2006.01.30

業績リストの作り方 被引用回数付き

その論文がどのくらい重要かを示すひとつの指標に「被引用回数」があります。インパクトファクターはある雑誌の各論文の被引用回数の平均値であり、実際には同じ雑誌の中でもより多く引用される論文もあれば、あまり引用されない論文もあります。したがって、個々の論文の被引用回数の方が、より正確な指標と考えられます。

そのような事情もあり、ときに、被引用回数を明記した業績リストの提示が必要になることがあります。個々の論文の被引用回数を調べる方法としてはWeb of Scienceを使うことになります。Google Scholarでも被引用回数らしきものは調べられますが、Google Scholarがどのような雑誌をカバーして、どのような方法で被引用回数を計算しているのか明示していない以上、デファクトスタンダードであるWeb of Scienceを使わなければならないと考えます。

ここでは、Web of ScienceとEndnoteを使った被引用回数付きの業績リストの作り方を説明します。もちろん、Web of Scienceで論文をひとつずつ被引用回数を調べて、手作業で業績リストに追加してもいいのですが、なるべく自動化してみます。 なお、ここで紹介する方法は慶應義塾大学信濃町メディアセンターの主催する電子リソース活用講座の内容をベースにしています。また、EndnoteのバージョンはMac OSX版のEndnote 8を使用しています。

手順1: Web of Scienceの「General Search」で、自分の論文を全部集めます。実は、これが大変な作業であることが多く、SuzukiさんやTanakaさんといったよくある名前の方の場合、研究施設や共同研究者の名前を使ってうまく絞り込む必要があります。こういったとき、私のような珍名は便利です。「Monkawa, T*」で一発ですから。なお、完全に絞り込まなくても、Endnoteに持っていった後で、いらないものを削除した方が楽です。

手順2a:1回の検索で該当論文が集められたときは、画面右のOutput Recordsで、「All records on page」をチェックし、Full Recordを選択して、「SAVE TO FILE」をクリックします。次に出てくるSave OptionのページではField Tgged (Simple text)を選んでダウンロードします。デスクトップにsavedrecs.txtというファイルができます。

手順2b:1回の検索では該当論文を集められないような場合には、該当論文をチェックして、「ADD TO MARKED LIST」をクリックし、該当論文を集めます。集めた該当論文は「Marked List」にありますので、そこから、ダウンロードします。その際、Output Options で「times cited」にはチェックがついていないので、忘れずにチェックを入れて下さい。そして、「SAVE TO FILE」でダウンロードします。デスクトップにsavedrecs.txtというファイルができます。

手順3:あとは、Endnoteにsavedrecs.txtの情報をインポートしてやればいいのですが、そのままインポートすると、被引用回数(Times Cited)がインポートされません。そこで、まず、Web of Scienceのインポートフィルターに少し手を加えてTimes CitedがEndnoteに反映されるようにします。

まず、メニューからEndnote 8 > Preferences... を選び、Reference Typesを選択して、「Modify Reference Types」ボタンを押します。「Edit Reference Types」というウィンドウが開きますので、Custom 1という項目を探します。通常、ここは空欄になっているので、「Times Cited」と入力してOKを押します。

次にメニューからEdit > Import Filters > Open FIlter Managerを選び、「Web of Science (ISI). enf」にチェックを入れて「Edit」ボタンを押します。左のコラムからTemplatesを選び、タグ「TC」のFIeldが{IGNORE}になっているのをTimes Citedに変更します。オリジナルのフィルターはそのままにしておきたいので、メニューからFile > Save As...を選び、 名前をWeb of Science with TCにでも変更しておきましょう。

手順4:適当な名前を付けた新規のライブラリーを作製し、メニューからFile> Importを選び、先ほどダウンロードしたデスクトップのsavedrecs.txtを選択。Import Optionには「Web of Science with TC. enf」を選んで、Importをおこないます。

手順5:メニューからEndnote 8 > Preferences... を選び、Display Fieldsを選択して、Colum 5のFielsdをURLからCustom 1にして、HeadingにTimes Citedとしてみて下さい。

被引用回数が表示されるようになります。

手順6:あとは、業績リストを書き出すためのフォーマットを作ることになります。ここでは、Vancouverスタイルに被引用回数を付けたものを作ります。メニューからEdit > Output Styles > Open Style Managerを選び、「Vancouver.ens」にチェックを入れて「Edit」ボタンを押します。左下ラムのBibliography > Templatesを選び、Journal Articleを

Author. Title. Journal Year|;Volume|(Issue)|:Pages| (`Times Cited:` Times Cited).

と書き換えます。「Vancouver with TC」という名前で別名保存しておきます。

手順7:メニューから「File」>「Export...」を選び、書き出すファイルの名前を付けます。これで、以下のような形の業績リストのテキストファイルが作製できます。

1. Kawasaki M, Uchida S, Monkawa T, Miyawaki A, Mikoshiba K, Marumo F, et al. Cloning And Expression Of A Protein-Kinase C-Regulated Chloride Channel Abundantly Expressed In Rat-Brain Neuronal Cells. Neuron 1994;12(3):597-604 (Times Cited: 167).

2. Monkawa T, Miyawaki A, Sugiyama T, Yoneshima H, Yamamotohino M, Furuichi T, et al. Heterotetrameric Complex-Formation Of Inositol 1,4,5-Trisphosphate Receptor Subunits. Journal Of Biological Chemistry 1995;270(24):14700-14704 (Times Cited: 130).

3. Hayashi M, Sasaki S, Tsuganezawa H, Monkawa T, Kitajima W, Konishi K, et al. Expression And Distribution Of Aquaporin Of Collecting Duct Are Regulated By Vasopressin V-2 Receptor In Rat-Kidney. Journal Of Clinical Investigation 1994;94(5):1778-1783 (Times Cited: 117).

