2011.08.31

ウィーン2011~その5

無事発表終了。今回は、ポスターだったのですが、一応、3分くらいでみんなの前でしゃべって、Discussionをするというスタイルでした。3分プレぜーテーションとはいえ、さすがに何も準備しないと、頭が真っ白になることがあるので、しゃべる台詞を一回はノートに書き出してみる。あとは、その場で、みんながチンプンカンな顔をしていたら補足するという感じで乗り切りました。そもそもが日本の医学部の教育制度をみんな知らないようだったので、その辺を補足しました。

そういえば、ポスターは、ほとんどが1枚刷りのポスターでした。1枚刷り以外のものは見なかった気がします。しかも、半分くらいは、布ポスター。私も、布ポスターにしたのですが、折り目をしっかりつけすぎると、多少、折り目が残ってしまうのですね。気になる人は、イヤかもしれません。

さて、飛行機出発まで、中途半端に時間が余ってしまったので、フロイト博物館へ。学生の時には、眼科と精神科だけには絶対になるまいと思っていたような人間なので、フロイトも、驚くほど知りません。この博物館は、フロイトがナチスに追われてロンドンに移るまで住んでいた家を博物館にしたものです。ロンドンに移る際に、身の回りのものもほとんど持って行ったようで、ロンドンのフロイト博物館の方が見応えがあるようです。

小さな博物館ですが、とても賑わっていたのが印象的でした。

さて、ウィーン最後の食事は、屋外のカフェで食べました。チキンサラダとビールです。実は、このようなウィーンらしくない料理がもっともおいしかったです。ちょっと、私には、ウィーン料理は荷が重たいようです。

幸い天気にも恵まれ、学会も実りがあるものだったし、ウィーンも堪能できました。

2011.08.30

ウィーン2011~その4

ウィーン滞在も4日目となると、かなり疲れがたまってきています。写真に夢中になっていると、いつの間にかものすごい距離を歩いているのです。だから、夜も、写真の整理すると、そのままバタンキュー。

ウィーンの見所もだいたい見られました。本当は、美術史博物館という、絵画好きにはたまらない美術館があるのですが、私には、きっと理解できないでしょうから、パス。

学会のお昼休みを利用して、ウィーン大学医学部のBookstoreを覗いてみました。

あっ、上の写真はBookstroreとは関係ありません。海外に来たときには、その土地の医学部の本屋を覗くのが趣味なのですが、さすがに、ほとんどドイツ語の本ばかりで、今回は、買うのをやめました。

お昼もホットドックで済ませて、2日前に行こうとしてお休みだった、ヴォティーフ教会を見てきました。

この教会のステンドグラスはすごかった。

天井も美しかった。

学会が終わり、ウィーン最後の晩餐は、あえて、肉を外してシーフードに。相当、胃が疲れています。口が肉以外のものを求めています。

最後に、DEMELのザッハトルテで終了!

明日は、学会最終日で、私の発表は、学会最後の最後。一応、恥ずかしくない程度に、予行演習をやっておきましょう。

明日は発表の直後に、飛行場に向かって、日本に帰りますので、今日がウィーンの写真も最後です。長いこと、おつきあいいただきありがとうございました。

2011.08.29

ウィーン2011~その3〜王宮周辺を散策

学会はなぜか、2時間もランチタイムが設けてあるので、学会場を飛び出して、ベルウェデーレを散歩。ベルウェデーレはプリンツオイゲン公の夏の離宮。中は、美術館になっています。私、つくづく思いました。自分は、クラッシクにも、絵画にもまったく興味が持てない得意な体質であるということを。

学会が終わり、Japan Nightまでの時間、王宮近くを散策。

本家のザッハトルテは私には甘すぎる。デメルの方が好き。

ミヒャエル教会。

アウグスティーナ教会

でも、やっぱり、シュテファン教会が一番すごい。

ふらっと立ち寄った、カプツィーナ教会は別の意味ですごかった。ここは、皇帝納骨堂とも言われ、ハプスブルグ家の146体の柩が安置されているのです。その柩が、どれもおどろおどろしく、雰囲気もかなりこわいです。

夜は、Japan Night。ZUM WEISSEN RAUCHFANGKEFRER。現地の人が選んでくれれば、やっぱり、オーストリア料理もおいしいんだなと実感。20名を超す大盛況でした。

