2011.04.28

日経メディアルカデットの取材で留学の思い出を話した

日経メディカルカデットで「研究留学」の特集をするとのことで、取材を受けました。

あいかわらず、好き勝手なことをいいました。

10年前に比べて、研究留学する医師が減っているのは、

  • 国立大学の休職制度がなくなって、ポストの安定を求めて、留学しないという選択をする人が増えたこと。
  • 学位より専門医。研究より臨床。という選択肢を選ぶ人が増えたこと。
  • NIHのファンドが厳しくなったこと。

などが、影響しているのでしょう。

「そんな思いをして、研究留学する意味ってあるのでしょうか?」と聞かれたので、

研究で身を立てていく人は、行った方がよいことは間違いない。

そうでない人は、自分の価値判断で行けばよい。留学から帰ったら、もう、研究はやらないと決めて留学する人がいたっていいんじゃないでしょうか。

と、答えました。

「あなたにとって、研究留学はよかったのでしょうか」と、ずばり聞かれたので、

研究者としては、あまり成功とは言えない留学だったけれども、自分の人生には間違いなくプラスでした。

採点したら、60点か70点でしょうね。

と答えました。

そういえば、あまり、他人に話したことはなかったのですが、シアトルに決まる前に、留学先候補になっていたコロンビア大学のラボの話をしました。

私は、その当時、非常に興味をもっていた、AGE(Advanced glycated End product) receptorの研究をしていた、コロンビア大学のD研究室に留学したいと思っていました。手紙を書いたら、次の日くらいに、受け入れOK。お金も払うよと言うFAXが届いて、あまりに、すんなり決まったことに拍子抜けしていました。

しかし、D研究室は、思っていたより大きなラボで、私が割り当てられることになっていた中ボスの評判があんまり芳しくないことを知りました。1998年9月にはニューヨークに行くつもりで、すっかり有頂天になっていましたが、さすがに心配になってきたので、留学予定の4ヶ月前に、やはり、見学行こうと思って、ニューヨークを訪問しました。

中ボスと半日かけて話し合ったのですが、結局、私の方からお断りしたいと申し出ました。と、書けば、大人の対応のように思いますが、実際には、ほとんど英語でどなりあいのような感じの話し合いでした。

そのラボの別のグループにいた日本人の方2人にずいぶんよくしていただきました。その夜に、スタッテンアイランド行きのフェリーのデッキから見たニューヨークの夜景、忘れることはできません。

ホテルに戻り、声を出して泣いたのは、人生、あとにも先にもその時だけでした。

2011.04.26

日本医書出版協会で電子書籍の講演をした

日本医書出版協会で「電子書籍」について話して欲しいという依頼があったのが、1月。しかも、聴衆は医学出版社の専門家の方々。基本的には頼まれた講演は断らないことにしているので、これも、電子書籍を知るいい機会だと思っていましたが、さすがに、心配になってきたので、しっかり準備をすることにしました。

まず、講演に向けておこなったのは、

ブレインストーミング

出版界の方2人にお願いして、食事をとりながら、2時間話しまくって、講演の骨格を作りました。

そのあと、客観的なデータを見ながら、自分の仮説が間違っていないことを確認するために、以下の5冊をはじめとした、たくさんの資料を読み込むのに約1ヶ月。さらに、自分の大学の図書館の方に数回のレクチャーを受けました。

ひとりブレインストーミングには、最近手に入れた、ローディアのdot padのNo. 38が大活躍。

今日は、本当に満員で、しかも、ほとんどすべての医学出版社の偉い方ばかりでびっくりしましたが、自分のペースで話すことができました。よく考えてみれば、素人が専門家に向かって歯にものきせず、えらそうにしゃべっているのですからおそろしいです。でも、みなさん、喜んでいただけたようでよかったです。

まったくの新しい分野だと、1時間話すのに、100時間くらい準備が必要ですね。とりあえず、現在は、電子出版をよく知る人と論議をしても、負けない自信があります。

「出版大崩壊 (文春新書)」

著者:山田 順、出版社:文藝春秋 (2011-03-17)、ASIN:4166607987【amazon.co.jp

今、電子出版をめぐる状況を把握したいのであれば、ベストの一冊。帯には、「禁断の書」などと書いてあるが、決してセンセーショナルな本ではなく、長年、出版社の編集長を務め、その後、実際に、電子出版の会社を立ち上げようとした(しかし、現実的にペイしないということがわかりペンディングした)ということから、冷静に、日本における電子出版事情を解説しています。

