2013.04.23

本の紹介『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』

4月は、医学書マニアにとってはうれしい月。たくさんの医学書が出版されます。近年の出版不況のせいか、非常にアイデアにとんだ良書が多くなったと個人的に感じています。今日、ご紹介する『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』も、そんな良書です。

ゲシュタルトは、ドイツ語の「形」のことです。「見た目」と言った方がわかりやすいでしょうか。

その病気の患者さんを見た経験がある医師は、見ただけで診断が出来るけれども、見たことがない人には、好発年齢、性差、症状を伝えてもなかなか診断が思い浮かびません。そういう病像を全体としてとらえて診断することがゲシュタルト診断なんだと私なりに考えました。教科書からは学べないけれども、臨床の現場ではもっとも重要な臨床能力の一つです。以前、どの大学でもあった、患者さんに講堂に来てもらって行うような臨床はそのようなゲシュタルト診断を醸成するには有効な教育方法であったのでしょうが、現在では、そのような教育手法が行われることは少なくなっています。そういう意味で、ありそうでなかった、医学書です。

たとえば、偽痛風の章で、須藤先生は、偽痛風を「退院熱または転院熱」として遭遇することが多いと指摘されています。また、PMR患者が起き上がる様子のスケッチなどは、まさに、ゲシュタルトそのものでしょう。

この本が驚異的なのは、単著ではなく、たくさんの方が執筆している本にもかかわらず、非常によく出来ていると言うことです。これは、編者の岩田先生の力なのでしょう。

2013.04.20

入院中に見たDVDのリスト

26日間入院していました。

足が不自由なことをのぞけば、それなりに、楽しい?入院生活でした。退屈が一番恐ろしいと思って、たくさんの本を持ち込みましたが、医学書はだいぶ読めたものの、小説はほとんど読めませんでした。一方、TSUTAYA ディスカスとDMM.comに加入して、たくさんのDVDを見ることが出来ました。ちなみに、TSUTAYA ディスカスとDMM.comは、ともに、1ヶ月で8枚借りられるとは言うものの、2枚ずつしか送ってくれず、その2枚を返さないと、次の2枚は借りられないので、1ヶ月で8枚見るためには、かなり、タイトなスケジュールで視聴しなければならず、加入者のほとんどが1ヶ月に8枚も借りられるわけではないという仕組みがよくわかりました。

せっかく映画をゆっくり見れるので、Facebookで友人たちに、おすすめの映画を教えてもらいました。最終的に、視聴したのは以下の通りです。

映画をあまり見ない私にとっては、これだけの数を短期間に見たのは初めての経験でした。この中で、特におすすめは、『ライフ・イズ・ビューティフル』『セント・オブ・ウーマン』の2つです。

入院中には、20年ぶりに会う友人など、たくさんの方々がお見舞いに来て下さり、お話しすることが出来ました。仕事に関しては、単行本が出版され、論文がアクセプトされ、電解質輸液塾など今年の教育プログラムもスタートが切れ、予想外に充実していました。

まだ、当分は、移動が不自由なため、仕事復帰は1ヶ月くらい先になりそうです。

2013.04.17

映画の紹介「セント・オブ・ウーマン」

セント・オブ・ウーマン/夢の香り [DVD]
ジェネオン・ユニバーサル (2012-04-13)

アルパチーノ演じる偏屈な盲目の退役軍人と、学校でのトラブルを抱えた心優しい青年との友情を描いた映画。アルパチーノの演技もすごかった。タンゴを踊るシーンも名場面ですね。私は、「グランドトリノ」とか、偏屈な老人と若者の友情という映画が好きなんだというのがよくわかりました。

評価☆☆☆☆☆

2013.04.16

物書きのためのソフトScrivener手放せません

今回、単行本を書き上げたわけですが、そのとき、とてもお世話になったのが、「Scrivener」というソフトウェア。以前にも、一度紹介したのですが、まだまだ、知られていないので、もう一度紹介します。

普段の、原稿用紙10枚くらいであれば、Microsoft Wordやテキストエディタ(愛用はJedit X)で書いてしまうことが多いです。でも、単行本となると、いきなり書き始めようと思っても、なかなか書き始められません。目次案をまず作り、書き始めるわけですが、書いている途中で、どんどん章が増えたり減ったり、章を組み替えたりする作業が必要です。そうなると、Wordでは全体の見通しが悪すぎて、作業が難しいです。

Scrivenerは、こういう長い文章を書く人に特化した、ソフトウェアです。Scrivenerのファイルは、専用ファイルなのですが、Word形式で出力が出来るので、入稿するときには、Wordで入稿できます。