2011.08.28

ウィーン2011~その2~18世紀から21世紀にわたるウィーンの医学教育を見聞

今日は、AMEE主催のツアーに参加。「Medical Education in Vienna from the 18th to the 21st century」というテーマです。ウィーン大学所有の2つの博物館を巡るとともに、ウィーン大学医学部(Medical University of Vienna)の教育施設を見学し、ウィーン大学医学部の新しいカリキュラムについて学び、ディスカッションをするという目的。

スタートは、Narrenturm。非常に特徴的な円筒形をした建物で、昔は、精神病棟として使われていて、現在は、Pathologisch Anatomisches Bundes Museumという、病理解剖標本の博物館として利用されています。

とにかく、驚くのは、驚異的な数のムラージュ(病をもった人体からかたどった蝋で作られた模型)。私自身見たこともない病気。現代では見ることができなくなった病気のオンパレード。写真が存在しなかった時代には、直接患者を見るか、貴重な症例はムラージュの形でしか多くの学生に伝える方法がなかったのでしょう。そして、これだけの数のムラージュがあることが、当時のウィーン大学医学部のレベルの高さをうかがわせます。

医学生や医師の方は、ウィーンに来たときに絶対に外せない場所です。そうでない人にはあまり勧めません。

美しいキャンパスを歩いて、次に向かったのは、Histologisches Institutes HS。組織学、解剖学、生理学などの校舎が集まる一角にある建物。ウィーン大学医学部のカリキュラムの変遷についてのワークショップ。

ランチを取った後は、Josephinumと呼ばれるウィーン医学史博物館。古医学書、古い医療器具、Wax模型などが展示されています。

膨大な古医学書が保存されています。この図書室に入った瞬間の、古本の臭いに、一同、興奮。やっぱり、医学教育をやっている人には、たまらないですね。触ってもいいと言うことなので、一同、目の色を変えて、古医学書をめくっていました。

Wax模型は、正常の解剖を理解させるための模型が、1200点。一番印象的だったのは、ビーナスと呼ばれる、ビーナスのおなかが開けてあって、臓器が見られるようになっている模型。こちらのページの下の方のリンクをたどれば、見られますが、医学教育的なものなので、普通の方は見ない方がよいかも。医学教育的には、正常妊娠、異常妊娠の模型がたくさんあったのが印象的。

古い医療機器もたくさん展示されていて、ビルロートが最初に胃摘出をした患者さんの胃の標本なんかもありました。

最後は、Lernzentrumで、現在のウィーン大学医学部のカリキュラムの説明を受けました。ウィーン大学医学部は、一学年740名もいるので、シミュレーションセンターとかも、数がたくさん必要で大変そうでした。

というわけで、1日がかりのツアーは終了。はっきり言って、このツアー最高に面白かったです。医学教育のベースが解剖学であり、本であること。再認識しました。

地下鉄にて、ホテルに戻る。ウィーンの地下鉄は、清潔で安全です。

ホテルの近くに、遊園地があって、夜になってもたくさんの人が集まっていて楽しそうでした。夜の遊園地は、写真好きにはたまらない被写体なので、1時間ほど、ブラブラしながら、写真を撮りました。

明日から、いよいよ、本学会開始。

2011.08.27

ウィーン2011〜その1〜

去年から、ヨーロッパ医学教育学会(AMEE)に参加するようになって、今年は、オーストリアのウィーン。昨年のグラスゴーでヨーロッパの良さを再発見して、しばらくは、ヨーロッパの学会に参加していこう、という気分になっています。

午前中のワークショップを終えて、午後は、ウィーンで一番の人気というシェーンブルン宮殿に。確かに、 宮殿の中は、ベルサイユ宮殿よりすごかったなぁ。高級な素材や芸術品をはめ込んで作った、贅沢な部屋の数々、保存状態もすばらしかった。そして、グロリエッテまで、登って見た景色もすばらしかった。チケットを買うときは、けちらないで、グランドツアープラスを買うことをおすすめします。

