帰国後の確定申告の体験談

KAZU@テネシーさんから帰国後の確定申告の体験談をいただきましたので紹介します。

なお、「Refundが戻ってきたから、税金の解釈が正かった」とは必ずしもいえません。あくまでも一人の方の体験談とお考えください。研究留学ネットが内容の確かさを保証するわけではありません。

米国滞在期間:2000年12月〜2003年3月
独身
VISA:J-1
2003年3月までの給料:全額アメリカでの給料のみ(日本からは無し)
2003年4月からの給料:全額日本での給料のみ

私の場合の特殊事情:
アメリカは2003年3月21日に離れましたが、学会参加とその打ち合わせのため6月24日から7月4日まで11日間再びアメリカに滞在してしまったこと。

  1. 私流の確定申告資料作成の手順を記します。
    Publication 519 2003 (以下p519)によりsubstantial presence testによりresident alien for tax purposeであることを確認
  2. p519によりdual-statusになることとresidency termination dateを確認。もちろんearlier residency termination dateを選び、statement for the residency termination date(任意の様式)を作成し、念のため日本での辞令のコピー(日本語)に記載されている語句の英訳(自己流)を書き込み、voidになったJ-1 visaのコピーも添付。またstatement for the residency termination dateの項目5のcloser connection to Japanを証明するために、Form 8840を作成し添付。
  3. p519の6章に従い、Form 1040の1枚目上部にdual-status statementと書き込み、residentの期間のものを記入、もちろんstandard deductionやhead of household、joint returnは使えないというルールに従う(まあ私は独身のため後2者は関係ないですが)。そしてForm 1040NR-EZの1枚目上部にdual-status returnと書き込み、non-residentの期間のものを記入、米国での収入はないので当然すべて0ドル。
  4. 大学から来たW-2のcopy B (FEDERAL tax return用)を添付。
  5. 住所変更のForm 8822を作成し送付、これだけ送り先が違う!!!。

これでいいと思ったのですが、ここで大問題が発生しました。6−7月に11日間滞在したことにより、residency termination dateが3月ではなく7月4日になってしまったのです。p519によれば一旦離米した後の再入国はde minimis presenceとして通算10日まで除外できるのですが、11日以上の場合はその11日を含んだ滞在の最終日がresidency termination dateとなってしまうのです。そのため4月からresidency termination dateまでは全世界の収入が申告対象となり、当然日本での収入も申告対象となってしまいました。

さてどうするか。まずはForm1040のline7 wages, salaries, tips, etcにアメリカから送られてきたW-2の他に、日本での所得も合計して記入しなければなりません。ここで、p519 6章のforeign tax creditの項によると、外国での収入の取り扱いは外国での所得税が一部減免できる措置があり、publication 514 2003(以下p514)が紹介されています。p514によると、外国で課税された所得税はcreditかdeductionを選択して減免できます。前者のcreditとはForm1116を作成しこれで外国での課税額を計算して、Form1040 line44のforeign tax creditに書き込み、全世界の所得を対象とした場合のアメリカの税額から日本の税額を減じるものです。後者のdeductionはForm1040 schedule Aを作成しline8のother taxesに日本の所得税額を記入して国外での課税額を計算し、Form1040 line37のitemized deductionsに書き込み全世界の所得そのものから、日本の税額を控除するものです。アメリカの税額は控除後の所得から計算することになります。どちらもForm3903を添付することにより帰国費用moving expenseが控除できると思います。私の場合は、creditだと353ドル、deductionだと794ドルの追加払いとなってしまいました。

ここで目に入ったのがp519の3章のresident alienにあるforeign earned incomeの項でした。これに書かれているpublication 54 2003(以下p54)を見ると、physical presence test(有名なsubstantial presence testとは異なる)で連続する12ヶ月の間に330日以上外国に居住しているresident alienはアメリカ以外の収入そのものを除外できるようです。私の場合は、3月22日から7月4日まで実際には出国しているのにresident alienとなっているわけですから、この間を外国に居住しているので日本の収入を除外することにしました。具体的には2003年3月23日から2004年3月22日までの12ヶ月間がphysical presence testに適合することをForm2555に記入し、form1040のline21にother incomeとしてForm2555と記入したうえで、日本の所得を()を付けて記入します。これをline34で丸々line7の額から引くわけです。この方式で計算すると、333ドル払い過ぎており戻ってくる掘?彁擦砲覆蠅泙靴拭?海両豺腓p54 5章によると帰国費用moving expenseは除外できないわけですが、私の場合はこの方が有利だったわけです。
整理すると1月1日から3月21日までが米国在住のresident alien、3月22日から7月4日までが海外在住のresident alienとして1枚のForm1040で申告、7月5日から12月31日までがnon-resident alienとしてForm1040NR-EZで申告ということになりました。

余談になりますが、もし私が11日の滞在をしていなければどうしたかというと、帰国費用moving expenseをForm3903を作成してForm1040 line 27に書き込み控除したと思います。また私は適合するものがありませんでしたが、Form1040 schedule Aに書き込むものがある場合はそれも書き込んでForm1040 line37のitemized deductionsで控除できると思います。ちなみにこのケースで計算してみると、moving expenseが控除できることにより所得が減るので、575ドル戻ってくる計算になりました。つまり1日余分に滞在したせいで、240ドルほど損したことになります。トホホ・・・

先日、私が計算した通りの額のtax refundのチェックが送られてきました。これで私の解釈が正しかったことが認められたわけです。ここに書いたのはあくまでも2003年の私の場合ですので、上にも書いた通り個々の状況、例えば家族の有無、所得額、不動産収入の有無、配当収入の有無、年度などにより大きく異なります。そのため具体的な記入方法はあまり参考にならないかもしれませんが、お伝えしたかったのは主に2点、万全を期すなら実に多くのformを提出しなければならないことと、一旦帰国した後はその年のうちは10日を越えて米国には滞在してはならないこと、です。長くなってしまいましたが、少しでも参考になれば幸いです。

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