日本では、まだまだ電子出版は普及していない(唯一、普及しているのは、携帯エロ小説というのが意外)が、今後、本が減って、電子出版に移行する流れには逆らえないということ。そして、その流れは、出版社だけでなくて、文筆業を生業とする人にも強いダメージを与えること。悲観的な予想で結んでいます。


「電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)」

著者:佐々木 俊尚、出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010-04-15)、ASIN:4887598084【amazon.co.jp

佐々木氏の非常に緻密な解説。基本的には、佐々木氏は、電子書籍バンザイ。どんどん進めるべきという考えです。しかし、佐々木氏が描く電子書籍の世界は、アメリカでは、1年、2年のうちにやってくるでしょうが、日本にやってくるにはまだ時間がかかると思います。理論的には、電子書籍バンザイ。でも、さまざまな権利関係で、日本ではそううまくいかないでしょうね。


「電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)」

著者:歌田 明弘、出版社:筑摩書房 (2010-10-07)、ASIN:4480065768【amazon.co.jp

この本もバランスが取れていてよかったです。特に、Googleの狙う、すべての書籍をデジタル化するプロジェクトの話が詳しくてよかったです。


「電子書籍元年 iPad&キンドルで本と出版業界は激変するか?」

著者:田代真人、出版社:インプレスジャパン (2010-05-21)、ASIN:4844328700【amazon.co.jp

この本もよい本だと思いますが、上記の3冊を読むうちに、電子書籍業界に詳しくなってしまって、ほとんど、知っていることばかりになってしまいました。


「我、電子書籍の抵抗勢力たらんと欲す」

著者:中西 秀彦、出版社:印刷学会出版部 (2010-07)、ASIN:4870852004【amazon.co.jp

印刷業界紙のエッセイをまとめた一冊で、電子書籍の話は、はじめの数個のエッセイで触れられています。印刷会社の方が、電子出版において、著者と電子出版プラットフォームを結びつける立場として適任という指摘。なるほどと思いました。


2011.04.20

本の紹介「工学部ヒラノ教授」

「工学部ヒラノ教授」

著者:今野 浩、出版社:新潮社 (2011-01)、ASIN:4103147628【amazon.co.jp

案の定、「私を離さないで」は、なかなかページが進まず、一緒に読み始めた本書が予想外におもしろく、一気に読み切ってしまいました。

小説の体裁を取っていますが、実は、登場人物はほとんど実名で登場しますし、著者が歩んだ筑波大学→東工大→中央大という舞台はそのままです。ある意味、内情暴露本なのですが、著者の軽妙な語り口でまったく嫌みがありません。大学でおこっていることは小説よりはるかにおもしろいと言うことでしょう。

初めて知る、工学部の内情。

工学部ヒラノ教授の役得は、「1に好きな研究ができること。2に若くて優秀な学生とともに過ごせること。3に好きなときに海外出張できること」だそうです。

そして、工学部の教えは、

第一条 決められた時間に遅れないこと
第二条 一流の専門家になって、仲間たちの信頼を勝ち取るべく努力すること
第三条 専門以外のことには、軽々に口出ししないこと
第四条 仲間から頼まれたことは、(特別な理由がない限り)断らないこと
第五条 他人の話は最後まで聞くこと
第六条 学生や仲間をけなさないこと
第七条 拙速を旨とすべきこと

だそうです。

私も、今年から医者より、研究者より、教員である時間が長くなり、ヒラノ先生の悲哀がとっても身にしみました。


2011.04.18

カズオイシグロ

私は、半年前まで、カズオイシグロのことを知りませんでした。半年くらい前に、名前だけ知ったのですが、なぜ、カタカナ?そういうレベルでした。

日曜日の夜にNHKでカズオイシグロの番組をやっていましたた。ETV特集「カスオイシグロをさがして」という番組です。

その中の福岡センセイとカズオイシグロの対談がまったくもって退屈。このインタビューが番組全体のリズムを崩していて、残念ながら、この番組を見ていても、カズオイシグロが、どうして、そこまで人気がある作家なのかまったくわかりませんでした。

