2013.09.30

2013年9月積ん読本

9月はだいぶ本を読んで紹介しましたが、読む冊数<買う冊数なので、積まれる本の山がどんどん高くなっています。

敬愛するSFCの秋山美紀先生の著作。秋山先生が関わられたコミュニティヘルス活動を紹介しながら、課題解決に役立つ方法や具体的なヒントが提示されています。

戦士の休息
戦士の休息
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落合 博満
岩波書店

落合氏が、こんなに映画好きだったとは知りませんでした。野球以外趣味がないとご自身でも仰る中で唯一とも言える趣味が映画鑑賞だそうです。彼のベスト10は

  1. チキチキバンバン
  2. 白い恋人たち
  3. ゴッドファーザー
  4. アラモ
  5. 黄色いリボン
  6. ローマの休日
  7. マイフェアレディ
  8. 007シリーズ
  9. 黒部の太陽

だそうで。10位は、今後生まれる名作のために、あえて空席としています。

Evernoteとアナログのメモを療法使うことで、アイデアを生み出すという本。私の今のやり方によく似ていて、合点がいきます。

臨床研究の道標(みちしるべ)―7つのステップで学ぶ研究デザイン
福原 俊一
特定非営利活動法人 健康医療評価研究機構

福原先生が主催される「臨床研究デザイン塾」は、ずっと参加したいと思っているのですが、なかなか都合が付かないうちに年齢制限で参加できなくなってしまったので、本書を買って、臨床研究の基礎を学んでいます。とても良い本です。

襲名犯
襲名犯
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竹吉 優輔
講談社

江戸川乱歩賞受賞作はあたりはずれが大きい。どっちかというと自分的にははずれが多い。

この本、コンパクトだけどすごくいい本です。ビジネスコンサルがよく使うツール、SWOT解析とか、オズボーンのチェックリストとか、セブンクロス法とか、コンパクトに69個紹介しています。私は、個人的には、あんまり好きではないのですが、教育の世界にも結構使われているので、こういう本が一冊あるととても便利です。

こういう本は、もう買うのはやめようと思いつつも、立ち読みでぱらぱらしていたら、ずいぶん納得する部分があって、買ってしまいました。「引き受けた仕事は、その場で5分間だけすぐやる」というのは、なかなかよいアイデアだと思います。

吉田類、なぎら健壱、太田和彦とかと、酒場を巡る本。最後に乗っていた、よい酒場リストがうれしい。

村上春樹が絡んだ本を手当たり次第買うのもどうかと思いますが、村上春樹が訳した短編のラブストーリー10編を集めた、短編集です。

最近になって、私は小説よりノンフィクションが好きなのだと分かってきました。特に、社会の裏側の話が好きです。

ここに書いてあることなかなか参考になりました。スライドに必要な情報は

  1. メッセージ
  2. グラフ/チャート・表のタイトル
  3. グラフ/チャート・表
  4. 脚注
  5. 出所
  6. ページ番号

の6つ。通常、僕らが、スライドタイトルにしている部分に、メッセージを2行以内で入れるというのがボストンコンサルティングの流儀らしいです。

もう、手に入りにくくなっているので、とりあえず、古本で手に入れておきました。

そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)
ポール・クルーグマン
PHP研究所

アベノミクスの理論的支柱であるノーベル賞経済学者が「ロールモデルとしての日本」の可能性を語り尽くした一冊。

この本、マウスを扱う研究者必携の本です。最近の、学研メディカル秀潤社はヒット続き。

2013.09.29

かちどき橋

夜風で頭を冷やしながら、かちどき橋あたりをふらふら。

2013.09.23

本の紹介『波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』

この本、秀潤社の方に、いただいたのですが、はじめはまったく期待していませんでした。私は、ヘタレ研究者でもあるのですが、なにしろ、科学の読み物が苦手。一般的な科学の素養がありません。

でも、この本、おもしろかった!

