■Web of Science
Web of ScienceはISI社が提供する引用文献データベースです。40年にわたって発行されてきたCitation Index(以前は印刷媒体、最近ではCD-ROMなどで提供されてきた)のweb版です。web閲覧権という形でISI社から購入する必要がありますが、非常に高額(数千万円するらしい)ので、すべての大学の図書館が購入しているわけではありません。所属大学が購入している場合は、大学のLANで接続して、http://wos.isiglobalnet2.com/から閲覧できます。
■Web of Scienceの最大の特徴、逆引き機能
キーワードや著者名を元に文献を検索することができるという点は、PubMedなどの文献データベースと同じですが、Web of Scienceの特徴は、論文の引用関係がデータベースに含まれているという点です。つまり、ある論文を見つけたときに、その論文が引用している論文をたどっていくことができます。さらに、Web
of Scienceがすごいところは、逆引き機能がついているところです。つまり、その論文を引用している論文を調べることができるのです。
少し分かりやすくお話しします。
あなたが1995年にJ Biol Chemという雑誌に掲載された論文Aに興味を持ち、その論文に関連した論文を探したいと思ったとします。最も簡単な方法は、文献Aの後ろに載っている引用文献を調べる方法です。Web
of Scienceを使えば、画面の"Cited References"をクリックすることで文献Aが引用している論文の一覧が得ることができます。しかし、Web
of Scienceのすごいところは次の逆引き機能です。
しかし、引用されている論文というのはその論文Aよりも古いものばかりですから、すべて1995年以前のものばかりです。1995年より新しい関連文献を調べようと思っても、PubMedだとキーワードなどを使って再検索するくらいしか方法はありません。しかし、Web
of Scienceを使えば、1995年以降の論文Aの関連論文を探すこともできるのです。Web of Scienceの"Times
Cited"をクリックすることで、論文Aが発表されたあとに論文Aを引用した論文の一覧を得ることができます。
■自分の論文が何回引用されているのかを調べる
この逆引き機能を、自分の論文が何回引用されているかを調べるという目的で使用することもできます。"General Search"ではなく、"Cited
Ref Search"画面から入って、自分の名前を入れて検索すると、自分の論文がどの程度引用されているのかを知ることができます。
もちろん、引用回数だけでなく、どの論文で引用されているかも調べることが可能です。
白楽ロックビル先生のコラムによれば、作者ごとではなく、ジャーナルごと、施設ごとに調べれば、それぞれのジャーナルの引用数ランキングや、施設ごとの引用数ランキングも作れるそうです。しかし、私がやったところ、検索結果の最大値があまり大きくないので、うまく作れませんでした。
このようにWeb of Scienceの逆引き機能を使うことで、ジャーナルの重要性はおろか、論文の重要性を引用回数ではかることができる(実際にISI社からはHot
Paperとして発表されている)ので、今後はAuthor Citation Indexなどの指標で科学者の評価が行われることが一般化される可能性もあります。