2008.10.27

「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」の舞台裏

拙著「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」の実物が、ようやく私の手元にも届きました。今回は、本書にまつわる裏話を一つ。

この本は、もともと、私が書きたいと思って企画したわけではありません。羊土社の方とは、前著のときからおつきあいがあり、どんな企画の本があったらいいのかということを、不定期に、無責任にお話をしていました。ある日、実験医学誌上の「研究者のためのイラスト実践講座」という秋月さんの連載の話になって、そのときに、こういうのが一冊の本になるといいですよね。ついでに、一枚刷りのポスターの話とか載せたら受けますよって話になりました。編集部の方が、どなたか、書いてくれる人はいませんかね。なかなかいませんよね。という話から、いつの間にやら、「先生どうですか」ということになって、私はまったく無理ですとお断りしたのですが、ポスターの記事くらいならと、だんだん押し切られて、返事は次回と保留ということで、なんとか勘弁してもらいました。

私、Illustratorについて書くほど、Illustratorについて詳しくない初心者だし、時間的にも無理なので、本当に断ろうと思ったんですよ。本当に。でも、意志が弱いって言うか、断りきれず、最終的に引き受けることになってしまいました。

当初の締め切りからだいぶ過ぎていたのですが、最後の締め切りに追われていた頃に、あ~、このことは書いておこうと思って書いた記事が、「学びたければ、他人に教えろ」なのです。

ということで、私が学んだ程度の内容の本なので、お勧めするのも恐縮しているのですが、今、こうやって手に取ってみると、なかなか、よくできた本だなと。

Illustratorを使った、複雑なイラスト(動物、臓器)の描き方、一枚刷り大判ポスターの作り方、論文Figureの使い方といった、多くの人が知りたいと思われるポイントが過不足なくまとまっていると思います。特に、12月の日本分子生物学会年会・日本生化学会大会 合同大会(BMB2008)で一枚刷りのポスターを作ろうという方なんかには最適かと。

ところで、私としては、Amazonで買っていただくのがうれしいので、Amazonの在庫状況を見ているのですが、発売日の10月24日にデータベースに載ったものの、「予約」扱い。しかも、著者に私の名前が入っていない、、、。Amazonに連絡して、著者名が間違っていると報告(1日で訂正されました)。

10月25日に「この商品は現在取り扱いできません」となり、夕方に一瞬、在庫2冊の表示が出るものの、一瞬で売れてしまったらしく、その後、「この商品は現在取り扱いできません」に戻ってしまいました。

10月27日には、「在庫切れ」に表示が変わったものの、夜には「通常3~5週間以内に発送します」に。

なんだかなという感じですが、おそらく、数日でAmazonに在庫されると思いますので、今しばらくお待ち下さいませ。

2008.10.24

本の紹介「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」

構想1年、書き始めてから1年かかった、私の4冊目の本が出版されましたので、紹介させていただきます。

「Illustratorのやさしい使い方から論文・学会発表まで」

編著:門川 俊明、著:秋月 由紀、出版社:羊土社 (2008-10)、ASIN:4758108129【amazon.co.jp】【bk1】【本書の特設サイト

私が、本格的に、Illustratorを使うようになったのは、2003年にポスター発表で、一枚刷りポスターを作りたいと意を決したときでした。一枚刷りポスター作成にはIllustratorがよいということはわかっても、その作り方を書いている本もなければ、Webサイトの情報もほとんどない状態でした。DTP(Desktop Publishing)の知識がまったくなく、「えっ、トンボって何ですか」というレベルの私が、Illustratorで1枚刷りポスターを作り、出力センターで打ち出すのは、かなり大変でした。その当時は、日本の研究者で一枚刷りポスターを作っている人は少数でしたので、自分がポスターを作ったときの作業工程をwebサイトに書いたら、ずいぶん反響がありました。

最近では、論文投稿時のFigure作成の際に、出版社側から、解像度やファイル形式についてかなり厳しい注文がつくようになりました。以前は私もPowerPointでFigureを作っていたのですが、最近では、Illustratorで作るようになりました。

Illustratorはページ数の少ない印刷物作成にもっとも使われているソフトであり、ポスター作成、論文のFigure作りなどの必要性が高まっていることを考えると、PowerPoint、Photoshop、MS Word、MS Excelなどと並んで医学・バイオ研究者がマスターしなければいけないソフトウェアになってきていると感じます。しかし、研究者向けのIllustratorに関する情報というのは思いのほか少なく、多くの研究者が手探りで進めている状態だと思います。