本書は、『細胞工学』の人気連載「こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?」が待望の単行本化ですが、生物の形や模様が決まる精妙なメカニズムを解説した本です。生物が相似形を保ったまま大きくなるためにはどうしたらよいのかを、亀の甲羅を用いて説明。貝殻の形を決めている等角螺旋運動の話。shくぶつの至る所に現れるフィボナッチ数の話。そして、近藤滋先生の研究テーマでもある、体の模様の数理的解析。シマウマのシマはどうやって作られているかを数理的に説明する、チューリング波の話。あまりに見事なので、ちょっと、感激しちゃいました。

「研究論文や申請書におけるジンクピリチオン効果」の話など、近藤先生の軽妙で楽しも満載の一冊です。近藤先生は、今年の分子生物学会の会長ですが、きっと楽しい大会になるでしょう。

2013.09.22

都会に咲くコスモス

都会に咲くコスモスは、洗練されたように見えます。

2013.09.20

十六夜の月

オリンピックカラーの都庁舎のツインタワーの間に、十六夜(いざよい)の月が出ていました。満月もいいけど、十六夜の月は奥ゆかしくて良いですね。

2013.09.17

本の紹介『バイオ研究者が生き抜くための十二の智慧』

PIも研究以外の雑用で忙しい。でも、世の中には、このような雑用を簡単に片付けるためのノウハウを持ったスマートなPIがたくさんいます。本書は、中山敬一先生をはじめ錚々たるPIが、PIの仕事術を紹介した本です。かなりおもしろかったので、詳しく紹介します。

第 1 章 ラボノートの書き方

東京大学の水島昇先生は、ラボノートの総目次を定期的に作ることを勧めています。

第 2 章 試薬・実験データの管理

医科歯科の鰐田先生のラボでは、試料管理ソフトとして、ダイナコム社のLab Secretaryというソフトを使っているそうです。どんなソフトかちょっと興味があります。ver 4ということなので、結構浸透しているのかも知れません。

第 3 章 書類整理術

慶應の佐谷秀行先生の書類整理術は、(1)捨てる、(2)生の書類として「超」整理術の方法で封筒に入れてキャビネット保管、(3)スキャンしてEvernoteに飛ばす、(4)PC内のフォルダに整理してDropboxで保管。なかなか機能的で、しかも無理がなく、クラウドを利用しているので便利そうです。

第 4 章 EndNote を活用した文書作成術

九州大学の中山敬一先生がEndnoteを使って、業績集の作り方を紹介しています。

第 5 章 マテリアルリクエストへの対応

九州大学の中山敬一先生は、これまで、2000件あまりのリクエストに応えてきましたが、大切なことは、どんどん配ってしまう、マテリアル供与の見返りとして共著を要求することは原則としてしないということだそうです。手間を減らすために、簡易版のMTAや公的バンクに供託することを勧めています。

第 6 章 論文レフェリーコメントと闘う心構え

大阪大学の仲野徹先生がレフェリーコメントと戦う心構えを紹介されています。

第 7 章 論文レフェリーをこなす

九州大学の中山敬一先生は、論文レフェリーは、非常に憂鬱な作業であるが、それを断るのも良心が痛むと仰っています。しかし、断る場合には、「現在、他にたくさんの審査を抱えているので今回は勘弁して欲しい」「学会に出席するために2週間は外出するので対応できない」のどちらかの英文をコピペして使っているそうです。そして、必ず、別のレフェリーを推薦しているとのこと。実際に引き受けて、コメントを書くときには、(1)論文の内容のまとめ(Figureのタイトルをすべてコピペして、それをつなぎ合わせて、そこにいろいろと修飾語を付け加えたりして作っているそうです)、(2)全体的な印象とジャッジ、(3)個別の質問、(4)マイナーコメントという構成にしているそうです。文例もかなりたくさん紹介して下さっていますし、踏み込んだ内容で、いくつかのアイデアは使わせていただこうと思いました。

