本の紹介「猫を抱いて象と泳ぐ」

「猫を抱いて象と泳ぐ」

著者:小川 洋子、出版社:文藝春秋 (2009-01-09)、ASIN:4163277501【amazon.co.jp】【bk1

私は、世間的に見れば、そこそこ本が好きな類の人間だとは思うのですが、得意分野が非常に狭く、基本的にミステリーとノンフィクションしか読みません。ファンタジーは、かなりの苦手分野です。この本、帯を見て、ノンフィクションなのかと思ったのです。

数ページ読んで、間違いなくファンタジーだと確信して、1ヶ月くらいほったらかしにしておいたのですが、急に、読みたくなって、一気に完読してしまいました。ファンタジーの世界観に自分がはまりこむまでに1ヶ月の時間が必要だったようです。

「猫を抱いて象と泳ぐ」は、チェスを題材した小説で、主人公の少年が、ロシアのチェスの名手、アリョーヒンを模したチェス人形の中に入って、リトル・アリョーヒンとして働きます。「博士の愛した数式」を書かれた小川洋子さんの小川ワールドそのものなのでしょう。静かで、詩的で、美しくも、悲しい物語でした。私は、ほとんどチェスを知りませんが、十分楽しめました。でも、チェスを知っていたらもっと楽しめたことでしょう。小説の中で進行していく棋譜は、盤上の詩人と呼ばれたアレキサンドリア・アリョーヒンの棋譜そのものを使っているらしいです。


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