2006年の秋から冬にかけて、この本の共著者である秋月さんが、実験医学誌上で「研究者のためのイラスト実践講座」という連載を全5回でおこないました。Illustratorをつかって、バイオ関係のイラストを描くという趣旨の連載でしたが、とても好評で、私もずいぶんと参考にさせていただきました。少し複雑な図形、医学・バイオの領域で言うと、実験動物、臓器のイラストなどはPowerPointでは役不足ですから、この方面でもIllustratorは必須です。

秋月さんの「研究者のためのイラスト実践講座」の連載記事をベースにしたIllustratorを使ったイラストの描き方と、私が以前から考えていた、Illustratorを使った一枚刷りポスターや論文FIgureの作成法を中心にして、研究者向けのIllustrator本を書けば、きっと多くの医学・バイオ研究者向けの有用な本ができるのではないかと考えたのが、この本の成り立ちです。

私はIllustratorマニアでもなく、Illustratorに関していえば、むしろ初心者~中級者程度の熟練度です。この本の作成には秋月さん、羊土社編集部の方々の大きな助けを借りています。したがって、この本自体、Illustratorに関してはまったく初めての方でも読み進められるようにしてあります。

この本を通して、
・ちょっと複雑なイラストを作りたい。
・1枚刷りのポスターを作りたい。
・投稿論文のFigure作りで苦労したくない。
といった研究者の方々の要望に少しでもお応えできればと考えた一冊です。

【目次】

基本編 Illustrator の基礎知識
1)医学・バイオ研究者に役立つIllustratorの使い方【門川俊明】
2)Illustratorとは【秋月由紀】
3)Illustratorのメリット【秋月由紀】
4)Illustratorの描画のしくみ【秋月由紀】
5)さあ,Illustratorを使おう【秋月由紀】
実践編 身近な題材をもとにイラスト作成に挑戦【秋月由紀】
1)細胞を描く
2)受容体を描く
3)シグナル伝達を描く
4)DNAを描く
5)オルガネラを描く
6)実験器具を描く
7)マウスを描く
8)臓器を描く
応用編 学会発表・論文作成への活用【門川俊明】
1)1枚刷りポスターに挑戦
2)論文のFigureを作成する
3)Illustratorで作ったイラストをPowerPointで利用する
4)申請書をIllustratorで作る
付 録【秋月由紀】
1)これだけはマスターしたい 10の基本ツール
2)これだけはマスターしたい 10の基本操作
3)トラブルシューティング


2008.10.16

はじめてデジタル一眼を買った人への10のアドバイス

最近、まわりでデジタル一眼を買う人が増えていて、せっかく買ったのだけれど、設定がたくさんあるだけで、コンパクトデジカメとの違いが出せないと相談されることがあります。

私も他人に写真のことを教えられるような技術は持っていないのですが、自分なりに気をつけているポイントがあります。最近出版された「デジタル一眼上達講座」田中希美男著を読んでみたら、それがかなりかぶっているので、まんざら、我流というわけでもないのだなと思った次第です。

「デジタル一眼上達講座」を参考にしつつ、デジタル一眼をはじめて買った人への10のアドバイスを列挙してみます。

ISO感度を積極的に変更しよう

フィルム時代にはISO感度を1枚ずつ変えると言うことは出来ませんでしたが、ISO感度を自由に変えられるのがデジタルカメラの最大の長所。ISO 800くらい(カメラによってもっと高感度でもOK)まで、あげることで、とにかく、一定以上のシャッタースピードをかせぎましょう。初心者で一番多い失敗が、手ぶれです。1/125以上を確保すれば、まず手ぶれは起きません(それでも、被写体ぶれは防げません)。カメラによっては、オートISOという設定もあり、最大ISOを設定して、シャッタースピードが遅くならない程度にISO感度を自由に設定してくれるモードもあります。

ホワイトバランスはとりあえずオートでいいです

夕焼けの時など、特定の状況をのぞけば、基本的にはオートでいいでしょう。夕焼けはDaylightモードが夕焼けらしさを引き出せます。RAWであれば、あとで、ホワイトバランスを自由に変更可能です。