しょうがないから、まずは、一冊買って読むしかないなと思い、「私を離さないで」を丸善で購入しました。AMAZONには、まったく在庫がありませんでした。

私は、英語の小説(もちろん翻訳しているもの)を読むのがきわめて苦手なので、読了確率10%以下ですが、読み終わった暁には、また、紹介したいと思っています。

2011.04.15

本の紹介「モモ」ミヒャエル・エンデ

「モモ (岩波少年文庫(127))」

著者:ミヒャエル・エンデ、出版社:岩波書店 (2005-06-16)、ASIN:4001141272【amazon.co.jp

子供向けに書かれた小説ですが、大人が読んでも楽しめる小説です。

イタリア・ローマを思わせるとある街に現れた「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちによって人々から時間が盗まれてしまい、皆の心から余裕が消えてしまう。しかし貧しくとも友人の話に耳を傾け、その人自身をとりもどさせてくれる不思議な力を持つ少女モモが、冒険のなかで奪われた時間を取り戻すというストーリー。

時間に追われ、ものの本質、余裕を持つことを忘れてしまった、現代人への警鐘を鳴らした一冊。

スリリングなストーリー展開で、あっという間に読み終えることができました。岩波少年文庫は、本当に、よい作品が多い。


「エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)」

著者:河邑 厚徳、出版社:講談社 (2011-03-22)、ASIN:4062814196【amazon.co.jp

「モモ」「はてしない物語」などで知られるファンタジー作家ミヒャエル・エンデが日本人への遺言として残した一本のテープ。これを元に制作されたドキュメンタリー番組(1999年、NHK放送「アインシュタイン・ロマン」)から生まれたベストセラー書籍。


2011.04.14

アユールチェア

最近、背中の痛みや、足の痛みなど、体のバランスがくずれているような気がしています。

私は、椅子フェチで、自宅でも職場でも、結構たくさんの椅子を使ってきました。今回は、Shiologyで紹介されていたアユールチェアを買うことにしました。

このアユールチェアは今までの椅子とかなり違います。一言で言えば、座り心地がよくないということ。そして、その座り心地の悪さは意図されているということ。

座面が後傾しているので、自然と椅子の一番後ろに座ることになり、背筋がピンと伸びます。座面が2つに割れていて、足を開いて、まさに、またがるように座ります。

けっしてゆったりと座れる椅子ではありません。30分くらいで座骨が痛くなってきます。

そう、アユールチェアは、座位姿勢の矯正椅子なのであります。

手前がアユールチェア、奥が、いつも使っているBaron。一日のうち、1/3くらいは、アユールチェアに座るようにしています。確かに、座る姿勢がよくなったような。

2011.04.11

積ん読本2011年3月

ほとんどの研究会、会議、夜の予定がキャンセルされ上、一冊目が脱稿できたので、ゆっくり本を読む時間が取れるようになりました。3月の積ん読本、紹介し忘れていたので、取り急ぎ。すでに、読み終わったものも多いのですが、、、。

「枠からはみ出す仕事術」

著者:美崎 栄一郎、出版社:サンマーク出版 (2011-03-14)、ASIN:4763131400【amazon.co.jp

著者の美崎栄一郎さんは、花王で、数々のプロジェクトに携わるかたわら、社外の活動で、築地朝食会などの人気勉強会を主催する「スーパーサラリーマン」です。やる気と成果を最大にする26のスイッチを紹介した本です。

会社の枠だけに収まらずに、少しだけ、はみ出す。その極意を紹介した本です。


「「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」

著者:美崎 栄一郎、出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション (2009-09-11)、ASIN:4901491938【amazon.co.jp

枠からはみ出す仕事術」を読んで、すっかり美崎栄一郎さんのことが気に入ったので、美崎さんの一番売れた、この本を購入しました。ノートを中心にしたライフハック本です。この本は、自分のライフハックを考え直す上で、たくさんの示唆を与えてくれました。でも、私は、このようなノートの使い方はできません。ルールを考えて、ノートを使い分けるなんて事はできません。私のノート術は、すべてをモレスキンに書くことと、それ以外に一切ルールを設けないことです。


「「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 実践編 」

著者:美崎 栄一郎、出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション (2010-06-25)、ASIN:4904899016【amazon.co.jp

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」の続編。いろんな方が、どんなノート術を使っているを紹介。私は、前著よりこっちの方が、読んでいて楽しかったです。でも、私のノートのルール(ノートの使い方にルールを一切設けない)は変わりません。