4. Yoshikawa F, Morita M, Monkawa T, Michikawa T, Furuichi T, Mikoshiba K. Mutational analysis of the ligand binding site of the inositol 1,4,5-trisphosphate receptor. Journal Of Biological Chemistry 1996;271(30):18277-18284 (Times Cited: 77).

5. Monkawa T, Yoshida T, Wakino S, Shinki T, Anazawa H, DeLuca HF, et al. Molecular cloning of cDNA and genomic DNA for human 25-hydroxyvitamin D-3 1 alpha-hydroxylase. Biochemical And Biophysical Research Communications 1997;239(2):527-533 (Times Cited: 70).

(以下略)

2006.01.28

業績リストの作り方 ウェブ公開用

最近は、研究室のウェブサイトなどに業績リストを載せることも多くなっています。その際に、PubmedのAbstractのリンクをつけると便利です。こんな感じですね。

1. Monkawa T, Pippin J, Yo Y, Kopp JB, Alpers CE, Shankland SJ. The cyclin-dependent kinase inhibitor p21 limits murine mesangial proliferative glomerulonephritis. Nephron Exp Nephrol 2006;102(1):e8-18. [PubMed]

このような業績リストの作り方を紹介します。

方法1:Endnoteを使う方法

Endnoteをお持ちの場合は以下のようにします。

手順1:自分の発表した論文を集めたライブラリを作成します。このとき、かならず論文情報はPubMed(NLM)から探し出します。PubMedから論文情報を取得すると自動的にPubmedのURLが含まれています。

手順2:ReferenceにPubMedのURLが含まれるようにVancouverスタイルを修正します。具体的には、BibliographyのTemlatesのJournal Articleを

Author. Title. Journal Year|;Volume|(Issue)|:Pages|. [<a href="URL">Pubmed</a>]</p>

とし、BibliographyのLayoutのStart each reference with:を、

<p>Bibliography Number.

とします。なお、私が作ったものがあるので、よければ使って下さい。

VancouverURLをダウンロード

手順3.メニューから「File」>「Export...」を選び、書き出すファイルの名前を○○○.htmlとします。

このファイルの先頭に

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN"
"http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<html>
<head>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=Shift_JIS">
<title>業績リスト</title>
</head>
<body>
<h1>業績リスト</h1>

後ろに

</body>
</html>

をつけると、ウェブ公開用の業績リストが完成です。

完成版はこんな感じです。

 

方法2:PubListMakerを使う方法

Endnoteをお持ちでない方は、PubList Makerを使うのが便利です。Pubmedのリンク付きのスタイルを選んで、1つずつ貼り付けることになります。

2006.01.27

業績リストの作り方 基本編

CVや研究費の申請、いろいろな場所で業績リストが必要になってきます。もちろん、一から全部自分でタイプしてもいいのですが、比較的簡単に業績リストを作る方法を紹介します。

方法1:Endnoteを使う方法

もし、Endnoteをお持ちであれば、Endnoteを使うのが簡単です。

手順1.自分の発表した論文を集めたライブラリを作成します。生物医学系であれば、論文情報はPubMed(NLM)から探し出すのが普通でしょうが、Web of Science (ISI)からでもいいでしょう。

手順2.書き出すReferenceの体裁を指定します。特に指定がなければVancouverスタイルでよいでしょう。指定があれば、その形式を指定するか、なければ自作します。

手順3.デフォルトのVancouverスタイルは、そのままの順番でReferenceが並びますので、手順4に進む前にReferenceの順番を新しい順や古い順などご希望の順番にソートし直しておきます。もっと細かい条件でソートしたい場合には、VancouverスタイルのBibriography Sort Orderを手作業で修正します。

手順4.メニューから「File」>「Export...」を選び、書き出すファイルの名前を付けます。これで、以下のような形の業績リストのテキストファイルが作製できます。

1. Monkawa T, Pippin J, Yo Y, Kopp JB, Alpers CE, Shankland SJ. The cyclin-dependent kinase inhibitor p21 limits murine mesangial proliferative glomerulonephritis. Nephron Exp Nephrol 2006;102(1):e8-18.

2. Petermann AT, Pippin J, Durvasula R, Pichler R, Hiromura K, Monkawa T, et al. Mechanical stretch induces podocyte hypertrophy in vitro. Kidney Int 2005;67(1):157-66.

3. Kobayashi K, Monkawa T, Hayashi M, Saruta T. Expression of the Na+/H+ exchanger regulatory protein family in genetically hypertensive rats. J Hypertens 2004;22(9):1723-30.

4. Hayashi M, Tsuchiya Y, Itaya Y, Takenaka T, Kobayashi K, Yoshizawa M, et al. Comparison of the effects of calcitriol and maxacalcitol on secondary hyperparathyroidism in patients on chronic haemodialysis: a randomized prospective multicentre trial. Nephrol Dial Transplant 2004;19(8):2067-73.

(以下略)

この方法であれば、新しい業績が追加されたときでも簡単に追加でき、業績リストのフォーマットを変更するときも簡単にできます。

 

方法2:PubListMakerを使う方法

Endnoteをお持ちでない方はどうすればよいか?さすがに全部打ち込むのは大変なので、少しだけ楽ができる方法をご説明します。私が書いたプログラムPubListMakerを利用します。この方法では、業績リストに載せる論文を一つずつPubMedで探しだし、PubList MakerでReference情報をVancouver形式で抜き出すということを繰り返します。PubList Makerについてはこちらで概略を見ておいて下さい。

