキストで、なぜ、震災後の朗読会での最適なテキストであったかが、よくわかりませんでした。
オリジナルの『めくらやなぎと眠る女』は、『蛍・納屋を焼く・その他の短編』に収載されているのですが、ショートバージョンが、外国の読者向けに編まれた短編集「Blind Willow, Sleeting Woman」に収載しているのを知って、読んでみました。 ちなみに、ショートバージョンであることを明示するために、ショートバージョンは、『めくらやなぎと、眠る女』という具合に、読点が入っています。
でも、やっぱり、このテキストが震災後の朗読会での最適なテキストであるというのがよくわかりませんでした。答えがあるわけじゃないんでしょうが、誰か『めくらやなぎと眠る女』を読んだことがある人と、話をしてみたいなぁ。