科学研究費補助金データベース

日本の科研費も少しずついい方向に向かいつつあるというお話。

日本とアメリカのサイエンスの質の違いの原因となっているのは科学研究費制度にあるということは白楽ロックビル先生の名著『アメリカの研究費とNIH』bk1】【amazon.co.jp】を読んでいただけるとよくわかります(この本最近かなり手に入りにくくなっているようなので、見つけたら絶対買っておいた方がいいですよ)。

アメリカのサイエンスを支えているNIHの科学研究費分配のシステムのよい部分としては、

  • NIHにPOと呼ばれる専任のPhDを持つ審査官がいて、審査をオーガナイズしている。
  • スタディセクションと呼ばれる専門家による審査委員会で徹底的に議論して審査をする。
  • 審査結果を申請者本人に詳しく知らせる。その結果を元に再申請する道も残されている。
  • 研究費の分配状況がCRISPというデータベースで一般の人に公開されている。
  • 研究費から間接費や人件費を出すことができる。

などが、あげられます。

ひるがえって日本の場合は、というと、私が帰国してからは少しずつではありますが、制度が改革されています。

  • 審査結果がA,B,Cで本人に知らされるようになった。
  • 関係者の方からお話しを伺ったのですが、文部科学省の中に、40歳前後の若手の研究者がPOとして20名あまりいて、文部科学省で審査される大型案件の審査のサポートをおこなっているそうです。ただし、今のところ、POは非常勤。
  • 今年から、審査員の選定は学会への丸投げではなく、文部科学省、学術振興会の方で選出するようになった。
  • 大型の研究費では間接経費も認められるようになってきている。
  • 今年から、常勤の研究者でなく、非常勤の研究者にも科研費申請権を与えた。

まだ、表面的にアメリカのよいところをなぞっているだけといわれてしまえばそれまでですが、少なくとも、いい方向に向けて改善していこうという意識はあるようです。それから、最近、科学研究費補助金データベースというのが開設されました。今までも、NACSIS-IRというデータベースで、すべての科研費を検索できたのですが、登録が必要な上に有料だったのです。それを一般の人も見られる形にしました。NII学術コンテンツ・ポータルGeNiiもだいぶ充実していますのでご覧下さい。

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