本の紹介「工学部ヒラノ教授」
「工学部ヒラノ教授」
著者:今野 浩、出版社:新潮社 (2011-01)、ASIN:4103147628【amazon.co.jp】
案の定、「私を離さないで」は、なかなかページが進まず、一緒に読み始めた本書が予想外におもしろく、一気に読み切ってしまいました。
小説の体裁を取っていますが、実は、登場人物はほとんど実名で登場しますし、著者が歩んだ筑波大学→東工大→中央大という舞台はそのままです。ある意味、内情暴露本なのですが、著者の軽妙な語り口でまったく嫌みがありません。大学でおこっていることは小説よりはるかにおもしろいと言うことでしょう。
初めて知る、工学部の内情。
工学部ヒラノ教授の役得は、「1に好きな研究ができること。2に若くて優秀な学生とともに過ごせること。3に好きなときに海外出張できること」だそうです。
そして、工学部の教えは、
第一条 決められた時間に遅れないこと
第二条 一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべく努力すること
第三条 専門以外のことには、軽々に口出ししないこと
第四条 仲間から頼まれたことは、(特別な理由がない限り)断らないこと
第五条 他人の話は最後まで聞くこと
第六条 学生や仲間をけなさないこと
第七条 拙速を旨とすべきこと
だそうです。
私も、今年から医者より、研究者より、教員である時間が長くなり、ヒラノ先生の悲哀がとっても身にしみました。