2011.10.30

校風

広島の新しい友人との不思議な縁で、中学・高校時代の親しい後輩と四半世紀ぶりに再会することが出来た。

私たちの学校は、その当時は、まだ、新設校でそこそこの学校であったが、今ではすっかり進学校の上位校となっているらしい。2年ほど前に20年ぶりに再訪問したら、すっかり、校舎も新しくなってしまい、自分の記憶の中に残っているものが何一つないような感じだった。25年前と今では、まったく別の学校なのかもしれない。

後輩と二人で、自分たちの学校を振り返って、一致した意見は、とにかく放置されていたと言うこと。授業がいいとか、教師がいいとか、カリキュラムがいいとかいうことは全くない。その代わり、宿題をたくさん出したり、時間割がきつきつだったりすることもなかったから、受験勉強したい人は、好きなだけ勝手にしてよかった。入学してくる生徒のレベルはそこそこだから、それなりの大学進学実績を残せてきたのだろう。

後輩も、医学部に進んだが、数年前に、大学をやめ、小児科医として開業している。人前で苦労話をするようなやつではないけど、きっと、いろいろな紆余曲折があったのだと思う。言葉の端々に、決断を迫られた時、どんな風に考えてきたのか、様子をうかがい知ることが出来た。それを聞いていて思ったのは、本当に、自分に似ているということ。

お金はあって困るものじゃないけど、そこそこあれば、お金を稼ぐことに執着する必要はない。ガツガツしすぎない。どうせ人生なるようにしかならない。失敗したって取り返せないものなんてない。生活の中で少しだけでいいからやりがいを持つことで生き生きとしていたい。

実は、彼だけではない。久しぶりにあった中学・高校の友人からも同じ印象を受けたことがあるのだ。

多感な中学・高校を同じ場所で過ごすというのは、知らず知らずのうちに、同じような価値観を持つようになるのかもしれない。それそのものが、「校風」というものであって、知らず知らずのうちに私たちがすり込まれているものなのかもしれないと思った。

2011.10.29

「レジデントのための血液透析患者マネジメント」増刷

レジデントのための血液透析患者マネジメント」の増刷が決まったとのうれしいお知らせ。増刷というのは、初刷りで印刷した部数が完売しそうなので、追加で印刷すると言うこと。

皆さんもご存じのように、日本には、再販制度というのがあって、本は発売されると、とりあえず、いろいろな書店に並ぶことになりますが、6ヶ月後に売れなければ、出版社に返本してもいいというルールになっています。したがって、正確な売り上げ数というのは、出版社でも半年以降にならないと把握ができません。書店からの追加注文や、医学書書店からの反応を見て、売れ行きが良好だという判断なのでしょう。

特に、初版→二刷りというのは、出版社にとっても、著者にとっても大きな意味があります。一般的に、初刷りを売りきれるかどうかが、出版社にとっての損益分岐点だと言われています。したがって、初刷りが売りさばけないとなると、出版社は赤字。二刷り以降に進めば、出版社に利益が入ると言うことになります。今回は、企画を自分で持ち込んだものですから、なんとしても、初版は売り切りたいと思っていたので、とりあえず、義理は果たせたとホッとしています。

構想8年、執筆1年の本ですから、定期的に改訂もおこなって、長く読み続けられる本になってくれるといいなと思っています。

川崎医科大学の柏原教授、東海大学の深川教授、中部労災病院の藤田先生から、あたたかい書評をいただくことが出来ました。ありがとうございました。

2011.10.23

GR Digital 4 ゲット

iPhone 4Sに関しては、初日に、Apple Store Ginzaにちらっと並んでみたものの、すぐに、ソフトバンクのサーバーがダウンしているという話が出て、こりゃ無理だと思って、退散。私が希望しているソフトバンク版の64G白は、どこにもないと聞いて、すっかり、iPhone 4S熱は冷めてしまっています。

ところで、もう一つ、重要な新製品が10月にはありまして、RICOHのGR Digital 4です。私は、GR Dgital→GR Digital 2→GR Digital 3と買い続けています。GR Digitalの魅力を他の方に伝えるのは、本当に難しいのです。ズームがなくて、広角28mmですし、外観上も、1→2→3→4とほとんど変化していません。でも、この外観が変化しないと言うことが、逆に言えば、多くのユーザーに支えられて、正常進化をしているということなのです。

