「アメリカNIHの生命科学戦略」
「アメリカNIHの生命科学戦略
〜全世界の研究の方向を左右する頭脳集団の素顔〜」
著者:掛札 堅、税込価格: ¥987 (本体: ¥940)、出版:講談社、ISBN:4-06-257441-1、発行年月:2004.4【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
著者の掛札堅氏は1960年にCiity of Hope医学センターに留学し、1967年にNIHの主任研究員となられ、その後、長年にわたってNIH
で研究を続けられています。その間、日米ガン協力プログラムのアメリカ側事務局長も務められています。本書は、NIHから生まれたノーベル賞級の研究と、その舞台裏を紹介するとともに、NIHグラント制度をはじめとしたNIHの成り立ち、構成などにも言及されています。NIHグラントに焦点をおいた名著として、白楽ロックビル先生の「アメリカの研究費とNIH」【bk1】【amazon.co.jp】は何回か、紹介してきていますが、本書は、むしろNIHの歴史的な成り立ちや舞台裏に重点が置かれています。設立当時には思いもしないような方向でNIHが発展し、世界最大の医学生物学研究機関になった経緯がよくわかります。特に、著者はNIHと日本の研究交流に関するNIH側の責任者でもあることから、日本学術振興会の海外学振のNIH専用枠、日米癌化学療法のフェロー制度の設立の経緯が明らかになっていて興味深く読めます。なお、現在NIHに研究留学している研究者は350人とのことです。