残念ながら、日本語化されていないのですが、もちろん、日本語の原稿を書くのはまったく問題ありません。私は、Scirivenerのおかげで、『レジデントのための血液透析患者マネジメント』と『電解質輸液塾』を書き上げることが出来ました。今年は、あと2冊チャレンジしたいと思っています。

Scrivener好きな方は結構いらっしゃるようですね。

物書きをする人の楽園:Scrivener [Mac OS X] | Lifehacking.jp

[N] 原稿書きを手助けしてくれるワープロ「Scrivener」

2013.04.15

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』にとりかかります

手に入れるのが、ちょいと遅れました。

以前、bodyhacker氏に、村上春樹の著作をいろいろ勧めていただいたのですが、村上春樹氏のエッセイや短編はとても好きなのですが、長編は、読めるものと読めないものがはっきりしています。読めたのは、高校生の時に『ノルウェイの森』、最近になって『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『1Q84』くらいです。いずれも、とてもおもしろかったです。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が発売される前に読了しようと思って、『ダンス・ダンス・ダンス』に再チェレンジしたのですが、読めませんでした。読めないというのは、10ページ、20ページと読み進めても放り出してしまうのです。

さて、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』はどうでしょうか。のってしまえば、一晩で読めてしまうと思います。

2013.04.14

ブログのエントリーが1000になりました

「研究留学ネット」を始めたのが、2000年2月。そのときに、お知らせのページとして、「what's new」として、日記みたいなものを書き始めました。開始してから3年間くらいは、結構なボリュームのものを毎日欠かさず書きました。相当なライティングのトレーニングになったと思っています。この当時の記事は、現在は公開してなく、自分の手元だけに残してあります。

当初は、HTMLで直接書いていたのですが、さすがに、記事数が多くなりすぎた(たぶん1000記事を超えた)ので、2003年4月にMobable Typeを導入にして、ブログ形式で書き始めました。2003年4月からのエントリーから数えて、このエントリーが1000個目になりました。

2011年くらいまでは、このブログも、週2エントリー、年100エントリーくらいの頻度で書いていたのですが、ここ1年くらいは、週1エントリー以下に激減しています。理由ははっきりしていて、Facebookに熱心になっているので、こちらまで手が回らないからです。

私は、ブログとFacebookをこんな風に使い分けています。

  • ブログ→publicに公開して問題ないブログ
  • Facebook→身近な人や自分の写っている写真や、自分の身の回りのことなど、publicにしないほうがいいかなと思うようなことを書くブログ

そのため、Facebookの方が、気にせず、楽しく書けるので、1日1エントリーのペースで書いています。

「おまえのFacebook記事は長すぎる」と、皆さんからお叱りを受けるのですが、facebookをプライベートなブログと勘違いしているわけですので、そういう長い記事を書く人が一人くらいいてもいいじゃないかと、お許しください。

ただ、Facebookの弱点は、自分の過去の記事を読みたいと思っても、閲覧性がよくなく、検索もできないし、Facebookのポリシーチェンジで消えてしまう可能性もあるということです。

というわけで、ブログはブログとして、やはり大切にしたいなと思っておりまして、もう少しきちんとやっていきたいと思っています。今後ともお付き合いいただければ幸いです。

2013.04.11

『電解質輸液塾』上梓しました

私の著書7冊目となる単行本『電解質輸液塾』を中外医学社より上梓しました。

学生時代から、電解質の勉強は好きで、それゆえに、腎臓内科を自分のスペシャリティとして選び、研究グループも腎生理グループに入ったわけです。ずっと電解質の研究ばかりをしてきたわけではありませんが、Gitelman症候群など、ライフワークのように研究を続けています。

ご存じのように電解質というのは、奥が深く、学生や研修医でも苦手意識の強い分野です。電解質の教育は、私自身のライフワークと考えていました。昨年から、学生にも集中して教える機会ができ、これをきっかけに、本にまとめ上げようという気持ちが生まれました。

少し、本書のコンセプトを説明しておきたいと思います。電解質の教科書として、柴垣先生の『より理解を深める!体液電解質異常と輸液』があります。うちの教室の後輩たちには、この本で勉強することをすすめているのですが、初学者にはややハードルが高いようです。そこで、初学者が、柴垣先生の本に入る前段階の本を作りたいと考えていました。つまり、学生やレジデントがこの本のターゲットです。もちろん、ここをターゲットとした本には、黒川先生の『水・電解質と酸塩基平衡 Short Seminars』や、今井先生の『酸塩基平衡、水・電解質が好きになる』という大先輩の素晴らしい本があるわけで、私などは若輩者なのですが、その分、真摯に向き合って、工夫をしながら書き上げました。初学者だけでなく、もう一度、電解質を勉強しなおしたいという人にもおすすめしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