第 8 章 オーサーシップ

東京大学の水島昇先生がオーサーシップを決める原則について解説されています。

第 9 章 Skype でラボミーティング

テキサス大学の上野先生がSkypeでのラボミーティングについて話をしています。私も、最近になってはじめてSkypeミーティングを経験しましたが、画面共有などを使えば、かなり使い勝手は良いと思いました。より快適なWebミーティングにするには、Skype Premiumアカウント、または、GoToMeetingやWebExというサービス(これらはホスト以外はアカウントが不要という利点があるが、料金は高額)があるそうです。

第 10 章 Journal Club

東北大学の中山啓子先生は、ご自身のラボでやっているJournal Clubのやり方について詳細に紹介して下さっています。

第 11 章 メディアを介した研究成果の発信

東京大学の東原和成先生が、メディアの取材への対応について解説されています。

第 12 章 プレスリリースの書き方

生理学研究所の小泉周先生が、プレスリリースの書き方について、かなり詳細に解説されています。私も、最近、そのような仕事のお手伝いをしているので、さっそく、使わせていただこうと思いました。

番外編 
 ①ベンチワークの匠:ヒト型ロボット研究員『まほろ』
 ②マウス系統の寄託と提供~(理研BRC 編)
 ③バイオラボ秘書の仕事術

本書は、細胞工学の連載をベースにして、書き下ろしを加えて一冊にまとめたものです。あけすけな中山先生の記事をはじめ、私は大変おもしろく読ませていただきましたが、もう少し価格が安かったら良かったなぁと思いました。

2013.09.15

Rainy Day Music

雨の日に静かに聴く音楽を集めてみました。今回は、和物で、なるべく知られていないけれども良い曲をセレクト。

冨田ラボ - アタタカイ雨 feat.田中拡邦 (MAMALAID RAG) from Shiplaunching

キリンジ - 雨は毛布のように from Fine

小泉今日子 優しい雨

ゲントウキ - 追憶のレイニーデイ from 幻燈名作劇場

古内東子 雨降る東京 from 魔法の手

森大輔 with 冨田ラボ - 雨雲 from 雨雲

山下達郎-こぬか雨 from Ray Of Hope

FreeTEMPO - Rain from SOUNDS

2013.09.12

フィンランドの小学生による「議論のルール10」

フィンランド国語教育を5つのメソッドで解説する『図解フィンランドメソッド入門』を読んでいて、あっ、これいいなと思ったので、紹介します。

フィンランドの小学校で議論の時のルールとして、みんなで決めたことだそうです。

議論のルール

  1. 他人の発言をさえぎらない。
  2. 話すときは、だらだらとしゃべらない。
  3. 話すときに、怒ったり泣いたりしない。
  4. 分からないことがあったら、すぐに質問する。
  5. 話を聞くときは、話している人の目を見る。
  6. 話を聞くときは、ほかのことをしない。
  7. 最後まで、きちんと話を聞く。
  8. 議論が台無しになるようなことを言わない。
  9. どのような意見であっても間違いと決めつけない。
  10. 議論が終わったら、議論の内容の話はしない。

この本、薄い本ですが、なかなか良い本です。

図解 フィンランド・メソッド入門
北川 達夫 フィンランドメソッド普及会
経済界

2013.09.08

雨の京都2013年9月

1年ぶりの京都、土曜日の仕事を終え、一泊して、日曜日、雨の中、写真散歩をしました。

9月は、花がほとんど咲いていないのですが、雨のおかげで緑が映えて、よい写真が撮れました。

私は、こうして寺社をめぐって、何に感動し、何を撮影しているのだろうと考えていましたが、ふっと、思い当たることがありました。私は、アイコンを探し求め、撮っているのだと。

伏見稲荷大社の千本鳥居

東福寺 光明院

東福寺方丈庭園は重森三玲氏作で、アバンギャルドな庭園です。特に、この小市松はお気に入り。

東福寺芬陀院(雪舟寺)は、私一番のお気に入りで、何度も来ています。

御寺泉涌寺の別院、雲龍院

南禅院水路閣

建仁寺塩音庭

建仁寺双龍図

祇園白川

前日の夜は、川端二条の赤垣屋に立ち寄りました。

2013.09.03

日本の学会でのポスター発表5つの心得

日本の学会のポスター発表は、会場も狭く、発表時間は意味もなく短く設定され、騒々しい割にマイクも用意されていないという三重苦の中で発表することになるので、発表者泣かせの環境です。それを理解せず、発表者も不十分な準備で臨むので、聞く人も心苦しいという負のスパイラルに陥っています。でも、発表者もきちんと準備すれば、もっと効果的になると、私は信じていますので、ポスター発表者に私なりのアドバイスをまとめてみました。

