廣岡慶彦氏著の英語の本の紹介
廣岡慶彦氏が書かれた研究者向けの英語の本の紹介です。生物医学系ではなく、表紙も地味目なのでうちの大学の生協ではちょっと目立たないのですが、研究者向けの英語本としては結構売れているようです。今回、5冊とも手に入れてみました。
廣岡慶彦氏はアメリカで15年間UCSDで核融合炉工学の分野の研究者として研究をおこなうともに学生の指導をおこなっていました。彼によれば、最初の5年間は英語で毎日苦しみ、次の5年間はやっと原稿なしにプレゼンができるようになり、最後の5年間は並のアメリカ人よりプレゼンがうまいと言われるようになったそうです。何とかなるさと準備もせずにプレゼンに出かけてなんとなるようになったのは、渡米後10年経ってだそうです。
廣岡氏の著作は、ジャパンタイムズから2冊、朝倉書店から3冊出ています。ジャパンタイムズのものは、英語論文の書き方、研究者向け英語でのコミュニケーションの2冊、朝倉書店の方が出版が新しく、中上級者向け英語でのプレゼン、入門者向け英語でのプレゼン、研究者向け英語でのコミュニケーションの3冊になっています。
廣岡氏の本に共通しているのは、「この表現は日本の英語の教科書などにはほとんど出てこないが、アメリカの日常では決まり文句、こういったシチュエーションでの常套句」といった例文を中心に載せていることでしょう。確かに、「日本では聞いたこともないけど、アメリカではみんなが使っている」と、アメリカにいたときに感じた私の感覚によく一致していました。やや高飛車な印象を受ける解説文だったりしますが、これくらいズバリ言ってくれた方がありがたいです。難点は、例文の数が少ないこと。著者の意図としては、「こんなに少しで大丈夫だろうかと心配する前にまず本書で取り上げた表現をマスターしてください」とのことです。折に触れて、辞書のようにして使うというよりは、通読してマスターするというタイプの本です。
おすすめは「理科系のための状況・レベル別英語コミュニケーション」「理科系のための入門英語プレゼンテーション」でしょうか。
「学会出席・研究留学のための理科系の英会話」
著者:広岡慶彦著、税込価格:¥ 2,100(本体:¥ 2,000)、出版:ジャパンタイムズ、ISBN:4789009890、発行年月:1999.12【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
国際会議に出席したときや研究留学したときのシチュエーションを想定して、日本ではあまり聞かないが、アメリカでは常套句といった生きた英会話例文を中心に解説。巻末の推薦状の書き方、学会のレセプションの司会やスピーチを頼まれたとき、も参考になります。
「理科系のためのはじめての英語論文の書き方」
著者:広岡慶彦著、税込価格:¥ 2,310(本体:¥ 2,200)、出版:ジャパンタイムズ、ISBN:4789010384、発行年月:2001.03【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
英語論文執筆の基礎知識、論文執筆上の修辞法、論文各セクションの描き方のコツ、付録となっています。
「理科系のための実戦英語プレゼンテーション」
著者:広岡慶彦著、税込価格:¥ 2,835(本体:¥ 2,700)、出版:朝倉書店、ISBN:4254101821、発行年月:2002.04【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
研究者向けプレゼン英語本。国際学会で必要な英会話についても言及。あとから「理科系のための入門英語プレゼンテーション」が執筆されたので、中上級者向けということになっています。
「理科系のための入門英語プレゼンテーション」
著者:広岡慶彦著、税込価格:¥ 2,625(本体:¥ 2,500)、出版:朝倉書店、ISBN:4254101848、発行年月:2003.04【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
研究者向けプレゼン英語本。国際学会で必要な英会話についても言及。「理科系のための実践英語プレゼンテーション」がやや難しいという意見もあり、その入門編として作られました。入門者向けの例文と中級者向けの例文を並べて掲載するというスタイルになっています。
「理科系のための状況・レベル別英語コミュニケーション」
著者:広岡慶彦著、税込価格:¥ 2,835(本体:¥ 2,700)、出版:朝倉書店、ISBN:4254101899、発行年月:2004.02【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
シリーズ最新刊。研究者が国際会議や海外で遭遇するシチュエーションを想定して、日本ではあまり聞かないが、アメリカでは常套句といった生きた英会話例文を中心に解説。「理科系のための入門英語プレゼンテーション」で好評だった入門者向けの例文と中上級者向けの例文を並べて掲載というスタイルになっています。
関連書籍は「研究者の書棚:科学者のための英語本」と「研究者の書棚:研究者のためのプレゼンテーション」をご覧下さい。