その当時、遠くの国からわざわざ見に来る人がいるほどの皇妃エリザベートを、一度でいいから生で見てみたいという妄想がふつふつと沸く。

市の中心部に戻り、ケルントナー通りを散策。ホテルは、会場近くではなく、こっちの方にすればよかったと、ちょいと後悔。

長崎以来、教会には、かなりうるさくなっているのですが、ウィーンのシンボルになっている、シュテファン寺院にはやられました。

教会の中に入ったとき、はっと、息を飲みました。この感覚は、バチカンのサンピエトロ大聖堂に入ったときの感覚によく似ていました。

夕食は、グリーフェンバイスルで、オーストリア料理。雰囲気のあるレストランですが、メインの肉の量が半端じゃない。オーストリア料理は、繊細ではないので、5日間も食べ続けることは難しそうです。

オペラはオフシーズンなので、あきらめていましたが、お気軽なコンサートの客引きに捕まり、まぁ、オペラ座の中が見られるならいいやと思い、観ることにしました。観光客向けのプログラムですが、モーツァルトの曲は、半分くらいはわかるので、お気軽に雰囲気が楽しめました。いずれにしてもオペラ座の中に入れたので満足。でも、演奏中に、ばしばし、ストロボがたかれるのはどうかなぁ。

いや、しかし、英語圏以外の国っていうのは、不便ですねぇ。ドイツ語はすっかり忘れてしまっています。まぁ、多くの人が英語をしゃべってくれるのですが、ドイツ語の駅名とかはわかりづらかったり、タクシーの運転手さんは、英語をあまり理解してくれなかったりして、いろんなハプニングが起こります。

今日は、アナウンスを聞き損ねて、地下鉄の車庫に入ってしまったり、コンサートのチケットの日にちが間違っていて大汗かいたり、タクシーの運転手さんがホテルとは全然違う方向に行ってしまったり。かなり、珍道中な一日でした。

2011.08.25

ありがとう、スティーブ

Apple社のCEOのSteve Jobsが、CEOを引退することになった。

私は、研修医の時に、大枚をはたいて、Mac IIsiを購入して以来、20年間、ずっと、Appleのコンピュータを使い続けてきた。Private用、仕事用、数えたら20台を越えている。iPodも5台、iPhoneも3台、iPadも1台。Appleの収益にはだいぶ貢献してきた。

Macを使っていることで、どんどんコンピュータのことが好きになった。私が、今、こうしてあるのも、Appleが、Macがあったからと言って過言でない。なぜ、Macを使うのですか?と聞かれたら、「好きだから」としか答えようがない。そして、私がMacを愛する気持ちのかなりの部分が、Steve Jobsが好きだからという事によるのだと思う。Appleの新製品発表のSteve Jobsのプレゼンテーションは本当に楽しみで、次の日朝早くから仕事があっても、いつもライブで見ていた。

私の人生の中で、もっとも影響を与えた演説は、Steve JobsのStanford大学の卒業式典での祝辞である。もし、ごらんになったことがない方がいらっしゃれば、是非、ご覧いただきたい。私は、一時、全文覚えるほど、繰り返し聞いていた。下記の画像は、完全版の上、CCボタンを押せば、日本語字幕が出るというすぐれものです。

日本語全文英語全文

この演説の中で、膵臓腫瘍が見つかって、医者に「余命は数ヶ月だから、あとは、家族との時間を大切にしなさい」と言われたが、病理検査の結果、きわめてまれな良性の腫瘍であることがわかって、医者は涙を流しながら顕微鏡を覗いていたという一節が出てくる。しかし、残念なことに、膵臓腫瘍が肝臓に転移した。幸い、肝移植を早期に受けることが出来、再び、我々の前に戻ってきたが、徐々に体力が衰え、今回の引退につながったようだ。

@bodyhackerさんも言っていたけど、Steve Jobsでさえ、彼が辞めたとしても、Appleはこのまま動くのである。Tim Cookには、Steve Jobsほどのカリスマ性はないだろうが、Appleは時価総額全米トップの会社として走り続けるだろう。少なくとも数年は。「自分がいなきゃ、仕事が回らないから」みんなそういうけど、そんなことないのである。これまで、生まれてきた人間は、一人残らず、全員死んでいるけれども、地球は回り続けているし、世界は発展し続けている。

そう、だから、もっと、自分を大事にしよう。自分がやりたいことにstickしよう。

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life.

And most important, have the courage to follow your heart and intuition.

Stay hungry, stay foolish.