手順1.PubList Makerをブラウザのお気に入りに登録します。

PubList Maker

Internet Explorerの場合、上のリンクを右クリック(Macの場合はCommand+クリック)し、「お気に入りに追加」を選びます。このとき「追加しようとしているお気に入りは、安全でない可能性があります。続行しますか?」というメッセージが表示されますが、「はい」をクリックしてください。もしくは、リンクバーを表示させた状態で、上のリンクをドラッグし、リンクバーの上でボタンを離します。Safariは後者の方法でしか登録できません。登録したPubList MakerのURLが

javascript:var%20u=document.location.href;var%20ai=u.indexOf
('%26list%5Fuids%3D');var%20uid=u.substring(ai+11,ai+19);
w=window.open('http://www.kenkyuu.net/cgi-publistmaker/
publistmaker.cgi?uid='+uid);

になっていればOKです(実際には改行なしの1文です)。

手順2.自分が業績リストに加えたい論文をPubMedで探します。もちろんどんな論文でも使えますが、ここでは例として私が昔書いた論文をあけてみて下さい。

手順3.そのページを開けたまま(最前面にある状態)で、さきほど登録したPubList Makerのお気に入りをクリックしてみて下さい。こんなページが開くはずです。あとは、このページの中の気に入ったスタイルの文献をコピーペーストすれば、簡単に業績リストができあがります。

手順4.業績リストにのせる論文について手順2〜3を繰り返します。

あまりたくさんの論文になるとちょっと大変ですが、自分で一からタイプするよりはよいでしょう。

2006.01.26

TOMITECHエアロソアラ

トミー、赤外線で操縦する超小型室内飛行機」(nikkeibp)。子供に買ってあげると言いつつ、お父さんがはまるおもちゃですな。機体は発泡スチロール製で全長約17センチ、重さ3・5グラム。約30秒の充電で約40秒間飛行可能。値段も2,500円を切ってます。絶対買う。

と思ったら、もうアマゾンで予約受付していた。ポチッと。

「エアロソアラ typeA(Aバンド)」

トミー(2006/04/01)、価格:¥ 2,494(税込)、ASIN:B000C5NVPY 【amazon.co.jp


追記:

発売日が2006年7月15日に延期になったようです

2006.01.25

研究留学メーリングリストの新規参加者の募集を再開します

研究留学メーリングリストの新規参加者の募集を再開します。

をよくお読みになって、参加して頂くようにお願い致します。

なお、現在、旧会員の方のリフレッシュ作業を並行しておこなっていますので、実際に配信が始まるまで数日お時間をいただくことをあらかじめご了承下さい。

2006.01.24

ATOKはIntelプロセッサ搭載のMacintoshには対応していません

MacBook Proをポチッとしてしまったわけですが、Just Systemからこんなお知らせが。

「Intelプロセッサ搭載のMacintosh」への対応について

下記の弊社製品は、「Intelプロセッサ搭載のMacintosh」には対応していません。

  • ATOK 2005 for Mac OS X
  • ATOK17 for Mac OS X
  • ATOK16 for Mac OS X
  • ATOK15 for Mac OS X
  • ATOK14 for Mac OS X
  • ラベルマイティ for Mac(ラベルマイティ for Mac OS X)

まあ、期待はしていませんでしたが、「次期ATOK2006では対応します」とか、意欲は見せて欲しかった。まさか、撤退?

というわけで、MacBook Proが仕事で使えるようになるのはPhotoshopやATOK、Microsoft Officeが対応版を出してからで、おそらく2006年夏以降になるでしょう。

バナー

2006.01.23

「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」

「バイオ研究がぐんぐん進むコンピュータ活用ガイド」

著者:門川 俊明企画編集、税込価格:¥3,360、出版:羊土社、ISBN:489706922X、発行年月:2006.2【bk1】【amazon.co.jp】【目次

現在のバイオ研究ではあらゆる場面でコンピュータスキルが要求されます。バイオ研究でしか使わないようなソフトもたくさんあり、これらをマスターする必要があります。プレゼンテーションソフトにはどのようなものがあるか、文献管理ソフトにはどんなものがあるか、どんなソフトをマスターしなければならないのか、そういったバイオ研究に必要になるソフトを網羅的に紹介しているのがこの書籍です。昨年Keynoteのレビューを実験医学に書いたのをきっかけに、本書の編集のお手伝いをしてきて、ようやく上梓することができました。基本的には大学院生など、あらたにバイオ研究の世界に飛び込んできた若い研究者を対象とした本ですが、研究者のコンピューター通の方々の丸秘テクニックを満載していますので、中級者の方でも十分読みがいのある1冊になっていると思います。What's new!で時々紹介するコンピュータテクニックの話が便利と思って下さるような方にはきっとお気に入りの1冊になると思います。

コンピュータ関連の書籍は「研究者の書棚:コンピュータ関連本」をご覧下さい。

2006.01.21

レーザーポインタ付きリモコンの最新レビュー

2年前に、レーザーポインタ付きリモコンについてのレビューを書きました。最近は、「はい、次のスライド」などという決まり文句は学会場でほとんど聞かなくなり、PowerPointプレゼンテーションを自分で進めていくことが主流になっています。PowerPointを進めたり戻したりするリモコン機能のついたレーザーポインタ(レーザーポインタ付きリモコン)はもっていて損はないものです。その後、日本でもレーザーポインタ付きリモコンのバリエーションが広がってきました。私自身いくつかのレーザーポイント付きリモコンを使いましたので、レビューを書き直したいと思います。

Cordless presenter(BM-1000)

ロジクール社製。値段:¥30240(税込み)【amazon.co.jp】$166.54【amazon.com

私が最初に手に入れたレーザーポインタ付きリモコンです。この機種の最大のウリはそのデザイン。通信方法はBluetoothですが、USBのBluetoothアダプタがついてくるので、Bluetoothを内蔵していない機種でもOKです。Bluetooth通信なので、赤外線通信の他の機種に比べ、通信距離が長くなるようです。マウスモードとプレゼンテーションモードを切り替えるタイプです。マウスモードの時はオプティカルマウスとして使えますが、オプティカルマウスですから、マウスを動かしながらプレゼンというのはちょっと無理です。メーカー的にはWindowsのみ対応で、Macには未対応ですが、私は力業でMacで使っています。その方法は「ロジクールCordless PresenterをMacで使う」をご覧ください。レーザーポインタは赤色のものですが、やや弱め。値段がちょっと高めで、Macでは機能が制限されますが、デザインを考えるなら、おすすめの1台。


