本の紹介『波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』
この本、秀潤社の方に、いただいたのですが、はじめはまったく期待していませんでした。私は、ヘタレ研究者でもあるのですが、なにしろ、科学の読み物が苦手。一般的な科学の素養がありません。
でも、この本、おもしろかった!
本書は、『細胞工学』の人気連載「こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?」が待望の単行本化ですが、生物の形や模様が決まる精妙なメカニズムを解説した本です。生物が相似形を保ったまま大きくなるためにはどうしたらよいのかを、亀の甲羅を用いて説明。貝殻の形を決めている等角螺旋運動の話。shくぶつの至る所に現れるフィボナッチ数の話。そして、近藤滋先生の研究テーマでもある、体の模様の数理的解析。シマウマのシマはどうやって作られているかを数理的に説明する、チューリング波の話。あまりに見事なので、ちょっと、感激しちゃいました。
「研究論文や申請書におけるジンクピリチオン効果」の話など、近藤先生の軽妙で楽しも満載の一冊です。近藤先生は、今年の分子生物学会の会長ですが、きっと楽しい大会になるでしょう。