リーダーシップ
内田樹先生のリーダーシップ論を読んで、なるほどと感心する。
子どもは、できるだけ快適な感覚入力だけしかない、低刺激環境で育てる方がいい、というのは私の経験則である。
たしかにそうやって育てると「ぼや~っとした」子どもにはなるだろうけれど、危機回避能力は身に着く。
そういう人は無意識のうちに「もっともリスクの少ない道」を過たず選択するので、人々はしだいに「この人についてゆけば安心」ということを学習する。
戦場におけるもっとも信頼される指揮官は「銃弾が当たらない人」である。その人のあとにぴったりついてゆけば、弾も飛んでこないし、地雷も踏まないし、道に迷って敵軍のど真ん中に出ることもない。そういうことが経験的に知られている将校のあとに、兵士たちはかたまってついてゆくようになる。その一挙手一投足を注視するようになる。
それがその語の本当の意味での「リーダーシップ」であると私は思う。
なるほど、いつの間にか、この人についていけばうまく行くはずだと思わせてしまうようなものが、リーダーシップというわけですね。
逆に言うと、そういうリーダーシップは子供の時から養われているわけで、リーダーシップ論みたいなものを勉強して、それを涵養するということはできないということですね。
ちまたにあふれるリーダーシップというのを聞くと、いつも、暑苦しく感じていた私にとっては、痛快なリーダーシップ論でした。