Keyspan Presentation Remote

Keyspan社製。【amazon.com

http://61.194.6.236/ksp.htmlに使用レポートあり以前から、購入を考えていましたが、日本では正式販売されず、時々秋葉原あたりで売られている程度。2004年にアメリカに行ったときに、購入してきました。レシーバーをUSB端子につけて、本体と電波で通信するタイプです。Mac、Winとも利用可。この機種の最大の特徴はポインタ式のマウスを内蔵しています。真ん中の大きな円形のボタンをぐりぐり動かすことで、プレゼンテーションの最中にマウスポインタを動かすことができます。たとえば、プレゼンテーションファイルの中に動画が含まれていて、動画をスタートするときなどはわざわざコンピュータを操作することなくスマートです。しかし、このポインタが使いにくいことこの上ない。特定のリンクをクリックするなど至難の業。実用的とは言えません。あと、レーザーは赤色なのですが、これがすごく弱い。ということで、私はあまり使わなくなってしまいました。ついでにいうと、電池がCR2450という特殊なもので、なかなか手に入りません。この電池はヨドバシカメラでも限られた店舗でしか扱っていませんでした。


KOKUYO レーザーポインタ for PC サシ-51

コクヨ、価格:¥ 11,500(税込)、ASIN:B0001GF0LW 【amazon.co.jp

レシーバーをUSB端子につけて、本体とラジオ波で通信するタイプです。ボタンはシンプルに、レーザーのオンボタンと、PowerPointのページ送りボタンとページ戻しボタンという構成。ドライバなしでMac、Winとも利用可で、Keynoteでも問題なく使えます。マウス機能はついていませんが、通常の使用では値段と機能のバランスがとれていておすすめモデルです。


KOKUYO レーザーポインタ IC-GREEN for PC サシ-81

コクヨ(2005/09/01)、価格:¥ 29,800(税込)、ASIN:B000B58BR8 【amazon.co.jp

上記KOKUYOレーザーポインタ for PCの赤色レーザーを緑色レーザーにしたものです。緑色レーザーはユニバーサルデザインの観点から、最近はやっていますが、その分、価格はぐっと高くなりますが、定価47250円のところ、どこでも大幅に値引きされているので、思い切って買ってみました。緑色レーザーはさすがに出力も十分で非常に見やすくGood。レシーバーをUSB端子につけて、本体とラジオ波で通信するタイプです。ボタンはシンプルに、レーザーのオンボタンと、PowerPointのページ送りボタンとページ戻しボタンという構成。ドライバなしでMac、Winとも利用可で、Keynoteでも問題なく使えます。あと、微妙な違いなのですが、KOKUYOレーザーポインタ for PCに比べて、レシーバーがコンパクトになっています。また、本体がかなり重量感があって、Goodです。現在、私はメインでこのレーザーポインタを使っています。緑色レーザーはどうしても値が張ってしまいますが、現時点で一押しのモデルです。


KOKUYO プレゼンテーションマウス EAM-ULW1

コクヨ(2004/07/31)、価格:¥ 9,370(税込)、ASIN:B0002IV6UI 【amazon.co.jp

実機をさわったことはないので、カタログから拾い上げてみると、(1)レシーバーをUSB端子につけて、本体とラジオ波で通信するタイプ(2)ポインタマウス機能付き(3)赤色レーザー(4)レシーバを本体に収納可能(5)カタログ上はWindowsのみの対応


KOKUYO プレゼンテーションマウス EAM-ULW2

コクヨ(2005/04/21)、価格:¥ 7,980(税込)、ASIN:B0009EWF4Q 【amazon.co.jp

実機をさわったことはないので、カタログから拾い上げてみると、(1)レシーバーをUSB端子につけて、本体とラジオ波で通信するタイプ(2)ポインタマウス機能付き(3)赤色レーザー(4)カタログ上はWindowsのみの対応。EAM-ULW1との違いはレシーバーを本体に収納できないことくらいでしょうか?


リモートポイントナビゲーター 2.4

インターリンク、価格:¥ 20,790(税込) 【amazon.com

実機をさわったことはないので、カタログから拾い上げてみると、(1)レシーバーをUSB端子につけて、本体と電波で通信するタイプ(2)PowerPointの進む、戻る、ミュートボタン(3)赤色レーザー(4)Windows/Mac対応。


リモートポイントナビゲーター 2.4

インターリンク、価格:¥ 22,890(税込) 【amazon.com

実機をさわったことはないので、カタログから拾い上げてみると、(1)レシーバーをUSB端子につけて、本体と電波で通信するタイプ(2)PowerPointの進む、戻る、ミュートボタン(3)ポインタマウス機能(3)赤色レーザー(4)カタログ上はWindowsのみ対応。


2006.01.20

体験談・情報の受付を再開します

しばらくの間受付を停止していましたが、皆さんからの体験談・情報の受付を再開します。他の読者の役に立つとおもわれる体験談・情報がありましたら、Feedbackのページから投稿をお願い致します。

なお、通常のビザ取得の体験談はビザ取得情報データベースに集約したいと思っていまので、そちらに投稿をお願いします。ただし、特殊な国でのビザ情報や、新しく変更があった箇所など、What's new!でも取り上げた方がよいものは、Feedbackのページから投稿して頂ければ、What's new!で取り上げさせて頂きます。

