腎臓内科学推薦図書アップデート
腎臓内科学の教科書
メディカルサイエンスインターナショナル
Renal Pathophysiology: The Essentialsの第2版の翻訳です。RoseとRennkeによる第1版からRennkeとDenkerが引き継ぎ、10年ぶりに改訂されたました。本書は生理学の観点から、腎臓病の病態生理を解説した本です。そのまま臨床に役立つ、というわけではありませんが、1週間くらいかけて、本書をうんうんうなりながら、考えながら、読み終えると、腎臓内科学の理解に一段あがった自分に気づくと思います。
腎臓専門医を目指す人向き。
Mosby
以前は、腎臓内科の教科書と言えば、BrennerのKidneyでしたが、今では、本書がもっともアメリカでも読まれている教科書です。図や表も見やすく、よい教科書だと思います。数年に一度改訂されており、アップデートされています。
水・電解質・輸液
水・電解質、輸液は、どの科でも必要な知識であるにもかかわらず、多くの研修医が苦手意識を持っているため、良書を探しています。たくさんの書籍の中から、以下の4冊の本をおすすめします。(一応、私も水・電解質の専門家と自称しています)
書籍ではないので、ここではとりあげていませんが、臨床の現場で、もっとも使える水・電解質のマニュアルはUpToDateです。UpToDateを始めたBurton Roseは水・電解質の第一人者であり、UpToDateの水・電解質のほとんどの章は彼が書いています。
私の研究室の大先輩である和田孝雄先生の本。学生時代にご自宅にお邪魔したこともあったのですが、残念ながら、若くしてお亡くなりになりました。和田先生は、多くの「水電解質」の本を書かれていますが、改訂されることがなくなっているにもかかわらず、今でも売れ続けています。
和田先生の著作の中でも、もっとも売れている本が、本書です。和田先生が看護師の方2人に、輸液の基礎を講義していくというスタイルの本です。とても読みやすく、頑張れば1日で読み切れるような本ですが、私は、輸液の考え方を学ぶのにもっとも適した本だと思い、多くの研修医に推薦しています。
輸液の考え方を学びたいという初期臨床研修医向け。
初学者がいきなり、柴垣先生の「より理解を深める!体液電解質異常と輸液」に入れないだろうと思って、そこまでのつなぎとして私が書いた本です。症例ベースで使うなど、初学者でもクリアカットに理解できるような工夫をしていますので、学生、初研修医の方におすすめです。
私の友人でもある柴垣先生が書いた、この本は、本当によくできた本です。レベルとしては、腎臓専門医を目指す人向けと言っていいと思いますが、日頃感じる、水・電解質の疑問のほとんどに答えてくれます。私自身、本書を隅から隅まで読み込んで、自分の知識のブラッシュアップに非常に役立ちました。柴垣 有吾先生の、アメリカ仕込みの臨床腎臓病学の知識は、他の書物と一線を画しています。短期間の間に第3版まで改訂し、最新の知見を盛り込もうとする彼の誠実さを表した良書です。
McGraw-Hill Professional
さらに勉強したい人は、是非、BUrton Roseが書いた名書である、本書に進んで下さい。アメリカでも、電解質を真剣に勉強する人は、みんなこの本を使っています。
マニュアル、ガイドライン
マニュアルとしては、本書がもっともよいと思います。アップデートも頻繁で現在、第6版になっています。
メディカル・サイエンス・インターナショナル
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ワシントンマニュアルのコンサルトシリーズ。腎臓専門医を目指す人向き。
このガイドラインは必読でしょう。
血液透析
私が書いた本です。本来、非透析専門医向けに書いたものですが、専門医を目指す人にも格好の入門書になっていると思います。発売以来、透析関連ではダントツで売れている本です
メディカルサイエンスインターナショナル
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さらにもう一歩進んだ内容を勉強するとなると、これでしょうか。ただし、アメリカと日本では、保険の制約など様々なことによって、異なることがあります。また、血液透析に関して言えば、日本の方がアメリカよりレベルが高いので、そういった意味でも、本書に書かれた医療がベストプラクティスではないということも頭の片隅においてお読み下さい。
じほう
透析患者への投薬は、なかなか難しい。本書の総論を読んで、考え方を学び、実際の投薬の際には随時、本書で確認することが必要。必携の一冊。
腎病理
初心者向けの腎病理の本としては、これをおすすめします。
腎病理の本でもっともたよりになるのが本書です。ただし、プリント版は現在、絶版になっていて、電子書籍のみ手に入ります。2014年中には、改訂版が発行される予定です。