シアトルから帰国して10年

2002年3月に、2年9ヶ月過ごしたシアトルを離れ、東京に戻ってきました。つまり、今月で、帰国後、ちょうど10年と言うことになります。

あっという間の10年間ではありましたが、まだ10年しかたっていないのかという気もするくらい、遠い昔のような気がします。

シアトルへの研究留学は、本来の目的である、研究成果という点では、正直なところ決してほめられたものではありませんでした。何とか、英語の原著論文を2本書いたものの、当初の目論見からすれば、3年近く研究だけして、それだけかという感じです。「おまえの留学の最大の成果は研究留学ネットだったな」と言われれば、「はい、その通りでございます」というしかありません。

ただ、シアトルへの2年9ヶ月のシアトルでの生活がわたくしの考え方に大きな変化を与えたことは間違いありません。私の最大の長所でもあり、短所であるのが、「器用貧乏」なところ。でも、シアトルで多様な人たちに会い、アメリカの多様性を尊重するという考え方に触れたおかげで、「器用貧乏で何が悪い、やれるんなら、おまえらやってみろよ」と開き直れるようになりました。

日本に帰国してからは、研究一辺倒から、臨床、教育どれにも力を入れました。そして、家族との時間も大切にするようにしました。3年前からはテニスも始めました。友人関係も、あえて、外向きに広げ、同じ科の人より、他の科の人。同じ大学の人より、他の大学の人。同じ業種の人より、異業種の人と会う機会をつくるように心がけてきました。本もたくさん読むようになりましたし、あらゆるものへの好奇心を大切にしてきました。

そうした中で、器用貧乏な人間にも生きる道はちゃんとあると言うことがわかってきました。器用貧乏は、よく言えば、多才な人でもあるんですね。そう言う観点で、今は、重宝がられています。

器用貧乏道をきわめてやる、今は、そう考えてやっていますし、次の10年間も変わらず続けていきたいと思います。

シアトルから帰国したときに、写真をもとに、短いPVをつくりました。残念ながら、原本はなくしてしまったのですが、こちらのWebには残っています。本人としては、相当よくできていると思っています。

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