2006.01.18

ポスドクの給与水準に関するNIH勧告

2006年度のポスドクの給与水準に関するNIH勧告が出ていました。

Career Level 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000
Undergraduates in the MARC and COR programs
 Freshmen /  Sophomores $7,812 $7,812 $7,812 $7,296 $7,269 $6,948 $6,948
 Juniors /  Seniors $10,956 $10,956 $10,956 $10,224 $10,244 $9,732 $9,732
Predoctoral
  $20,772 $20,772 $20,772 $19,968 $18,156 $15,060 $15,060
Postdoctoral
Years of Experience
  0 $35,568 $35,568 $35,568 $34,200 $31,092 $28,260 $26,916
  1 $37,476 $37,476 $37,476 $36,108 $32,820 $29,832 $28,416
  2 $41,796 $41,796 $41,796 $40,920 $38,712 $35,196 $33,516
  3 $43,428 $43,428 $43,428 $42,648 $40,692 $36,996 $35,232
  4 $45,048 $45,048 $45,048 $44,364 $42,648 $38,772 $36,936
  5 $46,992 $46,992 $46,992 $46,404 $44,616 $40,560 $38,628
  6 $48,852 $48,852 $48,852 $48,444 $46,584 $42,348 $40,332
7 or more $51,036 $51,036 $51,036 $50,808 $48,852 $44,412 $42,300

クリントン政権時代にはすごい勢いで給料が増加していましたが、ブッシュ政権となって、ここ3年間は据え置きとなっています。

ちなみに、実際にすべてのポスドクがこの額をもらっているというわけではなく、NIH以外ではあくまでボスの裁量で給料は決められています。この基準とは別に、独自の基準を設けている大学も多いようです。

毎年、こちらのページで情報を更新しています。

2006.01.16

Keynote 3ファーストインプレッション

先日のMacworld Conference & Expo/San Francisco 2006にてKeynoteの最新バージョンKeynote 3が発表されました。ただし、日本での発売は2月中旬ということでのんびりと構えていたら、MACお宝鑑定団で、パッケージは英語だが日本語ローカライズされたiWorks '06(Keynoteはバージョン2からPagesというワープロソフトとバンドルされ、iWorksとして発売されている)が発売されているという情報をキャッチ。さっそくApple Store Shibuyaで手に入れました。Apple Store Ginzaは品切れでした。パッケージや中の取扱説明書はすべて英語ですが、ディスクを入れて、いきなり開いた画面が日本語で一安心。パッケージは英語にもかかわらず、中に入っているKeynote 3は日本語化された(というよりは、日本語ローカライザーも含まれたユニバーサル版)であると思われます。


■Keynote 2の課題

KeynoteはPowerPointではできないような美しいプレゼンテーションを作ることができますが、不動の位置を築いているPowerPointに一日の長があることは確かです。Keynote 1からKeynote 2のバージョンアップでは、あえてPowerPointと競争しないで、独自の道を歩もうとしている印象を受けました。KeynoteはPowerPointと全く同じ方向を向いたソフトではないと理解した方がよいとは思いますが、研究者のプレゼンテーションツールとして使うことを考えた場合、ここだけは改善して欲しいと思っていることがいくつかあります。

課題1. 描画ツールをもっと充実させて欲しい。描画できる図形は最小限だし、曲線を描くこともできない。Appleでは複雑な図はOmniGraffleで書いてコピーペーストすることを意図しているのかもしれませんが、もう少しパワーアップすべきです。

課題2. 1つのスライド内で箇条書きのテキストボックスが1つだけという制限をはずして欲しい。keynote 2では一つのスライド内でテキストボックスのうち1つしか箇条書き設定をできません。これは非常に不便です。

課題3. グラフのデータ入力画面を改善して欲しい。Keynoteのグラフ描画では非常にきれいなグラフが簡単に作れるのですが、そのデータ入力画面の使い勝手が非常に悪い。

課題4. KeynoteからPowerPointへの書き出し精度を上げて欲しい。KeynoteはPowerPointファイルを読み込むことができ、かつ、KeynoteファイルはPowerPointファイルに書き出すことができるということが一つの売りなのですが、前者はまだしも、後者の変換精度はかなり低く、ほとんど使い物になりません。

 

■テーマやアニメーション効果の新規追加は抑えめ

Keynoteの特徴といえば、美しいグラフィクス。今回、新しいテーマとして、黒、モダンポートフォリオ、革装本、ビンテージ、クラッシクシルク、ホワイトコーナー、フォーマルの7つが追加されました。

また、アニメーション効果(トランジションとエフェクト)にも変更がありました。新しく加わったトランジションはスオッツシュ、ブラインド、回転ドア、入り口、反射、落下、カラーでフェード、シャッターの8個で、かわりに、モザイク反転は1種類にまとめられ、グリッド、ドロップ、モーションンディソルブ、暗転、渦巻き、焼失、放射状、落下するタイルがなくなりました。エフェクトに関しては、あらたに、スウォッシュ、ブラインドが追加され、ドロップ、渦巻きがなくなりました。

Keynote 1からKeynote2へのバージョンアップの際には追加のみでしたが、今回はさすがに効果の数が増えすぎてしまうのか、一部の効果が削除されました。渦巻きなんかはここぞというときにインパクトがある効果だったので、なくなってしまい残念です。ちなみに、Keynote 2で渦巻き効果を使ったファイルをKeynote 3で開いても、きちんと渦巻き効果が再生できました。hackすれば、なんとか渦巻きを奪還できるかもしれませんね。

(後日談)

環境設定>一般の環境設定に「古いアニメーションを選択項目に含める」というチェックボックスがあります。ここにチェックを入れると渦巻きなどのアニメーションがKeynote 3でも選択できるようになります。

