本の紹介「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」

構想1年、書き始めてから1年かかった、私の4冊目の本が出版されましたので、紹介させていただきます。

「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」

編著:門川 俊明、著:秋月 由紀、出版社:羊土社 (2008-10)、ASIN:4758108129【amazon.co.jp】【bk1】【本書の特設サイト

私が、本格的に、Illustratorを使うようになったのは、2003年にポスター発表で、一枚刷りポスターを作りたいと意を決したときでした。一枚刷りポスター作成にはIllustratorがよいということはわかっても、その作り方を書いている本もなければ、Webサイトの情報もほとんどない状態でした。DTP(Desktop Publishing)の知識がまったくなく、「えっ、トンボって何ですか」というレベルの私が、Illustratorで1枚刷りポスターを作り、出力センターで打ち出すのは、かなり大変でした。その当時は、日本の研究者で一枚刷りポスターを作っている人は少数でしたので、自分がポスターを作ったときの作業工程をwebサイトに書いたら、ずいぶん反響がありました。

最近では、論文投稿時のFigure作成の際に、出版社側から、解像度やファイル形式についてかなり厳しい注文がつくようになりました。以前は私もPowerPointでFigureを作っていたのですが、最近では、Illustratorで作るようになりました。

Illustratorはページ数の少ない印刷物作成にもっとも使われているソフトであり、ポスター作成、論文のFigure作りなどの必要性が高まっていることを考えると、PowerPoint、Photoshop、MS Word、MS Excelなどと並んで医学・バイオ研究者がマスターしなければいけないソフトウェアになってきていると感じます。しかし、研究者向けのIllustratorに関する情報というのは思いのほか少なく、多くの研究者が手探りで進めている状態だと思います。

2006年の秋から冬にかけて、この本の共著者である秋月さんが、実験医学誌上で「研究者のためのイラスト実践講座」という連載を全5回でおこないました。Illustratorをつかって、バイオ関係のイラストを描くという趣旨の連載でしたが、とても好評で、私もずいぶんと参考にさせていただきました。少し複雑な図形、医学・バイオの領域で言うと、実験動物、臓器のイラストなどはPowerPointでは役不足ですから、この方面でもIllustratorは必須です。

秋月さんの「研究者のためのイラスト実践講座」の連載記事をベースにしたIllustratorを使ったイラストの描き方と、私が以前から考えていた、Illustratorを使った一枚刷りポスターや論文FIgureの作成法を中心にして、研究者向けのIllustrator本を書けば、きっと多くの医学・バイオ研究者向けの有用な本ができるのではないかと考えたのが、この本の成り立ちです。

私はIllustratorマニアでもなく、Illustratorに関していえば、むしろ初心者~中級者程度の熟練度です。この本の作成には秋月さん、羊土社編集部の方々の大きな助けを借りています。したがって、この本自体、Illustratorに関してはまったく初めての方でも読み進められるようにしてあります。

この本を通して、
・ちょっと複雑なイラストを作りたい。
・1枚刷りのポスターを作りたい。
・投稿論文のFigure作りで苦労したくない。
といった研究者の方々の要望に少しでもお応えできればと考えた一冊です。

【目次】

基本編 Illustrator の基礎知識
1)医学・バイオ研究者に役立つIllustratorの使い方【門川俊明】
2)Illustratorとは【秋月由紀】
3)Illustratorのメリット【秋月由紀】
4)Illustratorの描画のしくみ【秋月由紀】
5)さあ,Illustratorを使おう【秋月由紀】
実践編 身近な題材をもとにイラスト作成に挑戦【秋月由紀】
1)細胞を描く
2)受容体を描く
3)シグナル伝達を描く
4)DNAを描く
5)オルガネラを描く
6)実験器具を描く
7)マウスを描く
8)臓器を描く
応用編 学会発表・論文作成への活用【門川俊明】
1)1枚刷りポスターに挑戦
2)論文のFigureを作成する
3)Illustratorで作ったイラストをPowerPointで利用する
4)申請書をIllustratorで作る
付 録【秋月由紀】
1)これだけはマスターしたい 10の基本ツール
2)これだけはマスターしたい 10の基本操作
3)トラブルシューティング


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