電解質輸液塾
電解質輸液塾
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門川 俊明
中外医学社

2013.04.10

リモコン付きレーザーポインターおすすめ機種を紹介します

リモコン付きレーザーポインターの記事、だいぶ古くなったので、全面的に改定しました。

最近は、「はい、次のスライド」などという決まり文句は学会場でほとんど聞かなくなり、プレゼンテーションは自分で進めていくことが主流になっています。スライドを進めたり戻したりするリモコン機能のついたレーザーポインタ(リモコン付きレーザーポインタ)があれば、演台から離れられますので、魅力的なプレゼンテーションには、なくてはならないガジェットになっています。いまでは、だいぶ値段も安くなっていますので、個人持ちをする人が多くなっています。私自身いくつかのリモコン付きレーザーポインタを使いましたので、レビューしたいと思います。

なお、研究留学ネットを介したamazonでの人気ランキングは以下の通りです。「ロジクールR800」「コクヨS&T ELA-R41D」が圧倒的な人気を誇っています。今後、エアビーム機種「コクヨS&T ELA-P1」の人気が出てくる可能性があります。

  商品名  
1 ロジクールR800 amazon.co.jp
2 コクヨS&T ELA-R41D amazon.co.jp
3 コクヨS&T ELP-G30 amazon.co.jp
4 コクヨS&T ELP-R30 amazon.co.jp
5 コクヨS&T ELA-P1 amazon.co.jp
6 コクヨS&T ELA-GU94N amazon.co.jp

リモコン付きレーザーポインターはたくさんありますが、以下のように分けられるでしょう。

  1. レーザーがグリーンか赤色か(グリーンの方が見やすいが、値段が高くなる)
  2. マウス機能の有無(マウス機能は、必ずしも必要ないが、目的によってはあると便利)
  3. レーザー光ではなく、PC上でポインターを動かすタイプもある(コクヨはエアビームと呼んでいる)

メーカーとしては、コクヨS&Tが、この分野圧倒的なシェアを持っていて、高品質ですが、一部、PCサプライメーカーなどからも安価なものが出ています。

グリーンレーザーポインター

グリーンレーザーで、PowerPointのページ送りとページ戻し機能がついた、リモコン付きグリーンレーザーポインタ。グリーンレーザーはユニバーサルデザインの観点から、最近はやっていますが、その分、価格はぐっと高くなります。コクヨS&Tのものは定価50000円前後ですが、アマゾンではほぼ半額で手に入ります。グリーンレーザーはさすがに出力も十分で非常に見やすくGood。レシーバーをUSB端子につけて、本体とラジオ波で通信します。

コクヨS&T 握りやすい グリーンレーザーポインター 明るい カラーUD取得 パワーポイント対応 UD形状 照射形状変更可(○-・) ケース付き ELA-GU94N
コクヨS&T ELA-GU94N
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コクヨ (2008-07-22)

アダプターが内蔵できるので、アダプターをなくさないのが、気に入っています。照射形状が変更できます。私は、ここ数年はこの機種を愛用しています。

コクヨS&T グリーン レーザーポインター パワーポイント対応 カラーUD取得 握りやすいUD形状 ケース付き ELA-GU91N
コクヨS&T ELA-GU91N
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コクヨ (2008-07-22)

上記のGU94Nの機能のうち、照射形状が変更できないことが異なる点で、あとは同じです。1000円くらいしか値段が変わらないので、GU94Nを選ぶ人が多いでしょう。

コクヨ レーザーポインター<GREEN>(ペンタイプ for PC)
コクヨS&T ELP-G30
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コクヨ (2013-01-04)

ペンタイプのスタンダード。それなりの重量感があって、使いやすいです。ボタンがシンプルなので、外部からの演者の先生に渡しても操作を迷わない。そういう意味で、医局や研究室で、みんなで共有するなら、これがベストだと思います。

LOGICOOL プロフェッショナルプレゼンター タイマー機能・LCD搭載 R800
LOGICOOL R800
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ロジクール (2009-10-30)