■着実な進化

Keynote 3には小さいながら着実な進化があります。

まず、Keynote 3を開いて、はじめに気がつくことは、ツールバーに「調整」というツールが増えたことです。これは「イメージ調整」をするツールで、貼り付けたイメージの簡易修正ができるツールです。画像のコントラストなどを調整するツールです。PowerPointのイメージの簡易修正機能とはちょっと違った雰囲気で、Photoshopの色調補正に似ています。

「コメント」というはまったく新しい機能です。コメントを使えば、スライドの作成中に思いついたアイディアを簡単に残すことができます。ちょうどスティッキーズのようなものです。コメントは編集中にディスプレイに表示されますが、プレゼンテーションを再生するときは表示されません。これはPowerPointにはない、なかなかおもしろい機能ですね。

Keynote 2の課題の2番目にあげておきましたが、Keynote 2ではひとつのスライド内で、箇条書きのテキストが1セットしか作れません。追加するテキストボックスには箇条書きが設定できなかったです。この点は、Keynote 3で改善されました。Keynote 3では箇条書きを設定したテキストボックスが複数個作れるようになりました。

様々なファイル形式で描き出すことができることがKeynoteの特徴ですが、Keynote 3ではあらたに、ノート付きのスライドのPDFの作製、iDVDプロジェクトの作製、HTMLの作製ができるようになりました。

PowerPointではよく使われているスライドを一覧表示するタイプの表示形式が「ライトテーブル」という表示方法できるようになりました。

テーブルには簡易計算式が入力できるようになりました。

 

■図形描画ツールのパワーアップ

Keynote 2の不満点の最大のものは図形描画のツールが貧弱なことでしたが、今回、描画ツールに大きなアップデートが加えられました。まず、描画できる図形として、星形と多角形が増えました。そして、「挿入」>「図形」>「図形を描画」を選択することによって、ベジェ曲線が描けるようになりました。これまで、PowerPointでは自由な曲線はかけましたが、ベジェ曲線ではありませんでした。ベジェ曲線とは複雑な曲線を、比較的少ないデータで描くために考案された方法であり、Illustratorなどのような本格的ドローソフトに採用されています。アンカーポイントと方向線を指定することで曲線を描いていきます。Keynote 3のベジェ曲線はIllustratorとは少し作法が異なりますが、描画後に、アンカーポイントの削除と追加、コントロールハンドル(方向線)の修正ができます。また、アンカーポイントをダブルクリックすることで、「角←→丸」を変更可能です。私自身Keynoteがいきなりベジェ曲線を採用するとは思いませんでした。ベジェ曲線はきれいな曲線を描くにはベストな方法ですが、きれいに描くための方法を習得するには慣れが必要です。

あと、今回のバージョンアップで、任意の図形を用いたマスクができるようになりました。

 

■グラフ描画機能のアップデートは見た目が中心

グラフ描画機能のアップデートは今回のアップデートの中でも重要な部分のようですが、私としては見栄えの分のアップデートが中心で肝心の使いやすさの面が改善されていないのが残念です。

見た目の変化としては、3Dグラフが扱えるようになったという点です。その3Dグラフのインパクトといったらほとんど脱帽です。各要素の素材は大理石素材、木材、アクリルのような素材、布素材、などの5パターンくらいあり、しかも視点を動かすことができたり、素材感を微妙に調節できるなどきわめてマニアックです。各要素の素材はテーマと連動しているようで、残念ながら個別に指定はできないようです。

一方、私がKyenote 2の課題と考えていたグラフデータエディタの使い勝手の悪さは残念ながら改善されませんでした。せめてExcelなど他のテーブルデータを読み込む、または貼り付けられるように改善されることを望みます。

 

■Keynote 2と3の互換性

Keynote1からKeynote2へのバージョンアップの際には、ファイルのフォーマットが大きく変わったため、Keynote1で作ったファイルをKeynote2であけると、ファイルの書き換えがおこなわれ、一部レイアウトが崩れるといった現象が起こりましたが、Keynote2からKeynote3の場合は、ファイルの書き換えはおこなわれないようです。ただし、Keynote3で作ったファイルをKeynote2で開けることはできませんでした。

(後日談)

Keynote 2で作ったファイルをKeynote 3で開けると、Keynote 1→keynote 2のときほどではありませんが、少しレイアウトが崩れます。

■まとめ

というわけで、全体としてはマイナーバージョンアップといった感じですが、私が考えていた課題のうち半分くらいは今回のバージョンアップで改善されました。追加されたテーマやイメージ調整ツールの作り方から判断するとKeynoteは今後、写真を中心としたプレゼンテーションを指向しているような印象を受けました。

なお、まだ短時間しかさわっていませんが、安定性や動作速度はKeynote 2と特に大きな違いはないように感じました。Keynote 2は全く安定しているというわけではなく、何回か使用中に落ちた経験を持ちます。Keynote 3も、今回ベジェ曲線をいじくり回していたら1回落ちました。

PowerPointファイルへの変換の精度などの使用感は追って報告します。

関連情報は研究者のためのコンピュータ情報keynote 3ファーストインプレッション をご覧下さい。

「Keynote 2プレゼンテーション入門」

著者:高橋 良著、税込価格:¥3,360、出版:秀潤社、ISBN:4879622915、発行年月:2005.10【bk1】【amazon.co.jp】【目次

Keynoteの使い方について、まさに手取り足取り解説した本です。ビギナーから中級者までKeynoteで人とは違ったプレゼンテーションをしたいという人には必読の本です。Keynoteに関する日本語で書かれた唯一の本です。


コンピュータ関連の書籍は「研究者の書棚:コンピュータ関連本」をご覧下さい。

2006.01.15

Google Scholar その2

昨日に引き続いてGoogle Scholarその2です。

■Google Scholarの「Cited by」

文献ごとの引用関係がわかるデータベースとしてはWeb of Scinceが有名です。雑誌ごとの掲載論文1報あたりの年間の平均引用回数を指標化したものはインパクトファクターとよばれ、近年では雑誌の優劣の重要な指標になっています。各論文ごとの引用回数や引用している論文へのリンクはWeb of Scienceの「Times Cited」機能で実現されており、Google Scholarの「Cited by」は機能としては同じものといえます。Web of Scienceの詳しい説明についてはこちらをご覧下さい。