Steve、ゆっくり体を休めて、家族との時間を大切にして下さい。

長い間ありがとう。これからも盲目的にMacを愛し続けます。

2011.08.19

本の紹介「科研費獲得の方法とコツ 改訂第2版」

「科研費獲得の方法とコツ 改訂第2版」

著者:児島将康、出版社:羊土社 (2011-08-10)、ASIN:4758120269【amazon.co.jp

去年、初版が出たときにも、こちらで紹介したら、すごい反響があって、ものすごく売れた本です。おそらく、昨年の羊土社のベストセラーなのではないでしょうか。

こういう本は、毎年、科研費のポリシーが変わると使い物にならなくなっちゃうなと思いましたが、児島先生、ちゃんと、最新のデータに基づいて、平成23年度版をきちんと作られました。ちゃんと、科研費シーズン前に出すのですから、羊土社も気合いが入っています。

第2章と、第3章は第1版とまったく変わっていません。大きく変わったのは、第1章です。すでに、第1版をお持ちの方は、買い換える必要はないと思いますが、今年初めて、科研費を申請する方、今まで科研費に通ったことがないという方には、マストバイな一冊と思います。

前書きに、「こんな本を書いている自分自身が科研費通らないわけにはいかないと、去年の科研費申請には相当プレッシャーがかかった」と告白されています。児島先生ご自身の実物の申請書や、落ちた方の実例、通った方の実例などがあり、とても誠実に書かれた本です。

私も、今年は、科研費申請しなきゃいけない年なので頑張ります。


2011.08.18

PEN E-P3ゲット

GR Digitalシリーズは、常に持ち歩くカメラとして、自分の生活の一部になり、第一世代から、第3世代まで、愛用してきました。GR Digital IIIは、暗いところでもストロボなしでほとんどいけるし、滅多に色転びもしないし、携帯性、ユーザーインターフェース、どれも本当にすばらしいカメラです。28mmという広角の単焦点であることは、弱みであるとともに、ものすごい強みでもあります。

そして、メインのカメラというか、しっかり撮るカメラも10年近くNikonのデジタル一眼レフで落ち着いています。D70→D200→D300→D7000

つまり、24時間一緒のGRDと、撮影旅行に持ち出すNikonの一眼レフというカメラスタイルは、ここ5年以上変わらなかったし、今後も変わらない気がします。でも、困るのが、出張とか合間を見て、少し撮影をしたいので、望遠も欲しいような状況の時です。GRDでは物足りないけれども、わざわざ重たいニコンの一眼レフを持ち出したくないような状況の時のカメラです。

そのような状況を想定して、Panasonic Lumix G1を使ってきました。これは、結構気に入っているカメラですが、マイクロフォーサーズ初期のカメラなので、現在のカメラから比べると高感度が弱かったりします。そんな中、Panasonic Lumix GF1オリンパスXZ-1に浮気したりしましたが、結局ほとんど使わなかった。

最近になって、とても魅力的に見えてきたのが、PEN E-P3。3世代目になって、かなりよくなってきたという評判だし、何しろ、レンズラインナップが充実し始めた。今月末には、ヨーロッパ出張もあるしと言うことで、買いました。PEN E-P3。シルバーのツインレンズキット。評判のよいM.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0も追加。

先日の京都出張の時に、少し使いましたが、まだまだオリンパスの操作系になれていないので、相当もたもたしました。果たして、私のセカンドラインのカメラの定番になってくれるでしょうか?

ということで、これをきっかけにほとんど使っていなかったオリンパス XZ-1とPanasonic Lumix GF1を手放すことにして、マップカメラで売却しました。思っていたより、高く売れました。Panasonic Lumix G1は結構気に入っているので、もう少し手元に置いておくことにしました。

 