ロジクールの廉価版、リモコン付きグリーンレーザーポインター。グリーンレーザーにもかかわらず、コクヨの製品に比べると値段が半分弱。ややレーザー出力が弱い印象もありますが、タイマー機能なども付いており、個人持ちするにはおすすめの機種。うちのアフィリエイトでは、ベストセラー機種です。ただ、残念ながら、日本では製造中止になっているので、在庫分のみしか手に入らないので、欲しい方はお早めに。

赤色レーザーポインター

赤色レーザーは、グリーンレーザーに比べると、視認性は落ちますが、コクヨS&Tの最近の機種は、明るさが2倍になる635nmの波長を使っています。

ELA-RU44 レーザーポインター[RED](UDシリーズ)
コクヨS&T ELA-RU44
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コクヨ (2010-11-01)

アダプターが内蔵できるので、アダプターをなくしません。照射形状が変更できます。

ELP-R30 レーザーポインター<RED>(ペンタイプ for PC)
コクヨS&T ELP-R30
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コクヨ (2013-01-04)

ペンタイプのスタンダード。ボタンがシンプルなので、医局や研究室で購入して、共用とするのに向いています。

レーザーポインター for PC(ハンディタイプ) ELA-R41D
コクヨS&T ELA-R41D
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コクヨ (2011-08-01)

手になじむ形状のリモコン付き赤色レーザーポインター。赤色レーザーのポインターでは、一番の人気です。

LOGICOOL プロフェッショナル プレゼンター R700
LOGICOOL R700
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ロジクール (2012-12-21)

ロジクールのリモコン付き赤色レーザーポインター。「タイマー付きLCDスクリーン」、「バイブレーション」がついた高機能版。

LOGICOOL ワイヤレス プレゼンター R400
LOGICOOL R400
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ロジクール (2012-12-21)

ロジクールのリモコン付き赤色レーザーポインター。「タイマー付きLCDスクリーン」、「バイブレーション」がはぶかれたスタンダード版。4000円程度とかなりお手頃です。

マウス機能付きレーザーポインター

マウス機能付きは、プレゼンテーションの中で、何回も動画の再生を行うような場合や、頻繁にアプリケーションやファイルを切り替えるような場合には、とても便利です。

ただし、マウスほど、上手に、ポインターを動かせるわけではないので、マウス操作は、手元のコンピューターでやってしまった方がイライラしないかも知れません(私は、そうです)。ですから、マウス機能をめったに使わないような人は、マウス機能がないものの方が使いやすいのではないかと思います。

コクヨS&T マウス機能付きレーザーポインター グリーン光 プレゼン用マウス操作可能(Alt+tab・Holdなど) パワーポイント対応 ELA-MGU91
コクヨS&T ELA-MGU91
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コクヨ (2009-04-01)

マウス機能付きグリーンレーザーポインター

コクヨS&T マウス機能付きレーザーポインター レッド光 プレゼン用マウス操作可能(Alt+tab・Holdなど) パワーポイント対応 ELA-MRU41
コクヨS&T ELA-MRU41
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コクヨ (2009-04-01)

マウス機能付き赤色レーザーポインター

エアビーム

エアビームとは、レーザー光を使わずに、PCソフトでポインターを画面上で動かすものです。

ポインターの形状や色、大きさが自由に変えられるので、視認性にすぐれています。特に、プロジェクターではなく、液晶画面が設置されているような会場や、モニターが複数あるような会場や、TV会議では、便利です。

最近、プロジェクターではなくて、液晶モニターが設置されているような会場もありますが、実は、レーザーポインターは、液晶モニター上を、ポイントするのは非常に苦手です。画面が明るいので、グリーンレーザーでさえ、ほとんど見えなくなってしまいます。こういうときは、エアビームしかないです(もしくは、指で指す)。

エアビームは、以前は、Windowsでしか使えなかったのですが、ここで紹介する機種は、どちらもMacで使えます(keynoteでも使えます)。

ちょっと、レーザーポインターほどの追従性はないのですが、視認性はばっちりです。今後、エアビームを使っていく人が増えていくのではないかと思っています。

コクヨS&T 10色11形状の照射が可能なプレゼンポインター エアビーム 液晶ディスプレイにも対応 Win対応 ELA-P1
コクヨS&T ELA-P1
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コクヨ (2011-09-09)

スタンダード版

コクヨS&T 10色11形状の照射が可能なプレゼンポインター エアビームマウス 液晶ディスプレイにも対応 プレゼンに必要なマウス機能つき Win・Mac対応 ELA-P2
コクヨS&T ELA-P2
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コクヨ (2012-09-11)

マウス機能付き

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