若い人がよい医学書を書く時代
新しい医学書はたいてい手に取っている医学書オタクです。
最近、『ジェネラリストのための内科診断リファレンス』が書店で平置きされているの見てびっくりしました。何がびっくりしたって、718ページで、内科の全分野を網羅した本を、卒後12年の医師が一人で書いたというのです。
私なんか、200ページの本を半年くらいかけて、フウフウいいながら、書いているわけですから、恐れ入ります。是非、定期的に改訂して、不動の地位を築いていっていただきたいです。
医学書院
以前にも紹介した、倉原優先生。『「寄り道」呼吸器診療』が素晴らしかったので、知り合いの編集者に教えたら、すぐに、お願いに行ったらしく、さらさらさらと、半年で、素晴らしい本を書きました。彼も卒後9年目と若い。
もう一人、すごい人を紹介しておきましょう。竹本毅先生です。彼は、自分で本を書くと言うより、海外の素晴らしい本を訳しています。どれも、一人で訳しています。どれも、無茶分厚くいけど、すばらしい訳がついています。
日経BP社
医学書というのは、大学教授とか、権威のある人が、編者におさまって、医局の人とか若い人に書かせるというパターンが多いです。でも、見ていただければ分かるように、そういう本でよい本は、なかなかないです。私の持論は「よい本は単著である必要がある」です。そういうことを考えると、権威者は、とても、単著を書くほどの時間はありません。また、権威者がよい本を書く能力があるというわけでもありません。よい本を書く能力は、経験とともに養われることは、おそらくないと私は思っています。逆に言えば、若くても、よい本を書ける人は書けるということです。出版不況になって、医学書出版社の編集者の方も、よい本を書いてくれる人を必死になって探しています。そういう中、ここにあげたようなスーパースターが出てきたと言えます。若い人がよい医学書を書く時代がやってきたと言っていいでしょう。