「オリンパス PEN E-P3 オーナーズブック」

モーターマガジン社、2011-08-18、ASIN:4862792839【amazon.co.jp

PEN E-P3は、なかなか所有欲を満たしてくれる。その代わり、あれこれ、アクセサリーが欲しくなってしまう。


2011.08.17

伊東屋とモンブラン万年筆145

「東京に住んでいてよいことは何?」と聞かれれば、迷わず、次の3つをあげるでしょう。

  1. うまいものが何でも揃っている(値段をいくらでも払えば、という条件付き)。
  2. ライブに気軽に出かけられる。
  3. 伊東屋がある。

というくらい、文房具が好きです。

最近、文房具に目覚めた息子を伊東屋に連れて行ったら驚嘆してましたよ。

「地下一階から8階まで全部、文房具屋なんだね!」

って。

というわけで、最近、手に入れたものをご紹介。モンブランの万年筆145を手に入れました。

昨年、初万年筆を手に入れて以来、万年筆ラブになってしまい、カルテ(未だにうちの病院は紙カルテ)とか、手紙とかは、全部、万年筆。

頚椎ヘルニアで筆圧がかけられない私には、万年筆が、めちゃくちゃ楽。

145は、吸引式とカートリッジが使える初心者向きであると同時に、細身なので、モレスキンのペンホルダーに収まると言うことが、決め手でした。ペン先はFにしました。145が気に入ったら、次は、146のMですかね。Mark Twainの限定版も気になるなぁ。いや~、でも、モンブランにはまったら、お金大変ですね。

2011.08.15

「研究留学を振り返って」鼎談のテイクホームメッセージ

鼎談という言葉知りませんでしたよ。無知ですね。

3人で話し合うことを鼎談というのだそうです。「ていだん」と読みます。

ということで、先週の土曜日におこなったのは、対談ではなくて、鼎談ですね。でも、自分の中で、元々2人でやるつもりで、対談企画として進んできて、急遽、3人になったものですから、、、、。

その鼎談の内容は、きちんと文章になるはずなのですが、なにぶん、放言に近いような内容も含まれていて、司会進行役の私がまったく、役立たないものですから、編集者の方はきっとこれから、大変な思いをして、テープ起こしされると思います。

ということで、その鼎談の、一番重要な部分だけ、テイクホームメッセージとして、まとめておくと、次のようなことになるかと。しかし、あくまで、これは、私が感じた一番重要と思われた内容なので、他の2名の方は、別の意見かもしれません。

留学するかどうかとか、進路に関しては、先輩や師匠、上司が言うことに従っておけば、そうそう間違いはない。自分で勝手に情報を集めたりして、あれこれ考えようとするから失敗する。

研究留学に、短期的なメリットを求めること自体が間違いであり、研究留学が、意味があるかどうかは、何年も経ってからようやくわかることである。

留学することは、「教養を身につける」ことと似ている。

いずれにしても、研究留学は、是非ともするべきである。

上記の文面だけを読むと、多くの方に誤解を与えるでしょうね。あくまでも、自分用のメモです。詳細は、「医学のあゆみ」に掲載されたものをお読み下さい。掲載は11月くらいのようです。

2011.08.14

夏の京都をPEN E-P3で撮る

対談の翌日、半日、京都のお寺巡りをしました。お盆で人が多いので、人が多いところを避けて、小さなお寺を選んで回る事にしました。この時期は、お花がほとんどないので、どうしても地味になりがちなのですが、新しく手に入れた、PEN E-P3の実力がどんなもんだか、試してみました。

宿泊は、京都ホテルオークラの東向きのとてもよい部屋だったので、日の出でも見たいなぁと思っていましたが、案の定、かなり疲れていて、起きたら、すでに7時半。完全に出遅れました。

蓮花寺は、以前、紅葉の時に来てすばらしかったお寺です。

圓通寺は、比叡山を借景とするお庭が有名なお寺さんです。たくさんのカメラ小僧が庭の写真を撮っていました。

源光庵には、悟りの窓、迷いの窓があります。

大徳寺高桐院。今日行ったお寺の中では、ここが一番よかったかな。

だいぶバテてきてしまって、下鴨神社のおやすみ処で、イチゴミルクかき氷。ここの氷は氷室の氷を使っているので、とてもきめが細かく、イチゴソースもプリザーブタイプでおいしい。おすすめですよ。

PENのアートフィルターは面白くって、多用しすぎてしまうのが欠点。

最後は、天寧寺の門を額縁代わりに比叡山を撮らせていただきました。

ちょっと、夏ばて気味で、新幹線の切符を早めて帰ることにしました。

2011.08.13

「研究留学を振り返って」対談

研究留学術」は、すでに出版から10年近くが経っていますが、今でも、少しずつではありますが、売れ続けています。「ベストセラーより、ロングセラーを」と思って書いた著者としてもうれしい限り。

ただし、書いた人間からすると、読み直すと、あちこちに古い記述があり、なんとか、書き直したいという気持ちもあります。しかし、この本自体、私が1999年にアメリカに留学したときの体験記ですので、体験記を書き直すわけにもいきません。もう一度、留学すれば、書き直せるのでしょうが。

