本の紹介「生物と無生物のあいだ」

「生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)」

福岡 伸一、講談社(2007/05/18)、価格:¥ 777(税込)、ASIN:4061498916 【amazon.co.jp】【bk1

本書を実際に購入するまでには長い時間がかかった。レビューでかなりの評判、それも、生物学を題材にとった書物としては例外的なくらいに売れているのを知っていたので、本屋によっては、何度も手に取り、パラパラとめくってみたが、なかなか購入には至らなかった。そもそも、わたくし、生物学を一般向けに書かれた本があまり好きではない。話を一般の人にも理解してもらうとなると、どうしても教科書のようになってしまう本が多いからである。

でも、平積みされているのを何回も見て、とうとう買ってしまった。

本書の構成は、ロックフェラー大学で活躍した野口英世、オズワルド・エイブリー、ワトソン、クリックのDNA二重らせんの発見に至る研究史、著者自身のGR2狩人としての研究史、それらが「生物と無生物を分けているものは何か」という命題に絡み合いながらストーリーが進んでいく。生物学者とは思えぬ、文章の上手さ、本当にひとつの推理小説のように物語が進んでいく。くどくど説明すると教科書のようになる生物学の知識は、適切な比喩を用いることで、飽きない程度に、適切に説明していることにも感心した。

科学者が読んでも、いやにならないという意味で珍しい一般向け科学書。


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