さて、GR Digital 4には、外観上、大きな変化が一つだけあります。そう、特別限定色で、ホワイトが用意されたのです。私も、今回はホワイトを選択しました。

今までは、外見がほとんど変わらなかったので、家人にも、買い換えに気づかれなかったのですが、今回は、一瞬でばれました。まぁ、その一点だけが欠点ですが、ホワイトは、10000台だけの限定色なので、ご希望の方は、お早めに。

2011.10.21

「13階段」と「果つる底なき」

さっそく、「13階段」を手に入れて、読み始めたのですが、なにか、違和感が、、、、。結末が予想できる。デジャヴ感が、、、。読み進めるうちに、この本読んだことがある!と気がつきました。こういうことよくあるんですよね。特に、東野圭吾の本で頻発します。

ということで、池井戸潤氏の本を選ぶことに。同じサラリーマン小説系は避けたかったので、江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作「果つる底なき」を選びました。ストーリーのテンポの良さとかから、きっと、この方は、放送作家出身なのかなと思ったら、もともとは、銀行マンで、その後、企業コンサルタントをやりながら、ビジネス書を書いていた人なのだそうです。そして、1ヶ月で、初めて小説にチャレンジしたのがこの作品とのこと。「1ヶ月しか時間は取れないから、取材する時間もない。そのために銀行員時代に体験した債権回収の出来事がそのまま題材となって出てきます」と、池井戸潤氏が自作を語っているBOOK asahi.comの記事、に書かれていました。とてもテンポがよく、最後までじっくり読ませるハードボイルド的な推理小説でした。

2011.10.15

「下町ロケット」と「ジェノサイド」

先日の積ん読本でも紹介しましたが、「下町ロケット」と「ジェノサイド」両方ともなかなか面白かったです。もちろん、両方とも予定調和的な結末を迎えますので、その辺を、なだかなぁと思い始めてしまえば、底の浅さが見えてしまいますが、エンターテイメントとしてはどちらもよくできた本だと思います。

両者に共通しているのは、理系的な専門知識が満載な事、男中心のストーリー展開と言うことでしょうか。

どちらがおすすめかと言えば、「ジェノサイド」です。スケールが大きく、展開が早く、みるみるはまっていきますね。薬学、医学、生物学の知識が結構出てきますが、実現可能かどうかは別にして、かなり、いい線を行っているように思います。SFですから、もちろん、現実的に可能なストーリーではないですが。イメージは、「ジュラシックパーク」とか「パラサイトイブ」を読んだときに似ています。高野和明さんというのは、特に、生物学を学んだこともないようですから、それで、ここまで書ききるのは見事です。ただ、半分は、戦争物ですから、好き嫌いは分かれると思います。私は、久しぶりにむさぼるようにして、一日で読み切ってしまいました。そのくらい、「はまる」本だと思います。

秋の夜長にどうぞ。

PS. 高野和明氏は私の中学高校の1年先輩でした。江戸川乱歩賞を取られた「13階段」も読んでみよう。

2011.10.11

積ん読本2011年10月

8月のウィーン旅行を終えてしまったら、すっかり、読書とは縁遠くなってしまいました。原稿とかがたまっているから、電車の中や寝る前の時間も、それらのことが気になって、あえて、本を遠ざけていました。

では、その結果、仕事が進んでいるかというと、NOでありまして、せめて、1日のうち、一定の時間は本を読んでいた方がいいと思うようになって、この週末で、「下町ロケット」を読みました。

というわけで、積ん読本と読了本の紹介です

「下町ロケット」

著者:池井戸 潤、出版社:小学館 (2010-11-24)、ASIN:4093862923【amazon.co.jp

第145回直木賞受賞作。男っぽいというか、サラリーマン小説である。すかっとするストーリーであるが、すべて予定調和と言われてしまえば、その通り。いかにも、ドラマ向きの小説です。


「ジェノサイド」

著者:高野 和明、出版社:角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-03-30)、ASIN:4048741837【amazon.co.jp

「下町ロケット」の次は、この本と思っています。


「スミスの本棚 私の人生を変えたこの一冊」

著者:テレビ東京報道局ワールドビジネスサテライト、出版社:日経BP社 (2011-09-22)、ASIN:4822248682【amazon.co.jp

第一線で活躍する経営者、文化人、俳優、作家はどんな本を読んでいるのか?42人の座右の書を紹介する1冊。こういう本、ついつい読んでしまって、ますます、積ん読本が増えてしまうのです。