ということで、せっかく、買って下さる方には、いつも申し訳ないと思っていました。

そこで、考えたのが、「研究留学術」にも、留学体験記を寄せて下さった廣田(@bodyhacker)さんとの対談「研究留学を振り返って」を追加するというものです。二人とも、留学から帰国して10年近くが経っていますから、留学の意味みたいなものを、第三者的に話し合えるのではないかと思って提案して、医学のあゆみの編集部からもOKが出ました。

さらに、ふとアイデアが沸き、もう一人くらい、追加しようと考えたのが、「研究者の仕事術」の作者の島岡要さん。島岡さんは、私たちと、だいぶキャリアパスが異なっていて、アメリカでPIとして活躍されていましたので、きっと、議論もふくらむだろうという思惑。最近、日本に戻られていたので、お声がけしたら、よろこんで参加して下さるとのこと。

企画が決まったのが、2ヶ月前。それから、今日を迎えるのを、本当に楽しみにしていました。

対談場所は、京都の老舗割烹旅館、八千代。南禅寺の門前にあります。

対談では、かなり突っ込んだ話し合いになりました。

・後輩には研究留学を勧めるか?

・研究留学はあなたの人生にとって、プラスだったか?

・MDが基礎研究をする意味はあるのか?

などなど、対談は2時間を予定していましたが、大幅に超過して、その後の食事、2次会と延々と番外編が続きました。

対談内容は、医学のあゆみに近々、2回に分けて収載されますので、その時はお知らせします。また、「研究留学術」の増補版に収載されます。

2011.08.05

腎臓内科学の勉強

教育部門に移って、なかなか、じっくり腎臓内科学の勉強をする機会が減ってしまいそうだったので、週に一回、卒後5-8年目の若手有志と一緒に、1時間の勉強会を2年前からやっています。

自分一人だとなかなか読めないような重たい本を教科書にしていて、これまでに、以下の3冊を読みました。

臨床透析ハンドブック第4版

より理解を深める!体液電解質異常と輸液 3版

腎生検病理アトラス

どの本も、腎臓内科医であれば、一度は読んでおくべきと思うような良書でした。そして、次の教科書。最近出版された、次の本にしました。

シュライアー腎臓病と病態生理

かなり分厚く、読みでがある本です。半年くらいかけて、じっくり勉強したいと思います。

2011.08.03

文房具オタは遺伝する

息子が、「おこずかいで買い物して来ていい?」と聞いたので、「もちろん、それは、君のお金だから、自由に使っていいよ」と答えた。「ちなみに、何に使うの?」と聞いたら、文房具が買いたいのだという。

買い物から帰ってきた息子に、何を買ってきたか見せてもらった。

買ってきたのは、ジェットストリーム4&1[4色ボールペン+シャープペン]と、uni α-gelのシャープペンシルである。文房具オタの親から見ても、なかなか、Good Choiceである。そう言えば、最近、私の本棚にある、「仕事にすぐ効く 魔法の文房具」を、食い入るように読んでいる。

血は争えない。

よし、夏休みのうちに、伊東屋に連れて行ってやろう。

2011.08.01

本の紹介「Amazonランキングの謎を解く」

私の書いた本「レジデントのための血液透析患者マネジメント」は、なかなかAmazonに入荷せず、一瞬15冊入荷されましたが、その後、再び、在庫切れという状況が続いています。なんか、ビジネスチャンスを失っているような気もしますが、息の長い本になって欲しいので、まぁ、いいかと。

自分の本のAmazonの在庫状況を見ながら、ついつい目がいってしまうのが、Amazonランキング。入荷があったときには、3桁台まで上昇しましたが、その後、在庫切れになったら、1万-3万台あたりをふらふら。

ところで、このAmazonランキングというのはどうやって計算しているのでしょうか?Amazonランキングの更新頻度が1時間に一回だから、当然、1時間当たりの売上冊数によると考えたくなります。1時間に何冊も売れる本はそれでよいのですが、ロングテールビジネスをおこなっているAmazonにおいては、大部分の本が1時間当たりの売上冊数はゼロなはずです。1日で売れた数、1週間で売れた数、1ヶ月で売れた数に、係数をかけて、ランキングをはじき出しているのでしょうか?Amazonが取り扱う、大部分の本は、年に5冊くらいが売れるロングテール本だと言われています。そうすると、Amazonが扱う300万点もの書籍すべてに、それぞれ一意のランキングを付けるには、どういう計算方法を用いているのか?考えると、とても不思議な感じがしてきます。

