2. 感染症 症例アセスメントの手引き

2. 1.  病歴聴取

【主訴・コンサルテーション理由】

【病歴聴取】

(1)現病歴

受診・コンサルテーションの原因となった一連の出来事について時間の流れに沿って具体的に記載する。その際(1)重要な基礎疾患の有無、(2)これまでに受けた治療、(3)これまでに罹患した感染症、についての情報が極めて重要である。これらの情報は詳細にわたって把握しておく(例えば手術が行われたケースの場合は、術式や、術中のトラブルなどのイベントの有無、Hardwareの使用の有無、手術時間、術中輸血の有無など必ず確かめる)。

(2)既往歴

  1. 患者の把握管理上重要な疾患の有無(高血圧、糖尿病、高脂血症、虚血性心疾患、不整脈、癌、消化性潰瘍、腎疾患、肝疾患、脳血管障害、喘息、結核の既往など)に関してはもらさず聴取し記載
  2. 主要な感染性疾患(HB,HC,梅毒, がん治療に関連した感染症)の既往も
  3. 手術歴を聴取(重要)
  4. 外傷、事故の既往をたずねる
  5. 輸血歴
  6. アレルギー:食物、薬剤について。特に抗菌剤にアレルギーを有する患者が多く、ひとたびアレルギーを起こせば重篤になるため細かく聴取し、明らかなアレルギーに関してはプロブレムリストに加える。

(3)服用中の薬剤

服用中・投与中の薬剤は全て把握する。特に、(1)ステロイドなどの免疫抑制薬剤が投与されていないか、(2)抗菌薬などの予防投薬が行われていないか、などが重要である。(1)(2)については用法用量投与期間も把握しておく 。

(4)社会歴

(5)家族歴

家族の健康状態について。特に感染症に関連したもの。

(6)システムレビュー

現病歴で扱われなかった臓器すべてについて症状の有無を尋ねる。コツとしては身体所見をとりながら行うというものである。こうすると漏れなく聴取できる。システムレビューをとることで患者の問題(患者自身が自覚していないこともある!)を漏れなく把握可能である。

感染診療の手引き ©2006 Norio Ohmagari.