で、iPod touchは実際にはどうなのか?1週間使ってみて
iPod touch 16GB MA627J/A を使い始めて1週間。私の場合、Macを母艦としていたので、Windowsな方々が直面したトラブル(現在は、解決されている)にも見舞われず、この1週間、iPod touchをメインのiPodとして使ってきた(iPod classicも買ったばかりなのにお休み)。店頭販売は今週末あたりからになるようだが、「iPod touchっていったいどうよ」と考えてみた。
PDAとしては使えない。
私は、当初、iPod touchをPDAとして使おうと考えていた。現在、私のスケジュールはすべてiCalで管理していて、iCalのデータを手元で編集するためのツールとして、Treo 700pを使っている。私自身にとってこれは究極とも言えるスタイルなのだが、Treo 700pではなく、アップルのデバイスでできれば、それはその方が楽しいし、うれしい。発表当初は、iPod touchのカレンダーは編集可能とアップルのサイトにも明記されていたが、「iPod touchが届いた」で書いたように、編集機能は削除されてしまった。こうなるとPDAとしては使えない。また、Palmのメモに相当するNotesというソフトはiPhoneにはインストールされているが、iPod touchにはついていない。どちらもソフトウェアアップデートで簡単に解決できる問題なので、是非、アップルに再考してもらいたい。
もし、将来アップルが考えを変えて、カレンダーの編集機能を付け、Notesを付ければPDAとして使えるわけだが、いかんせん、キーボードが使いにくい。あくまで、緊急避難的といった感じ。
デジタルミュージックプレイヤーとしてみた場合どうか?
ようするにアップルの意図はiPod touchはあくまでもiPodであり、iPhoneとはコンセプトが異なるということである。つまり、iPod touchはデジタルミュージックプレイヤーとして使え、というのがアップルのメッセージなのである。では、デジタルミュージックプレイヤーとしての実力はどうなのか?まず、ビデオの閲覧に関しては、画面の大きさ、美しさもあり、iPodシリーズの中でも最高のものだろう。一方、音楽の試聴に関してはどうか?iPod touchの売りの一つは新しく導入されたカバーフローである。カバーフローは、iPod touchのマルチタッチテクノロジーと組み合わさって、実に楽しい操作感であるが、カバーフローが入ったことにより、iPodの操作体系は非常に複雑になってしまっている。これまでのiPodの操作系は究極と言えるほどよくできていて、iPodを胸ポケットに入れたままで、思い通りに聴きたい曲を探し出せた。iPodなら1または2アクションでできることが、iPod touchだと4から5程度のアクションが必要になるといった具合である。
たとえば、音量を上げるためにどのくらいの操作が必要になるかというと、iPodの場合であれば、クリックホイールを回すだけだ。ロックされている場合は、ロックボタンをスライドしてロックを外すという操作も必要。それでも2アクションである。ポケットに入っていてもできる。
一方、iPod touchだと、「左上のボタンを押す(もしくは、ホームボタンを押す)」によって、画面をオンにする。次に、「画面上で指をスライドさせてロックを解除する」。この時点で垂直持ちであれば、「画面の下の方に音量調節バーが出ていて、音量を上げる」ことができる。以上3アクションである。もし、水平持ちだったりすると、画面には音量調節バーが出ないので、垂直持ちに切り替えて、音量調整バーを登場させて、音量を上げる。以上4アクションである。しかも、これらの操作はポケットに入ったままでは無理なので、画面を見ながらの操作となる。
一度音楽をかけ始めると、そのまま聞き続けるというのであれば、問題ないが、頻繁に曲を変えたりする人は結構イライラするかもしれない。
インターネットデバイスとしてはどうなのか?
メールはついていない。Safariを立ち上げて、Gmailでも使えばいいのだろうが、それなら携帯電話でやった方がよっぽどよい。Safariはこの大きさにしてはよくできていると思うが、実際問題、ネット環境がWi-Fiだけなので、結局は自宅か、無線LANのあるカフェでしか使えない。私自身ほとんど使うチャンスはない。アップルの意図としては、「スターバックスでWi-Fi経由でiTunes Music Store経由で曲を買う」ことに限定したインターネット環境なのだと思う。
以上、ややネガティブな意見を述べてきたが、さわっている分には楽しくて、おもちゃとしては最高である。全く新しい機種なので、今後の成長に期待する。できればアップデートという形で。