Wistar 研究所 (Philadelphia, USA) ポスドク 募集
研究テ-マ: “RNA 編集酵素 ADAR1 の Genome Stability 維持機能”
背景: ADAR (Adenosine Deaminase Acting on RNA) は部位特異的にアデノシンをイノシンに塩基修飾する RNA 編集酵素であり (A-to-I RNA editing)、哺乳類では三つの遺伝子(ADAR1-3) が同定されている。遺伝子翻訳領域での RNA 編集では、生理機能の多様化に寄与する他、 非翻訳領域でも高頻度のRNA 編集が起きているが、その機能的意義は未だ良く理解されていない (1)。また microRNA の前駆体でも RNA 編集が起き、 microRNA 発現の調節やターゲット遺伝子選択に重要な機能を果たしている (2)。我々は、ADAR1 遺伝子改変マウスが、全身に広がっ た細胞死により胎生致死表現型となる事を発見して以来、ADAR1 の機能解析に研究の焦点を絞ってきた。その過程で、 ADAR1 がDicer と Complex を形成し、pre-miRNA processing、そしてRNAi 効率を増強する事や (3)、また、MAP Kinases による ADAR1 の細胞内移動調節機構, またADAR1 の Stress Response 機能等を明らかにしてきた (4)。ごく最��近、我々はADAR1 遺伝子発現抑制により、細胞がMitotic Catastrophe に至る事から、ADAR1 がGenome Stability維持に必須である事を発見した。ADAR1 Genome Stability維持機能の詳細を解明する事が、目下の我々の研究目標である。
応募:
Ph.D. 取得後間もない方で (1-2 年以内希望)、少なくとも3-4年は滞在できる方。分子生物学的、生化学的手法を習得し、 protein complex の精製、protein-RNA interaction 解析, また遺伝子改変マウスの表現型解析経験のある方で、RNA編集や Genome Stability/DNA Repair 研究に興味のある方を望みます。履歴書、研究業績リスト、推薦状3通を郵送。連絡先:Dr. Kazuko Nishikura (西倉和子)。 The Wistar Institute, Gene Expression & regulation, 3601 Spruce Street, Philadelphia, PA 19104-4268 USA. Email: kazuko@wistar.org (日本語可)。
参考文献:
1) Nishikura 2010. Functions and regulation of RNA editing by ADAR deaminases. Annu Rev Biochem 79: 321.
2) Nishikura 2016. A-to-I editing of coding- and non-coding RNAs by ADARs. Nat Rev Mol Cell Biol 17: 83.
3) Ota et al. 2013. ADAR1 forms a complex with Dicer to promote microRNA processing and RNA-induced gene silencing. Cell 153: 575.
4) Sakurai et al. 2017. ADAR1 controls apoptosis of stressed cells by inhibiting Staufen1-mediated mRNA decay. Nat Struct Mol Biol 24: 534.