1. 発表時間を守ること

発表時間を1秒でも超えたら、あなたの発表は零点です。出来ない研究者、馬鹿な研究者と言われても仕方ありません。自分の研究成果は重要だから、時間を超えても許されるというのは思い上がりでしかありません。

ポスターの発表時間は、発表時間を座長が担当するポスター数で頭割りして、主催者が適当に決めているだけで、通常は意味もなく短く設定されています。ですから、場当たり的に、練習もせずに発表しても、発表時間内に終わらないことは覚えておいて下さい。

2.大きな声で発表すること

ポスター発表の場合、マイクは用意されていないことが多く、よっぽど大きな声を出さないと周りの聴衆に聞こえません。また、同時並行で、他のセッションの発表と重なったりすることもよくあります。ありったけの声で発表しましょう。聴衆に聞こえない発表は発表していないのと同じです。

3. ポスター発表こそ発表の練習が必要

講演発表と違って、ポスター発表は、事前に発表の準備をしている人が圧倒的に少ないです。発表時間は理不尽に短いわけですから、ポスターの内容を全部話していたら、絶対に発表時間内に終わりません。でも、8割くらいの人は、当然のような顔をして、ポスターの内容を全部話そうとするのです。何を話して、何を話さないか、口演発表にもまして、準備が必要です。

4.聴衆を見てしゃべって下さい

ひたすら、ポスターの方を向いて、ポスターの内容を読み上げる人、多いです。朗読の会ではないので、時々は、聴衆の方を見て下さい。せめて、発表時間のうち、3回くらい、聴衆を見回しましょう。そうすると、圧倒的に落ち着いた感じの発表になります。

5.縦長ポスタースペースにをめいっぱい使ってはいけない

日本の学会は、会場が狭いので、縦長のポスタースペースが多いです。ポスタースペース一杯のポスターを作ると、たいてい、一番大事な結論が、床すれすれになってしまって、かがみ込んで、指ささないと見えないような状況になります。日本の学会で、縦長スペースの場合は要注意です。

 

1~5、どれも当たり前だと思っているでしょう。でも、全て守っている人は、2割くらいしかいません。だまされたと思って、次回から、やってみて下さい。

2013.09.02

本の紹介『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

この本、前から買ってあったのですが、大宅壮一ノンフィクション賞も獲得し、圧倒的な高評価なるも、この700頁近い厚さゆえ、読み始めたら、仕事に支障が出るだろうなと思い、なかなか、手をつけられずにいました。私は結構速読ではあるものの、完読までに1週間近くかかってしました。

13年間無敗で、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とまで言われた圧倒的な強さをもった柔道家である木村政彦についてのノンフィクションです。彼が、なぜプロレスに転向し、力道山と戦うことになり、そして負けたのか。柔道を講道館柔道ではなく、寝技中心の高専柔道から見た本であり、力道山対木村政彦の巌流島対決を、力道山の視点ではなく、木村政彦の視点から見た本です。

筆者は、格闘技ライターで、本書はゴング誌で4年間にわたって連載されていた記事故、前半1/3はやや資料的な記述が多く、少々もたつきましたが、この本のメインイベントである巌流島対決のあたりからは、一気に読み進めました。本のタイトルも、絶妙だなぁ。もちろん、力道山を殺したのは、木村政彦ではありませんが、木村政彦は、自分の念で力道山を殺したと言っています。

噂通り、とてもおもしろい本でした。特に、格闘技に興味がある方は、必読の本でしょう。

本を読んでも読まなくても、日常の仕事にはなんら影響がないことが実証されましたので、これからは、がんがん本を読んでいきたいと思います。

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