ウィーン2011~その2~18世紀から21世紀にわたるウィーンの医学教育を見聞
今日は、AMEE主催のツアーに参加。「Medical Education in Vienna from the 18th to the 21st century」というテーマです。ウィーン大学所有の2つの博物館を巡るとともに、ウィーン大学医学部(Medical University of Vienna)の教育施設を見学し、ウィーン大学医学部の新しいカリキュラムについて学び、ディスカッションをするという目的。
スタートは、Narrenturm。非常に特徴的な円筒形をした建物で、昔は、精神病棟として使われていて、現在は、Pathologisch Anatomisches Bundes Museumという、病理解剖標本の博物館として利用されています。
とにかく、驚くのは、驚異的な数のムラージュ(病をもった人体からかたどった蝋で作られた模型)。私自身見たこともない病気。現代では見ることができなくなった病気のオンパレード。写真が存在しなかった時代には、直接患者を見るか、貴重な症例はムラージュの形でしか多くの学生に伝える方法がなかったのでしょう。そして、これだけの数のムラージュがあることが、当時のウィーン大学医学部のレベルの高さをうかがわせます。
医学生や医師の方は、ウィーンに来たときに絶対に外せない場所です。そうでない人にはあまり勧めません。
美しいキャンパスを歩いて、次に向かったのは、Histologisches Institutes HS。組織学、解剖学、生理学などの校舎が集まる一角にある建物。ウィーン大学医学部のカリキュラムの変遷についてのワークショップ。
ランチを取った後は、Josephinumと呼ばれるウィーン医学史博物館。古医学書、古い医療器具、Wax模型などが展示されています。
膨大な古医学書が保存されています。この図書室に入った瞬間の、古本の臭いに、一同、興奮。やっぱり、医学教育をやっている人には、たまらないですね。触ってもいいと言うことなので、一同、目の色を変えて、古医学書をめくっていました。
Wax模型は、正常の解剖を理解させるための模型が、1200点。一番印象的だったのは、ビーナスと呼ばれる、ビーナスのおなかが開けてあって、臓器が見られるようになっている模型。こちらのページの下の方のリンクをたどれば、見られますが、医学教育的なものなので、普通の方は見ない方がよいかも。医学教育的には、正常妊娠、異常妊娠の模型がたくさんあったのが印象的。
古い医療機器もたくさん展示されていて、ビルロートが最初に胃摘出をした患者さんの胃の標本なんかもありました。
最後は、Lernzentrumで、現在のウィーン大学医学部のカリキュラムの説明を受けました。ウィーン大学医学部は、一学年740名もいるので、シミュレーションセンターとかも、数がたくさん必要で大変そうでした。
というわけで、1日がかりのツアーは終了。はっきり言って、このツアー最高に面白かったです。医学教育のベースが解剖学であり、本であること。再認識しました。
地下鉄にて、ホテルに戻る。ウィーンの地下鉄は、清潔で安全です。
ホテルの近くに、遊園地があって、夜になってもたくさんの人が集まっていて楽しそうでした。夜の遊園地は、写真好きにはたまらない被写体なので、1時間ほど、ブラブラしながら、写真を撮りました。
明日から、いよいよ、本学会開始。