医学・バイオ系の学術論文でFigureの投稿規定

秋の刊行を目指して執筆していた原稿も無事、脱稿できましたが、その際、医学・バイオ系の学術論文でFigureの投稿規定がどのようになっているのか、いろいろ調べてみました。なかなかおもしろかったので、一部を紹介しておきたいと思います。

医学・バイオ系の学術誌は、印刷媒体からオンライン版へ焦点が移っている時期であり、Figureに関する論文投稿規定はJournalによって、かなり違います。投稿規定を読まずにFigureを使って、いざ投稿の時に読んだら全部作り直しという可能性もあるので、投稿規定は、はじめに読んでおきましょう。

私が一番驚いたのは、画像のカラーモードについてです。従来、学術論文は印刷物として刊行するため、Figureに入れるカラー写真はCMYK形式で作るように指定されていました。私も、CMYK形式で作っていました。たしかに、今でも、CMYK形式を指定している雑誌が多いのですが、いくつかの雑誌では、あえてRGB形式で作るように指定しています。たとえば、Nature誌やJournal of Biological Chemistry誌など、オンライン版に力を入れている雑誌です。CMYK形式だとRGB形式より表現できる色が狭くなってしまい、特に、蛍光写真の鮮やかさはRGB形式でないと表現が難しいのです。オンライン版は、モニター上で読まれるわけですから、RGB形式の方が望ましいといえます。RGB形式を指定している雑誌は、オンライン版には、著者からのFigureをそのままのせて、印刷板の方は、出版社の方でCMYK形式に変換するようです。

さて、みなさんは、Figure、特に、1枚のパネルにグラフや写真やらを詰め込むようなFigureは、どんなソフトを使って作っているでしょうか?私自身3,4年前まではPowerPointで作っていましたが、その後、Illustratorに乗り換えました。今でもPowerPointで作っている方も多いと思いますが、投稿規定を読むと、「お願いだからPowerPointで作らないでくれ」と書いてある雑誌が多いです。

彼らが何で、PowerPointはアウトだと言っているのか、Journal of Biological Chemistry誌の投稿規定には、こんなことが書いてあります。

PowerPointでのFigureの作成は勧めない。その理由は

  1. 色の再現性に乏しく、スクリーンディスプレイ(RGB)を意図して作られており、印刷で使用するCMYKに対応していない。
  2. 画像の解像度をコントロールする機能がない。
  3. フォント管理機能が貧弱であり、他のコンピュータにファイルを持って行ったときに、フォントが入っていないと勝手に他のフォントで代用されてしまう。

確かに、カラー形式や画像の解像度を投稿規定に合わせて作るとなると、PowerPointでは荷が重いといえます。

あとFigureのファイル形式ですが、.TIFF、.EPSを指定している雑誌が多いですが、.JPGや.PDFを可としているところもあります。例外的なのはNature誌で、編集部がFigureのレイアウトを調整することを前提としているので、Illustrator形式(.ai)での投稿を推奨しています。こんなところも、雑誌のポリシーが出ていておもしろいですね。

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