引用情報が重要なのは引用回数自体が論文の重要性を判定するひとつの指標であるだけでなく、逆引き機能として利用できるという点です。たとえば、2000年に報告されたある論文に目を付けて、関連論文を探そうと思った場合に、2000年以前の関連論文は引用文献としてすぐに見つけることができます。しかし、2000年以降の関連論文を見つけるのは大変なことです。その場合、Web of Scienceの「Times Cited」のリンクやGoogle Scholarの「Cited by」のリンクをたどることで、その論文を引用している論文(2000年以降に報告された)を探せるのです。

Web of Scienceは契約料がとても高いデータベースで、 契約をしていない大学図書館も多いようです。無料で引用関係が調べられるデータベースは現在のところ、Google Scholarしかなく、その点だけでもGoogle Scholarの存在価値は高いといえます。

しかし、問題になるのは、Web of Scienceで計算された引用回数とGoogle Scholarで計算された引用回数が同じかという点です。 そこで、その点を実際の論文を使って検証してみました。検証に使ったのは私が書いた6つの論文で、2006.1.14現在での引用回数を示します。

  Web of Science Google Scholar
JASN, 13:1172-8, 2002 27 30
KI, 58:559-68, 2000 16 18
JASN, 11:65-70, 2000 25 10
KI, 53:296-30, 1998 18 16
BBRC, 239:527-533, 1997 70 54
JBC, 270:14700-14704, 1995 133 95

これを見ると、1つの例外を除き、Google Scholarの方が引用回数が少なく、検索対象として拾っている論文の数が少ないことがわかります。また、両者の差は論文によってかなりばらつきがあります。

どのような文献を引用文献としてリストしているのかを実際に眺めてみると、Web of Scienceの方が検索対象の雑誌の範囲が広いだけでなく、Google Scholarの場合は、JASN, 11:65-70, 2000 を引用している論文がKI誌に複数あるにもかかわらず、ひとつしかリストアップしていないということがわかりました。つまり、Google Scholarの検索範囲は必ずしも雑誌単位ではないということです。現時点でのGoogle Scholarの「Cited by」に示される数は、正確な引用回数として使えるようなものではなく、あくまでも目安に過ぎないと言えます。

Google ScholarのCited byがより正確な指標になるためには、Google Scholarがどのような論文を検索対象としているのかがきちんと公開されないといけないでしょう。ただし、Web of Sceinceが使えないという人も多く、Google Scholarは無料で提供される引用関係を含むデータベースとして貴重なデータベースであることには違いがありません。

 

■まとめ

では、私はGoogle Scholarを使うかと聞かれれば、ほとんど使わないと答えますが、それは現在、引用関係を調べるためのデータベースとしてはWeb of Scienceが自由に使えるという恵まれた立場にあるからで、使えなくなれば、Google Scholarを使う機会は増えるでしょう。

関連情報はバイオ研究情報Google Scholar をご覧下さい。

2006.01.14

Google Scholar その1

Google Scholar のベータ版が公開されて1年余りが経ちます。いまだ、ベーター版であるにもかかわらず、Google Scholarを利用している人の数はかなり増えているようで、最近、相次いでNew England Journal of MedicineとBritish Journal of Medicineに記事が掲載されました。High Wire Pressにホストされている844の学術雑誌にアクセスする検索エンジンの56.4%がGoogle、8.7%がPubMed、3.7%がGoogle Scholarとなっていて、Google Scholarも結構使われるようになっています(NEJM, 354:4-7, 2006)。また、BMJにアクセスした検索エンジンの1位はGoogle、2位はGoogle Scholarで、それぞれPubMedの10倍近い頻度であるとのことです(BMJ, 331:1487-1488, 2005 )。

このように、Google Scholarを使った検索はPubMedを使った検索と肩を並べるほどになってきました。とはいっても、これは研究機関に属さない一般の人の利用を含んだデータであり、医学生物学者が文献を調べるには、PubMedに圧倒的な優位がありますが、Google ScholarにはPubMedにはない機能もありますので、Google Scholarについてまとめておきたいと思います。

 

■Google Scholarとは

通常のGoogle検索では文献以外にもネット上のあらゆるドキュメントが検索対象になっていますので、学術情報以外の多くのノイズを拾ってしまいます。Google Scholarは検索対象を学術論文、学位論文、書籍、学術出版会社や学会、学術機関からの抄録や論文といった学術情報に絞ることで、インターネット上の学術情報に特化した検索エンジンとなっています。

 

■Google Scholarの機能

Google Scholarは非常にシンプルなインターフェースであり、Google同様、検索窓に検索語を打ち込んでボタンを押すだけです。検索結果は関連度が高い順にリストアップされると当時に各検索結果には次のようなリンクが提供されます。

  • 引用回数の表示と引用文献へのリンク「cited by」。
  • 著者名、論題からのキーワード抽出によるGoogle検索のためのリンク「Web Search」。
  • その他、出版社該当論文サイトへのリンク、PubMed抄録形式へのリンク、図書館へのリンク、など。

Google Scholar の機能を理解するために、医学生物学系の文献検索データベースとして最もポピュラーなPubMedと比較してみましょう。

まず、根本的な違いとして、PubMedは掲載されている文献データが米国立医学図書館(National Library of Medicine)によって作成されており、人の手によって体系的に構築されたデータになっていますが、Google Scholarはインターネット上に公開されているドキュメント情報をロボットによって網羅的に自動で集めたデータベース(というより検索エンジン)であるということがあります。そのため、Google Scholarの検索結果の制度や提供情報の質には自ずと限界があるといえます。

