米国でのオープンアクセス義務化へ

2004年9月、NIHは、NIHの助成した研究成果について、最終原稿のデジタルファイルをNLMが運営するデジタル・リポジトリであるPubMed Centralに収録し,出版6か月後(出版社の同意があればさらに短期間)に誰にでも無料でアクセス可能とする計画を発表しました。 しかし、この計画は学術出版社からの大きな反発を受け、1年以内にPubMed Centralにデポジットすることを推奨するという無難な内容に後退してしまいました。

その後、雑誌単位ではなく、個人によって(Author Manuscriptと表示される)どのくらいの論文がPubMed Centralにデポジットされたかというと、きわめて少なく、 NIHのパブリック・アクセス方針が実施されてから2ヶ月経った7月2日現在ではわずか300件に過ぎなかったとのことです(Science, 309:696))。

2005年12月になって、オープンアクセス化を義務づける新たな法案、通称CURES法案が米国上院議会に提出されました。同法案には、NIH内にthe American Center for Curesを設置することや、Department of Health and Human Services(NIHを含む)の助成を受けた研究成果をPubMed Centralに出版後6ヶ月以内に登録する義務があることなどが盛り込まれています。オープンアクセス化に向けてさらに踏み込んだ内容になっています。

果たして、出版社側はどのような対応を取るのでしょうか。我々、研究者にはオープンアクセスはうれしい限りですが、出版社が立ちゆかなくなれば、その根底が揺るいでしまうことになります。

参考資料:

カレントアウェアネス:英米両国議会における学術情報のオープンアクセス化勧告

USACO NewMediaNews:米国でのオープンアクセス義務化の動向

SPARC Open Acess Newsletter:The U.S. CURES Act would mandate OA

次回は、オープンアクセス化の動向全体についてまとめてみようと思っています。

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