「明暗 (新潮文庫)」

著者:夏目 漱石、出版社:新潮社 (2010-01)、ASIN:4101010196【amazon.co.jp

本当は、ウィーンの出張の際に読みたかったのですが、手を付けられませんでした。次の海外出張で是非。


「続 明暗 (ちくま文庫)」

著者:水村 美苗、出版社:筑摩書房 (2009-06-10)、ASIN:4480426094【amazon.co.jp

ご存じのように、夏目漱石の「明暗」は、夏目漱石の死によって、途中で終わっているのですが、その続きを書いたという本。たいてい、こういうものは、駄作が多いのですが、この本は、結構、評判がいいので、「明暗」と一緒に、次の海外出張で。


「日の名残り (ハヤカワepi文庫)」

著者:カズオ イシグロ、出版社:早川書房 (2001-05)、ASIN:4151200037【amazon.co.jp

「私を離さないで」がよかったので、カズオイシグロで次に手を出すとしたら、これですね。


「トム・ソーヤーの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)」

著者:マーク トウェイン、出版社:角川書店 (2005-01)、ASIN:4042142079【amazon.co.jp

マークトウェインの言葉がとても好きだから、子供の頃に戻って、もう一度、読み直したいと思っています。


「暴力団 (新潮新書)」

著者:溝口敦、出版社:新潮社 (2011-09-16)、ASIN:4106104342【amazon.co.jp

今、話題になっている本。見知らぬ世界の基礎知識が得られて、なかなか、よかったです。


「スティーブ・ジョブズ I」

著者:ウォルター・アイザクソン、出版社:講談社 (2011-10-25)、ASIN:4062171260【amazon.co.jp

スティーブジョブス本は、過去に何冊か出されていますが、唯一、本人が取材をOKして、自伝として公認した本。スティーブジョブスの死によって、発刊が1ヶ月早まりました。ベストセラー必至の本です。


「スティーブ・ジョブズ II」

著者:ウォルター・アイザクソン、出版社:講談社 (2011-11-02)、ASIN:4062171279【amazon.co.jp

下巻の方も発刊が早まったようです。


2011.10.08

Steve Jobsが朗読したThink different

Steve Jobsがアップルに復帰した後、アップルが立ち直っていくきっかけになったキャッチコピー、それが、「Think Different」です。実際のCMは他の方が、朗読されていますが、Steve Jobs自身が朗読をしているバージョンがあることを、こちらのサイトで知りました。

全文は以下の通り。

Here's to the crazy ones, the misfits, the rebels, the troublemakers, the round pegs in the square holes... the ones who see things differently -- they're not fond of rules... You can quote them, disagree with them, glorify or vilify them, but the only thing you can't do is ignore them because they change things... they push the human race forward, and while some may see them as the crazy ones, we see genius, because the ones who are crazy enough to think that they can change the world, are the ones who do.

日本のCMでは根津甚八さんが、朗読されています。

2011.10.06

Steve Jobs 1955-2011

Steve Jobsが亡くなりました。

8月末に、CEOを辞任したときに、近いうちに、この日が来ると覚悟していました。

彼の膵臓癌が見つかったとき、私は、はじめて、Steve Jobsがこの世からいなくなる。Steve JobsのいなくなるAppleになるという、とてつもない不安感に襲われました。しかし、彼の、あのスタンフォード大学でのスピーチにもあったように、幸い悪性度の低い膵癌で、カムバックしてきたとき本当にうれしかったです。

しかし、幸せな時間は長く続かず、壇上に立つ彼はだんだんやせ衰えて、ついには、肝臓移植を受けたという話が伝わってきました。

正確な病状は、わかりませんが、私も医師のはしくれなので、あんまり芳しくない病状だとは思っていました。そんな病状でも、Keynoteスピーチに登場し、私に夢を与えてくれる、彼に尊敬の念を抱いていました。

8月末に彼が、CEOを辞めたときの、私のSteve Jobsへの思いは、「ありがとう、スティーブ」というエントリーに書き留めてあります。悲しいではなく、ただ、ただ、ありがとう、そういう気持ちで一杯でした。そして、少しでも、家族との幸せな時間が続きますようにと願ってきました。

残念ながら、本日、彼が帰らない人になったとのニュースが世界をかけめぐりました。

月並みな言い方しかできませんが、彼が生み出したプロダクツ、イノベーション、ビジョンは、私の中で生き続けています。私も、身近な人、そして、ネットを通じて知り合った方々に、少数ではありますが、それを伝導して行き続けたいと思います。

彼が、スタンフォード大学のスピーチで残した言葉、

Death is very likely the single best invention of Life. It is Life's change agent. It clears out the old to make way for the new.

を胸にして。

今日一日は、研究留学ネットのトップページも特別バージョンにします。

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