JMP
Prismと並んで、現在のMac OSXで動く統計ソフトとしてあげられるのがJMP。Statviewが開発中止になったときには、後継ソフトとしてJMPが指定されたわけですが、私の周囲を見ても、JMPに移行する人は多くなく、classic環境でStatviewを使い続ける人が大半でした。私自身もそうでした。
JMPはSASInstitute Inc.の創業者の一人であるJohn SallがMac用に開発したメニュー型ソフトで、John's Macintosh Productの頭文字を取ってJMPと名付けられました。JMPは操作性を重視して作られた SASの廉価版と位置づけと考えるとわかりやすいと思います。JMPの操作手順は探索的であり、適応すべき統計手法をソフト側が判断するというのが一番の特徴です。統計手法の選択に熟知していない人にはありがたい反面、統計手法に精通した人にはまどろっこしいという感じがするかもしれません。
私自身、操作手順やJMP独自のデータのヴィジュアル化に慣れていない部分もあり、食わず嫌いでしたが、うちの大学にはサイトライセンスがあるということで、JMP 5.1を使ってみることにしました。
「医薬研究者のための統計ソフトの選び方 改訂2版」【bk1】【amazon.co.jp】に沿って、実際にJMPを使ってみると意外と使いやすいソフトであることが気付きました。「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」【bk1】【amazon.co.jp】の統計ソフトの紹介で、田久先生が「SASやSPSSからJMPに乗り換える人はいるけれど、一度JMPを使ってほかのソフトに乗り換える人はいない」と言っているのがわかるような気がしました。
多重比較に関しては、TukeyのHSD検定、HsuのMCB検定、Dunnettの検定をサポートしています。TukeyとDunnettでほとんど対応ができると思いますが、Dunnettでは正確なp値は出るものの、Tukeyでは正確なp値は出ません。先日紹介したPrismはTukey, Newman-Keuls, Dunnett, Bonferroni といった多重比較法をサポートしていますが、いずれも正確なp値は算出しません。ちなみに、StatviewもTukeyとDunnettのP値は算出しません。
あと、一つの問題は、Intel Mac上でのJMP 5.1の動作は保証されていないと言うこと。実際MacBook ProでJMP5.1を動かした場合、一件問題なく動いているのですが、多重比較計算だけはエラーが出てしまって計算できません。来月、JMP 6のサイトライセンスが始まるようなので、それに乗り換えて検討してみたいと思いますが、JMPのUB化を待たないといけないかもしれません。いずれにしても、思っていたよりはるかに使いやすいソフトでした。
JMPの正規価格は153,300円ですが、アカデミック版は63,000円、また、東京大学、慶應義塾大学、関西学院大学はサイトライセンスを導入していますので、無料で使用可能です。
JMP関連の書籍は「研究者の書棚」>「統計関連書籍」をご覧下さい
関連情報は「研究に有用なソフトウェア - 統計ソフト」をご覧下さい。