医学部受験本を読みあさりました
医学部を目指す高校生達が、どのように医学部をとらえているのかを知りたくて、医学部受験本を読み漁ってみました。
はじめの2冊は、実際の医師が医学部を受験したいと思う学生に対して、医師になると言うことはどうなのかを解説した本で、どちらかというと、現在の「成績がよいから医学部を目指す」という状況に警鐘を鳴らしている本です。あとの2冊は、朝日新聞と旺文社が、医学部受験生に、医学部で学ぶこと、医学部を卒業した後のキャリアについて客観的な情報を与える本になっています。普通、後者の2冊のどちらかを買うのでしょうが、医学部を受けたいと思う人は、早い時期に前者2冊のどちらかを読んで欲しいと思います。
『医学部を受験する前に読む本』
著者:早川 豊、出版社:中外医学社 (2003-09)
この本は、1992年に出版されて、2003年までに、6回の改訂を経ています。その当時、本当に正直な、医学部を目指す人向けの唯一の本でした。医学部を受験したいという人みんなに読むことを薦めていました。
10年ぶりくらいに読んでみましたが、その頃と今では、まったく、医学部卒業生のキャリアについては社会情勢が変わっています。臨床研修制度の必修化、医学部定員の大幅増員、専門医制度が確立、ジェネラリストに対する見方が大きく変わったこと。だから、この本を鵜呑みにできないのですが、社会情勢が変わっても、根っこの本質的な部分は十分通用するように思います。早川豊氏というのはペンネームで、昭和30年生まれの医師の方のようです。
『医者になってどうする!』
著者:小鷹昌明、出版社:中外医学社 (2009-08)
今、医学部を目指す高校生に勧めるとしたら、この本です。タイトルからしてもわかるように、医師になってもいいことばかりでないことがはっきりと書いてあります。それでも医学部を目指す高校生に熱いエールを送っています。小鷹 昌明氏は獨協大学の神経内科に勤務されていましたが、2012年4月に、一念発起され、南相馬市立病院に移られています。
『医学部に入る 2012 (週刊朝日MOOK)』
朝日新聞出版、2011-09-03
医学部受験MOOKとして正当派の一冊。医学生や医師の紹介、インタビュー記事も多く、値段も安いです。でも、きわめて表層をながめているような感じがしてなりません。
『医学部受験の総合的研究』
著者:岩嶋 宏恭、出版社:旺文社 (2008-05)
旺文社らしい、医学部の現状、医学部卒業後のキャリアの現状を丹念に詳細に書いています。後半1/4は医学部受験対策です。2008年なので、ちょっと古くなっているので、改訂が望まれますが、ほとんどの部分は今でも通用すると思う。