本の紹介「日本人研究者のための絶対できる英語プレゼンテーション」
「日本人研究者のための絶対できる英語プレゼンテーション」
著者:Philip Hawke、出版社:羊土社 (2011-11)、ASIN:4758108420【amazon.co.jp】【目次】
タイトルの通り、日本人研究者が英語プレゼンテーションができるようになるための指南書。英語だけの問題ではなく、スライドの作り方、言語コミュニケーション、非言語コミュニケーションまで網羅しています。若手日本人研究者の発表をネタに、解説を進めています。
たくさんの文例が載っているわけではなく、本当に、この一冊で「絶対できる」ようになるわけではありません。ただ、できるようになるための、インターネットサイトやPodcastの紹介などもしており、親切な本です。どちらかというと、実は、指導者向けに最適な本なのではないかと思いました。この本には、英語プレゼンテーションをおこなう際の詳細なチェックリスト(100を越える)が冒頭に載せてあり、それに沿って解説が進んでいます。このチェックリストを元にしながら、指導するのは、とても有効だと思いました。
発音の部分にもかなりのページを割いていますが、やはり、Nativeにチェックしてもらわないとダメなんだろうと思いました。
原稿を読むべきかどうかについては、この本では、スクリプト(原稿)を暗記して、本番では、それを見ないで発表することを勧めています。そう言う経験を何回か経験すれば、だいぶ、慣れてくるのではないかということでした。
意外に感心したのは、次の2点。
英語でのプレゼンテーションでは、できるかぎり、会話調の英語をつかうべきだということ。具体的には、フォーマルに聞こえるラテン語系の動詞を避けて、ゲルマン語系の動詞を使う。受動態ではなく能動態を使う。抽象的な概念を示す名詞(たとえば、depletion)は、同等の動詞(we depleted)に置き換える。といった具合です。
レーザーポインターはうまく使えない人が多い(グルグル回して、見づらい)ので、レーザーポインターが必要なくてもすむようなアニメーションを使うのが効果的と主張しています。確かに、それはそうかもしれません。あと、最近は、スクリーンではなく、液晶ディスプレイが導入されている会場ってありますよね。あれ、実は、レーザーがすごい見づらいのです。私も前回の市民講座は立派なホールだったのですが、液晶ディスプレイだったので、レーザーがまったく映らず、指で指したりして苦労してやりました。そう言うこともあるって事は知っておいた方がいいですね。
ということで、研究室に1冊あるとよい良書です。