モードはオートモードではなく、プログラモードを使う。

オートモードの場合は、露出が足りないときには、勝手にストロボが光ってしまいます。プログラムモードを基本にしましょう。プログラムモードの場合で、ストロボを使わなければ、暗いところでは、シャッタースピードが遅くなってしまいます。ISO感度を上げることでシャッタースピードを上げて、手ぶれを防ぎます。被写界深度を気にするなら、AFモード、シャッタースピードを気にするなら、Sモードを使いますが、デジタル一眼には、プログラムシフトという機能が付いていますので、プログラムモードで、ある程度、絞りの設定、シャッタースピードの設定を決めることが出来ます。

背景をぼかしたければ、より望遠にして、絞りをあける。

これだけ教えただけで非常に喜ばれるのです。背景をぼやけさせたければ、できるだけ望遠にし、絞りを開けます。

ピント設定は、中央1点のスポットAFにする。

フォーカスは中央1点で合わせます。構図として、ピントのあった部分を中央から外す場合は、一旦、中央でフォーカスを取って、半押しのままで構図を作り直します。私は、ピントエリアを移動することをよくします。

シャッターの半押しをマスターする

カメラになれていない人は、半押しにせずにそのままシャッターを押し込んでしまいます。半押しでフォーカスが合ったのを確認してから、シャッターを切る習慣をつけましょう。

画質モードはJPEG、FINEにする

結婚式などの失敗が許されない場所では、保証のためにRAW+JPEGで撮りますが、通常は、JPEGにしています。

測光モードはマルチパターン

スポット測光は普通使いません。

露出補正は結構重要

白いものはプラス補正で、黒いものはマイナス補正などの鉄則もありますが、なかなか、露出補正は難しいです。私は同じ場面で、-0.3, 0, +0.3、または、-0.7, 0, +0.7の3つくらい振って撮ることをおすすめします。オートブランケットを使ってもいいでしょう。

ストロボは結構難しい

私は、ストロボの不自然感がいやなので、基本的に、ストロボは使いませんが、外付けストロボを使うときはバウンスやディフューザーを使って、なるべく影を柔らかくします。夜景シンクロ、日中シンクロは上手に使うと、使い出があります。

 

「カラー版 基本がわかる!写真がうまくなる!「デジタル一眼」上達講座 (アスキー新書 75) (アスキー新書 75)」

著者:田中 希美男、出版社:アスキー・メディアワークス (2008-08-08)、ASIN:4048672886【amazon.co.jp】【bk1】【目次】

上記の私の意見とだいたい一致していますが、さすが、第一人者説得力があります。安い本ですし、デジタル一眼を持ったばかりの人に最適。


2008.10.07

音楽の紹介「Expressions」竹内まりや

「Expressions」

竹内まりや、2008-10-01、ASIN:B001DAIMZ6【amazon.co.jp

竹内まりやの人気投票上位と竹内まりや本人によって、レーベルをこえて選び抜かれた42曲のコンプリートベスト。

竹内まりやのCDはすべて持っているので、買う必然性はないのですが、このセレクション、全曲リマスタリングされているとのことで買ってもいいかな。そして、最後の一押しになったのが、竹内まりや本人による全42曲の曲目解説付きのブックレット付きでした。

25年の軌跡を通して聞くと、竹内まりやの偉大さが実感できます。


2008.10.05

Google 2001 Search

更新が1ヶ月半もあいてしまいました。一度更新しなくなると、なかなか、書きにくくなるものです。特に、最近は頚椎ヘルニアの状態が悪く、長い文章のタイピングができません。

さて、今日の話題はGoogle 2001 Search です。Google 2001 Searchは、Google社が創立10周年を記念して、2001年1月時点でのインデックスに基づいた検索が行える検索エンジンです。

Google 2001 Searchで検索すると、2001年当時の検索を再現してくれます。

研究留学ネットも、開始してから9年半という、私自身思いも寄らなかったほど長寿サイトになりました。Googleとだいたい同じ歴史と言えば、その長寿ぶりがご理解いただけるでしょう。

Google 2001 Searchで「研究留学ネット」で検索し、「 View old version on the Internet Archive」をクリックしていただければ、研究留学ネットの2001年当時の姿を見ることが出来ます。今とは随分違っていますね。

Wayback Machineというのがあって、過去のページをアーカイブしています。こちらもなかなか興味深いのですが、Google 2001 Searchでは、Wayback Machineのページを使っているようですね。

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