「骨単」
「骨単 〜ギリシャ語・ラテン語(語源から覚える解剖学英単語集 骨編)〜」
著者:原島 広至、本文・イラスト、河合 良訓監修、税込価格: ¥2,730 (本体: ¥2,600)、出版:エヌ・ティー・エス、ISBN:4-86043-050-6、発行年月:2004.3【bk1】【amazon.co.jp】【目次】
医学部の学生時代、骨学といえば暗記中心の解剖学の中でも、もっとも味気ない学問で、骨の名前を暗記するのに四苦八苦したのを覚えています。
「骨単」なるインパクトのあるタイトルの本を本屋で見かけたときは、医学部学生向けの暗記のための語呂合わせか何かのたぐいの本だろうと思っていました。でも、結構あちこちで評判になっていて、実際に購入みたら、これがおもしろいこと。
「骨単」の著者の原島氏は解剖学者でなく、なんとデザイナーの方で、たまたま古本屋で手にした解剖学書に興味を持ち、高校時代に独学で学んだギリシャ語と結びつければ、一つの本になると考えたのがこの本の企画のきっかけになったようです。したがって、この本は解剖学用語としての英語、ギリシャ語、ラテン語の枠を超えた本になっています。
たとえば橈骨の記述はこんな具合になっています。
raius:橈骨はラテン語radiusより。原義は「一転から発する光線、放射線」で転じて「車輪のスポーク」つまり車輪から放射状に出る棒の意。橈骨は「車輪のスポーク」に形が似ていることから。数学の「半径」raiusやradianも同じ語源。「光線」を意味する英語rayはラテン語から古フランス語を経由して英語に入る途中、radiusの後半の子音が落ちてしまった。radioactive「放射性の」、radio「ラジオ」、radiator「(熱を放散させる)ラジエター」等は皆radiusに由来する。日本名の橈骨の橈は「かい、オール」のこと。橈の本来の音は「どう」だが、解剖学では濁らずに「とう」と読む。「どう」という同一発音の「胴、同、動、導、洞、瞳」との重複を避けるため。
こんな調子で、英語の解剖用語、日本語の解剖用語を語源から解説しています。著者のギリシャ語、ラテン語に対する造詣の深さ、ただ脱帽するのみです。恥ずかしながら、私はこの本で、内耳を構成する骨(きぬた骨、あぶみ骨、つち骨)の由来を知りました。
このように、この本は骨学に関する百科事典のようなもので、今風にいうなら、「骨学トリビアの泉」ということになるでしょうか。今後、「肉単」、「脳単」、「臓単」が続編として刊行予定だそうです。
へぇ〜、へぇ〜、へぇ〜、へぇ〜、へぇ〜、、、、。20へぇ〜入れておきます。