2010年を振り返って
私は、今年2月に、大きな転換点を迎えました。
19年間続けていた内科を辞め、教育専任の部署に移りました。もちろん、この異動は私が望んだものであり、2009年には、その決断をするために、悩みに悩みました。
働く場所が変わったわけでもないのだから、たいした違いはないのではないと言われることもあります。でも、所属大学が変わるより、キャリアパスという点では、大きな変化なのです。なぜなら、自分の目指すものが180度変わり、今まで、私が19年蓄積していた腎臓内科の研究業績はほとんど利用価値がなくなってしまうわけですから。そういう意味では、2010年は、私にとって、忘れがたい年になると思います。
医学教育は大変ですが、きっと私の天職だと思うくらい、やりがいのある仕事です。
さて、今年の目標は「種をまき、基礎力を付けたい」ということでした。種をまかずに長年刈り入れを続けてきたために、近年蓄えが減ってきたことを感じることが多くなり、この目標を掲げました。基礎体力とは、英語力とか、知識の蓄えとか、のことです。
そんな目標を立てたものの、2月に自分のキャリアが大きく変わることになって、少し、軌道修正が必要になりました。とにかく、1年間は、何でも見て聞いて眺めてみよう。そして、1年経ったら、その中で、自分がやるべきことにフォーカスしていけばよいと考えました。
長期のワークショップにも3つ参加し、医学教育の勉強ができる機会にはできる限り足を運びました。学内の委員に推薦されてもできるだけ断らないで引き受けました。数えてみたら、自分が委員になっている委員会は20を超えていました。
そんな中で、書籍の執筆を2冊(これは、まだできあがっていない)、共著を1冊(これは、めでたく出版されました)引き受け、さらに、腎臓学会の役員を引き受け、共用試験機構の委員も引き受けました。基礎体力をつけるどころか、1日1日を過ごすのに精一杯になり、時間のコントロールは自分ではできなくなり、途中から、コントロールすることもあきらめました。目の前のもの、組まれたスケジュールに、そのまま身を任せることにしたのです。
まぁ、こんな一年があってもいいのでしょう。
さて、こんな感じで、慌ただしかった一年でしたが、私にとって、2010年がどんな年だったか?清水寺では、毎年1年を1文字で表すということがおこなわれています。今年の一文字は「暑」でした。清水寺でのイベントのまねをさせていただいて、今年1年を、漢字一文字で表してみたいと思います。
「芽」です。
一歩前に出ることによって、たくさんの経験を自分の中に蓄えることができました。その力は、少しずつですが、芽を出しつつあります。
今年、1年間、お読み下さりありがとうございました。
皆様、よいお年をお迎え下さい。