ちょうど、そんなことを考えていたとき、いつも行く日本橋の丸善に、「Amazonランキングの謎を解く: 確率的な順位付けが教える売上の構造」が平積みされていました。タイトルを見ると、ビジネス書みたいな感じがしたのですが、パラパラと見ると、本格的な確率論の本。さっそく、購入して(私がリアル書店で本を買うのはよほどのことです)、あまりに面白く、あっという間に、読んでしまったので、みなさんにおすすめしたいと思います。

著者の服部哲弥氏は、慶應義塾大学経済学部教授で、確率論、数理物理学の研究者です。Amazonの内部の人間ではないので、実際に、Amazonのランキングがどのように計算されているかについて解説しているわけではありません。Amazonランキングを題材として、数理物理学を展開している本です。つまり、Amazonランキングを計算する数理モデルを構築し、サンプルデータ(いくつかの書籍のAmazonランキングを毎日書き写して採取したもの)を用いて検証するということをやっている本です。

Amazonのランキングの計算方法を推測する上で、著者が採用したモデルは「move-to-front規則」(最後に売れた順に並べる、つまり、注文のたびに1位にジャンプする)というモデルです。たしかに、これは、自分の本のランキングをながめていても起こる現象で、順位が、10万台であろうと、100万台であろうと、1回注文すると、順位が、おおむね1万位台または2万位台に一気に上がります。実際には1位ではありませんが、本研究では、研究対象をロングテールの本にしぼり、1位と1万位が同等と見なせる単純化したモデルを用いているので、モデル内では同じ意味合いと考えて下さい。

そして、もう一つ重要なことは、検証対象を、1週間に1冊以下しか売れないような、Amazonが取り扱っている大多数の本にしぼったことです。よく売れる本(ビッグヒット書籍)と大多数のあまり売れない本(ロングテール書籍)では、Amazonランキングの計算の仕方が異なる可能性があり、著者は、ロングテールのランキング1万位以下の書籍のAmazonランキング計算方法に焦点を当てました。

著者はパレート分布に基づき、非常に単純なランキングの数理モデルを構築しました。そして、サンプルデータのランキングの時間変化のデータを統計的に当てはめて、各種係数を決めています。それによれば、著者の構築した数理モデルはランキングの推移と、非常によく一致しており、ランキングの数理モデルが正しいことを検証しています。

中身の1/3くらいは、かなり本格的な数学なので、私もついて行けないのですが、この本で、Amazonランキングの意味するものが 、明確になりました。

1万位以下のAmazonランキングでは、そのランキングが意味するものは最後に売れてからの経過時間と考えるとよいようです。

順位 最後に売れてから
70万位 72日
60万位 41日
50万位 26日
40万位 16日
30万位 9日
20万位 4.5日
10万位 36時間
5万位 13時間
4万位 9時間
3万位 6時間

1万位以内(上位)のAmazonランキングは、実際の売れ行きとイメージが近いと理解できます。

順位 平均注文時間間隔
10位 5秒/冊
100位 1.5分/冊
1000位 30分/冊
1万位 7.5時間/冊

上記、テーブルは、いずれも「Amazonランキングの謎を解く」服部哲弥著から引用。

さらに、この本がすばらしいところは、ランキング計算モデルを、実際のサンプルデータに当てはめて、係数を決めた結果、実は、「Amazonはロングテールビジネスではない」ということを明らかにしたということです。つまり、ほとんど売れない本は、コストがかからないと言っても、Amazonの収益にはほとんど寄与しておらず、実際には、Amazonは「よく売れる本」で収益を得ていると言うことです。すでに、「Amazonはロングテールビジネスではない」というのは、私の書いた本のような、たいしして売れない本が、ずっと在庫されないままになっているという事実とも一致しているのかもしれません。詳しくは、本書を読んで下さい。

本格的な確率論で、ついて行けていない部分もあります(そう言う人には、読み飛ばせる工夫がしてありますのでご安心下さい)が、かなりおもしろい本です。久方ぶりに、楽しく数学と接することができました。おすすめの一冊です。

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