検索対象ですが、PubMedが医学生物学型の学術論文に限っているのに対し、Google Scholarは医学生物学系に限らず、自然科学系、社会科学系のすべての学術ドキュメント(学術論文のみならず抄録や書籍、プリプリントドキュメントなどかなり幅広い)が対象になっています。また、PubMedの場合、収載誌がhttp://www.nlm.nih.gov/bsd/serfile_addedinfo.htmlに明らかになっているのに対し、Google Scholarの場合、明らかにされていません。実際問題として、Google Scholarは学術情報とはいえない小説なども引っかけてしまい、厳密に学術情報のみに対象を絞り込めてはいないようです。ただし、そのような情報はランキングで下位になるために実際には問題にはなっていません。

PubMedでは検索結果はすべて抄録へのリンクとなっており、抄録のページにフルテキストへのリンクが提供されています。Google Scholarにおいては、フルテキストが提供されている場合には、検索結果が直接フルテキストへのリンクになっています。フルテキストの閲覧権を持たないユーザーがアクセスした場合には、自動的に無料のアブストラクトページや論文購入ページなどへ誘導されるようになっています。

PubMedでは検索結果は出版年の新しいものからソートされてリストアップされますが、Google Scholarでは関連度の高い順引用回数順にソートされてリストアップされます。古い論文の方が比較的上位にランクされるため、この点は使いにくいですね。出版年でソートできるよなオプションをつけた方がよいと思います。

また、PubMedに最近実装された、RSS配信、e-mailアラートサービスなどの付加サービスは、Google Scholarには実装されていません。

以上のように、医学生物系の学術論文情報だけに絞るのであれば、PubMedの優位性は崩れませんが、ひとつだけGoogle ScholarにあってPubMedにはない機能があります。それが、文献の引用関係です。Google Scholarの検索結果にリストアップされる各文献データには、「Cited by」というリンクがついており、その文献が他のどの文献で引用されているか、また、他の論文に引用された回数が表示されます。この「Cited by」の機能がGoogle Scholarの大きな特徴です。この点について次項で詳しく見てみましょう。

続きは明日。

2006.01.12

「研究者の妻たちへ」メールマガジン

研究留学ネットでは、アメリカ生活情報をほとんど流せなくなってしまいました。そんな中、「研究者の妻たちへー子供を連れてアメリカ留学」は強い味方。このたび、「研究者の妻たちへ」の新着・厳選記事を、メールマガジンでも配信されるとのことです。興味のある方はこちらから購読してみて下さい。

関係ないですけど、この管理者の方のwebスキルは高いなぁ。

2006.01.11

MacBook Pro

Intel Macにしてしまえば、Classicは立ち上がらないので、Statviewは使えなくなる。従来のPowerbookの4倍といっても旧来の大半のソフトはRosseta上でエミュレーションモードで動くので、それほど大きな速度アップは期待できない。Rosetta上で動かすことになる旧来のソフトには問題が必発であろう。そもそも、いままでの経験上、メジャーアップデートの初期型は問題が多くいろいろ苦労する。そいうことはすべてわかっていますが、どうしても私には止めることができず、ポチッといってしまいました。MacBook Pro。

皆さんもどうぞ。

バナー

iMac(intel)

iLife06

2006.01.10

研究留学メーリングリスト

研究留学メーリングリストは、しばらく新規の参加者の募集を見合わせてきましたが、今月末に会員のリフレッシュをおこない、その後に新規参加者の募集を再開する予定です。今しばらくお待ち下さい。

2006.01.06

美ら島

2006.01.01

2005年に研究留学ネットで紹介して売れた本ベスト20

2005年1月から11月までに研究留学ネットを通して、amazon.co.jpで購入された書籍でどんなものが売れたか集計してみました。もっとも売れた本ベスト20は以下の通りです。ダントツに売れたのが売れたのが「切磋琢磨する研究者」。こちらで紹介直後に、Amazonでの売り上げランキングが100位台にまで押し上げられたほどです。あとは、英語に関連する本が多いようです。

他にも多くの本を紹介していますので、「研究者の書棚」をご覧下さい。

  書名  
1 切磋琢磨するアメリカの科学者たち amazon.co.jp
2 理科系のための入門英語プレゼンテーション amazon.co.jp
3 研究留学術 amazon.co.jp
4 医学・生物学研究者のための 絶対話せる英会話 amazon.co.jp
5 ポスター発表はチャンスの宝庫! amazon.co.jp
6 理科系のための実戦英語プレゼンテーション amazon.co.jp
7 理科系のための状況・レベル別英語コミュニケーション amazon.co.jp
8 学会出席・研究留学のための理科系の英会話 amazon.co.jp
9 医学・生物学研究者のためのホンネのアメリカ留学マニュアル amazon.co.jp
10 医薬研究者のためのケース別統計手法の学び方 amazon.co.jp
11 現場の必須テクニック Illustrator CSの仕事術 基本/ビジネスグラフィック編 amazon.co.jp
12 アクセプトされる英語医学論文を書こう! amazon.co.jp
13 研究者のための文献管理PCソリューション amazon.co.jp
14 バイオ研究で絶対役立つプレゼンテーションの基本 amazon.co.jp
15 学会・論文発表のための統計学 amazon.co.jp
16 日本人英語の弱点を克服する医学英語論文の賢い書き方 amazon.co.jp
17 道具としての統計学?医薬研究者の視点からみた amazon.co.jp
18 日本人研究者が間違えやすい英語科学論文の正しい書き方 amazon.co.jp
19 バイオサイエンス研究留学を成功させる とっさに使える英会話 amazon.co.jp
20 アメリカNIHの生命科学戦略 amazon.co.jp

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