「[書類・手帳・ノート・ノマド]の文具術 楽しんで仕事の効率をあげる!」

著者:美崎 栄一郎、出版社:ダイヤモンド社 (2011-01-28)、ASIN:4478013144【amazon.co.jp

これも美崎さんの本。文具フェチの私にとっては、とても楽しい一冊でした。役に立つ文具、デザインのよい文具を紹介すると同時に、それをどうやって使いこなすか。たくさんのアイデアの詰まった一冊です。


「麒麟の翼 (特別書き下ろし)」

著者:東野 圭吾、出版社:講談社 (2011-03-03)、ASIN:4062168065【amazon.co.jp

本の帯には、加賀恭一郎の最高傑作とある。買いたいけれど、今は読む時間がない。文庫本になるのを待つか、、、。


「バムとケロのもりのこや」

著者:島田 ゆか、出版社:文溪堂 (2011-01)、ASIN:4894237075【amazon.co.jp

バムケロシリーズは、私が一番好きな絵本の最新シリーズ(2006年9月7日のブログ参照)。島田ゆかさんは、寡作なので、新しい本が出るのが、本当に待ち遠しいのですが、待っただけの価値のある本です。


「After the Quake: Stories (Vintage International)」

著者:Haruki Murakami、出版社:Vintage (2003-05-13)、ASIN:0375713271【amazon.co.jp

神の子どもたちはみな踊る」の英訳本。


2011.04.08

リコーのサービスセンターが素敵な件

GR Digitalは、本当に好きなカメラです。毎日、どこに行くのにももっていきます。

GR Digitalは1→2→3と買い続けてきました。途中、いろいろ浮気もしてみました(XZ-1とか)が、やはり最後には、GR Digitalに戻ってきました。

GR Digitalの一番の魅力は何なのか?最近、自分で感じているのは、失敗率がきわめて低いカメラだということです。ブレが少ない、AF合致が早い、高感度に強い、モニターが精細で正確、レンズが明るい。そういうことなのでしょう。こういった魅力は、客観的な数値として示すのは難しいのです。

私自身、GR Digitalを買う前に、気になったのは、28mm単焦点ということ。しかし、しばらくGR Digitalを使っていると、これこそが、GR Digitalの魅力であることに気づきました。

だから、画素数とか、高倍率ズームだとか、そういった数字に踊らされてカメラを買っている方、是非、GR Digitalを使ってみて下さい。今年の夏には、GR Digital 4が出るという噂もありますが、Amazonでも4万円を切るようになってきました。

私は、ケースに入れるのが嫌いで、いつも裸のまま、鞄に放り込んでいるせいもあって、いつの間にか、リングキャップがなくなり、グリップラバーがはがれてしまいました。

これをきっかけに、前から気になっていたカスタム化(H.L.C倶楽部で、ラバーを赤い革で張り替える)を、やってしまおうかと思ったのですが、2万円以上するらしく、やっぱり、修理するしかないなと思っていました。

たまたま、銀座を通ったので、修理費用だけでも聞いてみようと思って、リコーのサービスセンターに立ち寄ってみました。

リコーのサービスセンター、とっても感じがよかったです。きちんと修理をして、長く使って下さいというメッセージが伝わってきました。修理代金もリーズナブル(ラバーの修理は1470円、リングキャップは1050円)。なかなか、銀座まで取りに来れないと思っていたら、無料で宅配してくれるとのこと。

以前、ニコンのサービスセンターでも、このような気持ちよさを感じました。アップルのジーニアスバーも、いつ行っても気持ちよいですね。

プロダクツに誇りがある。プロダクツを長く使って欲しいという会社のプロダクツを使っていきたいと思います。

2011.04.07

上を向いて歩こう

久しぶりに、銀座を歩いた。やはり、街を歩く人は少ない。照明が落とされ、店内も薄暗い。開店時間を遅らせ、閉店時間を早める店が多い。

最近、よく、坂本九の「BEST 9!」を聞いている。

ツイッター上で、サントリーのCM「上を向いて歩こう」が話題になった。

総勢71名が歌っている。たくさんのバージョンが、サントリーのサイトにある。

さとなおさんが紹介してくれたメッセージビデオ「Rise Again, Japan!」も胸が熱くなるビデオ。

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